タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

お産は安全ですか

2015-01-20 21:29:56 | 産科


上の写真は宮城県仙台市の凛乃(りの)ちゃん、12月20日生まれ。
「凛とした女性になってください。
お産はすごくたいへんでしたが、赤ちゃんに会えた時は感動しました。
次も今回と同じように、自然分娩で産みたいです。」

自然分娩っていう定義も曖昧ですが、
自然分娩だと言っている施設でも、入院時に浣腸をしたり、
初めての出産だと外陰部の毛を剃ったり、
お産の時に点滴をとったり、陣痛の間も自由に動けなかったり、
会陰切開をしたり、抗生物質や子宮収縮剤の薬を飲んだり、
と、さまざまな制約が有るのではないですか。
だいたい数人に1人は帝王切開になりますしね。

本当の自然分娩とは、もっと自由なものでなくてはならないと思っています。
ただし、快適なのは当たり前ですが、安全を犠牲にしてはいけません。

怖い数字で恐縮ですが、日本は世界一、お産で命を落とす確率が低い国なのはご存知ですね。
だいたい25、000人に1人の妊婦さんしか、お産で命を落としません。
それでもタマル産は年に約200人の分娩が有りますから、そうすると、いくら世界一安全と言っても、
百数十年くらいで1人、命を落としてもおかしくない計算ですね。
こういうのを妊産婦死亡率と言います。

世界での平均は、今でも500人に1人なのですよ。
ということは、タマル産なら2、3年に1人という割合で命を落とすのがお産なのです。
だから、日本では世界一、安全なわけです。

平均は500人に1人ですが、アフリカなどはもっと高そうでしょう?
そう、200人に1人です。だからお産は命懸けなのですね。
でも、そんなことを感じたことはないでしょう。
けれど私が生まれた半世紀前は、日本でも300人に1人くらいが亡くなっていたのです。
現在の世界平均と同レベルですね。
やはりその頃は命懸けだったのです。
だから皆さんの感覚は麻痺してしまっているのでしょうね。

話を初めに戻しますと、タマル産では、お産に安全性だけでなく、快適性を求めています。
その快適性とは、気持ち良いという意味ではなくて、
より自然に近い形で産んでもらおうとすることです。
それはお産に鎮痛剤を使った方が快適かもしれませんが、そうではなくて、
痛みを乗り越えるメンタルトレーニングをすることや、
温かいウォーターベッドで、楽な姿勢をとりやすくする方法のことです。
こうすることで、精神的に満足のいくお産に近づくものと思っています。
もちろんお産ですから、急に生命に関わるような危険なことに出くわしたり、
緊急で医療処置が入ることはよく有ります。それも受け入れていくトレーニングは必要です。

年の初めですから、またタマル産のお産の方針を確認しておいたのですよ。