タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

どうして会陰切開するのですか

2015-01-16 20:24:14 | 産科

上の写真は、丹波市青垣町の結斗(ゆいと)くん、12月3日生まれ。
「元気で強く育ってください。
辛かったけど、大きい子が生まれてよかったです。
ご飯もおいしくて、過ごしやすかったです。」

そうですよ、久しぶりにすごく大きな赤ちゃんでした。初めてなのに。
これからも大きく育ってください。

さて、すごく大きな赤ちゃんでも、タマル産では会陰切開することはまず有りません。
と、そんなことをよく書いているのですが、
「裂けるからそんなのダメだ」と口コミに書いてあったりするのです。
本当に、知らないというのは恐ろしいものですから、説明しておきましょう。

赤ちゃんが生まれるためには、まず子宮の出口が10センチ、開かなければなりません。
陣痛が始まる前は、子宮の出口は閉まっているのですが、
これが初産婦さんでは12時間、経産婦さんでは6時間ほどかけて、開いてくるのです。
まさか、子宮の出口を切開して赤ちゃんを産みませんよね。

その次に、今度は膣の出口、いわゆる会陰(えいん)とか膣口(ちつこう)と呼ばれるものが、
初産婦さんでは2時間、経産婦さんでは1時間かけて、
初めは直径数センチだったものが、こちらも10センチ開くのです。
だって、赤ちゃんの頭も直径10センチほどですからね。
この、会陰が10センチまで伸びる、わずか1、2時間を我慢できないのですよ。
たったそれだけ待てば、膣口は10センチ開くのに、です。
子宮口なら12時間待てるのに、膣口の2時間が待てない。
そして、会陰切開してしまうのです。
おかしいと思われませんか?

では何故いったいこんな野蛮なことをするのでしょうか?
それには理由が有ります。
子宮口が開くまでは助産師や看護師が産婦さんの経過を見ます。
ところが膣口が開く頃には、どこの病院でも医師が呼ばれて会陰切開して、早く切り上げて行くからです。
だって、病院の先生は忙しいでしょう?
1時間も2時間も、側についていてくれますか?

ところがタマル産では、長いお産でも、1時間でも2時間でも医師が産婦さんに付くのです。
膣口が開くまで待つのですね。必ず10センチ開くからです。
それでも胎児の心音が下がれば、会陰切開することも有ります。
吸引分娩になるような時も会陰切開します。さかごの時もです。
でも普通のお産では、まず切開しないのです。
もちろん、胎児が飛び出してきたりすると、裂傷が起きることはよく有ります。
それでも、会陰切開するような大きな傷とは、比べ物になりません。

助産師学校では、会陰保護法という知識を学ぶのですが、
実際の現場では、経産婦さんにしか使わないのは、何故なのでしょうかね。
皆さんは疑問に思われませんか?