丸山てのるさんが、同性愛の双子に言及なさっておられますので、同性愛の双子研究についてこれまでの研究の状況についてコメントしておきます。
主に双子(とくに一卵性双生児)で、片方がゲイであるときにもう片方がゲイである確率がどの程度であるのかを調べます。一卵性双生児は遺伝的には完全におなじであるため、遺伝的な影響が強ければ、一致率は高くなり、遺伝の寄与率が低ければ一致率は下がります。
この種の研究に先鞭をつけたのは、1953年に行われたカルマンの研究です。
彼らの研究によると、双子における同性愛の一致率は100%近い数字になっています。しかし、この研究は古くて、データの信用性には劣ります。
最近の研究では、1995年のベイリーとピラードの研究があります。彼らの研究では、男性同性愛について一卵性双生児で52%、二卵性双生児で22%となり、女性の同性愛では一卵性双生児で48%、二卵性で16%となりました。カルマンの研究ほど一致率は高くありませんが、それでも二卵性と比べて有意に高い確率であり、遺伝によって同性愛が決定するとはいえないものの、遺伝による影響はあるといえそうな結果になりました。
「そうな」というのは、この結果からはまだ遺伝的な影響があることを証明できないからです。つまり一卵性双生児のほうが、二卵性双生児よりも似た環境で育てられるかもしれないので、生育環境が似ている可能性も否定できないからです。
また、ゲイ雑誌で実験の参加者を募集していますので、双子で一致している人が多く参加したというバイアスがかかっている可能性もあります。
そこで、ベイリーとダンは、双子を募集するのではなく、戸籍から双子を抽出して調査をしました。その結果、とくに女性で、このような高い一致率にはならず30%程度でした。ただし、子どものころ自分のジェンダーに違和を覚える確率は高かったそうです。
ベアマンとブラックナーによる研究(2002)では、同性愛に対する遺伝の寄与率が男性で7.7%、女性で5.3%程度とかなり低い数字になっています。これは多少遺伝の影響はあるかもしれないが、他の要因によって容易に覆い隠されてしまうレベルだと彼らは主張しています。
双子の研究からは、遺伝的な影響が男性同性愛ではどうもありそうな感じではありますが、女性ではそれがわずかなものであるか、遺伝の影響ではない可能性が高そうだという結果になっています。
しかし、まだまだはっきりしない結果ではあります。
双生児において、形質が一致しない理由について、一卵性双生児であっても、一絨毛膜一羊膜である場合と二絨毛膜である場合とでは結果が異なる可能性があることも指摘されてきています。普通、一卵性双生児であっても、羊膜はそれぞれにできますが、一絨毛膜一羊膜では1つの羊膜の中に2人が入ります。このあたりの研究結果が出てくると面白いのですが、まだまだ道のりは遠いです。
主に双子(とくに一卵性双生児)で、片方がゲイであるときにもう片方がゲイである確率がどの程度であるのかを調べます。一卵性双生児は遺伝的には完全におなじであるため、遺伝的な影響が強ければ、一致率は高くなり、遺伝の寄与率が低ければ一致率は下がります。
この種の研究に先鞭をつけたのは、1953年に行われたカルマンの研究です。
彼らの研究によると、双子における同性愛の一致率は100%近い数字になっています。しかし、この研究は古くて、データの信用性には劣ります。
最近の研究では、1995年のベイリーとピラードの研究があります。彼らの研究では、男性同性愛について一卵性双生児で52%、二卵性双生児で22%となり、女性の同性愛では一卵性双生児で48%、二卵性で16%となりました。カルマンの研究ほど一致率は高くありませんが、それでも二卵性と比べて有意に高い確率であり、遺伝によって同性愛が決定するとはいえないものの、遺伝による影響はあるといえそうな結果になりました。
「そうな」というのは、この結果からはまだ遺伝的な影響があることを証明できないからです。つまり一卵性双生児のほうが、二卵性双生児よりも似た環境で育てられるかもしれないので、生育環境が似ている可能性も否定できないからです。
また、ゲイ雑誌で実験の参加者を募集していますので、双子で一致している人が多く参加したというバイアスがかかっている可能性もあります。
そこで、ベイリーとダンは、双子を募集するのではなく、戸籍から双子を抽出して調査をしました。その結果、とくに女性で、このような高い一致率にはならず30%程度でした。ただし、子どものころ自分のジェンダーに違和を覚える確率は高かったそうです。
ベアマンとブラックナーによる研究(2002)では、同性愛に対する遺伝の寄与率が男性で7.7%、女性で5.3%程度とかなり低い数字になっています。これは多少遺伝の影響はあるかもしれないが、他の要因によって容易に覆い隠されてしまうレベルだと彼らは主張しています。
双子の研究からは、遺伝的な影響が男性同性愛ではどうもありそうな感じではありますが、女性ではそれがわずかなものであるか、遺伝の影響ではない可能性が高そうだという結果になっています。
しかし、まだまだはっきりしない結果ではあります。
双生児において、形質が一致しない理由について、一卵性双生児であっても、一絨毛膜一羊膜である場合と二絨毛膜である場合とでは結果が異なる可能性があることも指摘されてきています。普通、一卵性双生児であっても、羊膜はそれぞれにできますが、一絨毛膜一羊膜では1つの羊膜の中に2人が入ります。このあたりの研究結果が出てくると面白いのですが、まだまだ道のりは遠いです。
お話を伺って、僕はたぶん、<ベイリーとピラードの研究>というやつを、どこかで聞きかじったのだろうと想いました。
おっしゃるように、ゲイ(同性愛)であるかどうかを、いきなり遺伝的に”解決”してしまうのは、かなり乱暴なことなのだと納得しなくてはならない―――とは思います。
ですが、僕はついつい心情的に、遺伝で片付けたい気持ちを持っておりまして、あくまで僕の勝手な意見(思い入れ)として、自分のブログでも、再三、ゲイ遺伝子の存在などを声高に申すところがあります。
科学的意見ではないことを重々承知の上ですが、とくに双子ゲイ(同性愛者)について思いを馳せると、
「これ、絶対にアリでしょう!」などと、これまたついつい短絡的に煽るたちでして、お恥ずかしい限りです。
素人の戯言と、お笑いください。
<一絨毛膜一羊膜である場合と二絨毛膜である場合とでは結果が異なる>というお話は、初めて伺いました。
双子の研究は、とても興味をひかれます。面白いですね。
とても勉強になります。
ありがとうございます。
その後の研究もいくつかありますが、あまり進んでいないのが正直なところです。新しい研究については、また、まとめようと思います。
ぜひお手元に一冊『クィア・サイエンス』を!!(宣伝宣伝(笑))