タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

16歳でも無月経

2015-01-07 21:21:55 | 婦人科
篠山市味高坂の健斗(たけと)くん、11月25日生まれ。
「健康で元気に育ってください。
みなさん親切にしてくださって、とても嬉しかったです。」

写真は1ヶ月健診の時のものです。
生まれた時は3キロくらいの赤ちゃんが、1ヶ月すれば4キロほどに増えるのですよ。
赤ちゃんの成長は実に速いですね。
そして、赤ちゃんの成長とともに、ご両親も親として、成長していくのですよね。

さて今年も水曜日なので、婦人科の話題をしてみまよう。

今のアメリカ文化は、同性愛を肯定しようという動きが活発ですね。
私の周りでは、そんな人はあまり見たこともないので、
どうしてそんなに同性愛の人が多いのか不思議なのですが。
そう言えば以前、丹波市に性転換した男性たちが接待する店が有りましたね。
定期的に女性ホルモンを打ちに来られていまいた。

アメリカはプロテスタントが開拓した国ですが、
ヨーロッパはどうでしょう。
ヨーロッパと言えばカトリックですが、カトリックの聖職者は結婚してはいけませんから、
男の子に対する性的虐待が問題になったりしています。
なので今、カトリックさえも同性愛を認めていく方向に有るようですね。
カトリックの聖職者も日本のお坊さんのように、正式に結婚すれば話は早いのに。

彼ら彼女らは、自分の体は男性か女性なわけです。
むしろ脳の発達が体の性と逆に発達してしまったから、問題になるわけですね。
ですから本来は病気の治療とするのが正道なのでしょうが、
アイデンティティが確立された後では、無理矢理治すのもまた問題が有るのでしょう。

婦人科的に問題になるのは、そうではなくて、体の発達の方です。
16歳で初潮(医学用語では初経と言います)が無ければ、少し遅いということで、
遅発月経と呼びます。
18歳でも来なければ、原発性無月経と定義するのです。
先日電話で問い合わせが有ったので、クリニックに来院してくださいとお願いしたのですが、
どうも婦人科を受診するのは敷居が高いようです。

この原発性無月経ですが、その原因は何でしょうか。
答えは2/3が染色体関係の異常です。
残り1/3は、PCOSという視床下部のホルモンの異常なのです。

先にPCOSの話をしておけば、不妊症で来院される方のうち、月経が不規則な女性は、
まずこのPCOSです。多のう胞性卵巣症候群と訳します。
これは頭の中の視床下部というホルモンを分泌する臓器の異常ですから、
ホルモン治療をすれば、ちゃんと赤ちゃんを妊娠して産むことができます。
ただし、ちょっと苦労することも有りますが。

そして残りの染色体のトラブルの話です。
染色体とは女性なら46、XXですね。男性なら46、XYです。
このXとかYの染色体の一部や全部に異常が有る場合を「性染色体の非典型的な性分化」と言います。
まだ日本では正式な呼称ではないのですけれど、アメリカ式にはこう呼びます。
例えばターナー症候群という病気では45、Xなのです。もう1つのX染色体が欠損しているのですね。
女性なのですが、少し体つきに特徴が有ります。

染色体のトラブルには3tのパターンが有って、2つ目は、
染色体は46、XYと男性型なのですが、見かけは女性なのです。46、XY DSDと定義します。
オリンピックなどで、問題になることもあるでしょう。
例えば、男性ホルモンは正常に分泌されていても、それを感知する方のレセプターに異常が有ると、
女性として発達するのです。大学の同級生にも居られました。
それはそれで、むしろボーイッシュで格好いいじゃないですか。

染色体のトラブルの3つ目は、46、XX DSDです。
DSDは、Disorders of sex Deveropmentの略です。
このタイプは、見かけも染色体も女性です。
ただ、子宮や卵巣、膣、腎臓などに、発生段階で異常が生じたものです。
だから膣が閉鎖していたり、初めから無かったりします。
そんな場合は、膣を造る手術をしたりするのです。

医学の教科書のような話になりましたが、
要は、その女性が女性としての自覚が有るか、ということが重要なのです。
そうであれば、その方向で治療をしてあげればいいのです。
治療を決定するだけであれば、必ずしも染色体を検査する必要はないのですよ。
むしろ医療者の興味ですることになるでしょう。
本人も知りたいかもしれません。

女性ホルモンが少なければ、骨がもろく、骨粗鬆症になりますから、
骨塩量を測る必要は有るでしょう。
低ければ女性ホルモンも必要です。
小さいうちに発見されることが多いですから、
低身長にならないように、成長ホルモンなどを使うことも有るでしょう。
先ほどの膣を形成する手術も希望されるかもしれません。

もっとも重要なことは、病気で人を差別するようなことが有ってはならないということですね。
本人や親が悩むことが多いのでしょうが、
患者さんの家族の会なども積極的に活用するのも一法でしょう。
将来妊娠できるか、という問題は、先ほどお話したように、
ホルモン的な異常だけであれば、可能ですが、
形態的にも大きな異常が有れば難しいかもしれません。
ですが、今は妊娠しない女性も増えていますから、以前ほど悩む必要はないのかもしれませんよ。

16歳を過ぎて、無月経だったら、婦人科を受診する、というのを覚えておかれるといいですね。