多摩川新聞ブログ

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「自立に向けて歩みはじめたA子」 ~お母さんって、すごいね~

2017-10-24 23:23:54 | 教育相談のコーナー
 A子が母親とともにサポートセンターに訪れたのは2月の末だった。不登校になって「ゆうゆう広場(適応指導教室)」に通っていたが、高校進学が心配であることをメンタル担当カウンセラーに相談すると、サポートセンターを紹介された。
 中学1年の時、男子生徒から斜視であることで深く傷つけられたことが不登校の原因という。川崎市内に転校し、やっと慣れてきた時期であったため、ショックが大きかった。2年生になって「ゆうゆう広場」に通いはじめた。学級担任は週一回家庭訪問をして、学校からの情報を話している。その中で、吹奏楽部の顧問や部員から誘いがあり、学校に足を向けたが、音楽室まで行くことができなかった。男子生徒への不安と不信感が残っていたようである。

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 A子はサポートセンター相談担当者に次のように語っていた。

 転校してきて、新しいクラスの雰囲気の違いに戸惑っていた。やっと慣れたところで、学級に入れなくなったってしまった。担任の先生や吹奏楽部の友だちとは話はできるが、クラスの人とは話せない。元の学校に転校したい気持ちもあるが、いつか今の学校に行けるようになりたいと思っている。

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母親も次のように話している。

 学校に行きたい気持ちがあるが、男子生徒に不安を抱えている。生活のリズムづくりに適応指導教室に行き、サポートセンターでは学力をつけてもらいたい。進路の第一希望は単位制高校、第二希望は不登校に理解のある男女共学の私立校を探したい。

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 サポートセンターでは、A子に対して四段階の枠組みで支援にあたった。
第一段階「心のケア」
第二段階「1、2年生の学習」
第三段階「3年生の学習」
第四段階「コミュニケーション能力を高める試み」
 A子は同年代の異性が苦手であることから、サポートセンターのふれあい体験学習(異学年・異性の子どもによる調理、ゲーム等の宿泊体験)や学校との連絡を密にすることで、友だち関係の調整や生活上の適性を見いだし、心のケアを図ることにした。
 「1、2年生の学習」では、学習に対する意欲が高いため、問題集を中心に理解度を見ることにした。声を出すことに慣れさせるため、国語、英語の教科書を使って音読を取り入れることにした。
 「3年生の学習」は進度に合わせた教科書に重点を置いた。興味のある英語を中心に、数学、国語、社会科も週一回は取り上げるようにした。
 第四段階の「コミュニケーション能力」は英会話の学習を通して進めることにした。海外に行きたいというA子の夢を結びつけて取り組むこととした。
 サポートセンターに通うようになって1年近く経過しようとしている。高校受験の準備もおおむね合格ラインに到達してきた。心のケアとして取り組んだ活動では、同年代の男子に対して壁をつくってしまうことが多く見られた。大学生など年上の異性とは進んでおしゃべりできるので今後に期待したい。
 先日、サポートセンター主催の「不登校についてのパネルディスカッション」が行われた。保護者・市民の立場で母親にパネリストとして参加して戴いた。A子の経験談を話す母親の言葉にA子はうなずきながら聞き入っていた。会が終了したとき、同席していた学習担当者にポツリとA子が話した。「お母さんってすごいね。自分もがんばらなくちゃね」と。
 学習担当者は、A子が自立に向けて歩み始めたことを確信した。
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