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赤ちゃんから皇室を撮るカメラマン
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秋の夜長にも「アンプ修理」テクニクス(Technics) SE-A3はこうして蘇る。

2017-09-27 05:19:13 | オーディオ
1979年 12月に発売されたテクニクス パワーアンプSE-A3
当時、おぼろげな記憶しかないけど、
小学校3年生の時に、電気屋さんのオーディオコーナーで
見かけて、ピークパワーメータが印象的なデザインで
憧れていた。いつしか、こんなの欲しいなぁー、といった具合である。

そして、時は流れ、オーディオは小型化がトレンドで
自身が購入できる頃になると、デジタルアンプが主流で
テクニクスから姿を消してしまった。

で、仕方ないので、当時のアンプをオークションで購入するが
ほとんどが、ジャンク品、10台に1台が稼働品といった具合である。

これが、アンプ修理職人としての道に火をつけ、
今年で10年目になろうかとしている。

なぜ、テクニクスの修理が得意かというと、
修理を始めた2006年頃、ナショナルとは故意にさせていただく事が多く、
白物家電にしろ、オーディオ機器にしろ、修理のサービスマニュアルが
入手しやすく、現在でもFAXで取り寄せ可能であるということで
テクニクスが得意となった。

SE-A3の外観はこんな感じ


これ、35キロもあるので
修理は床に置いたままでの作業となる。

これまで、20台ほど修理してきたが、
故障箇所もパターン化しているので、修理を始めた頃は、1週間ほどかかっていたが
現在は、パーツの在庫があれば、その半分の日数で完成できる。

ここより先、ちょっと、専門用語が出ますがご愛嬌でお願いします。

パワーアンプは、スピーカーを駆動させる最終段(フィナル)があります。
内部のヒューズが切れると、大抵、最終段のトランジスターが熱で劣化してショートしてして
ヒューズが切れます。

元々のトランジスターがこれ


このアンプには、左右それぞれ2つづつ搭載されていていますが、このタイプはこのアンプ専用で、
すでに生産完了で入手ができません。

で、大抵、入手ができず諦めるのですが、ここは考え方の転換で
役目としては所詮、パワートランジスタなので代替えを探すとあるもんなんです。
しかも、今噂の「東芝」のパワートランジスタです。
品番として、「2SA1987-O」と「2SC5359-O」 約80ボルトでドライブしているので
このくらいの耐圧であれば鳴ります。

そして、一番、考えさせられるのが基盤の改修が必要なこと。

元々使われている、パワートランジスタのピンアサインが特殊で、ベース コレクタ エミッタのピンの配置と
新しく載せるトランジスタのピン配置が違います。

ここからが職人技をフル発揮で、基盤の電流が流れるパターンを切って、ジャンパーで新しい道を作りつつ
電圧に負けないように、太くかつ最短な電気の通り道を改修します。

その基盤がこれ


この基盤改修ができれば、9割がた修理は完了で、
バイアスやアイドリング 中点調整がずれていても、ヒューズが切れることはありません。
ポイントとして、多くの「にわか修理マニア」は、強引にパワートランジスタのピンアサインを
こんな写真のようにすげ替えて対応しますが、長持ちしません。

熱でピンが膨張するようで、必ずショートします。

私も実際、そんな改造品を担当してきましたが、基盤改修の手間を暇を惜しんではダメです。

以降、サービスマニュアルの基準にしたかって、
アイドリング、中点のバランスを取って、修理完了です。

8オームのスピーカー換算として、200ワットでドライブできるので、
家で音楽を楽しむ分には、どこまでも音が大きく鳴らせる、印象があるSE-A3です。

故障の度合いも様々ですが、
今、このアンプを4台、所有していてオリジナルパーツだけで稼働する1台を筆頭に
残り3代は、新しいパーツと基盤改修で蘇っています。

現状、サンスイ、パイオニア、トリオ、ビクター、ソニーと
修理してきましたが、メーカーごとに電気回路の概念や、基盤のデザイン、
修理のしやすさなど思考が違うので、修理で音が鳴った時は至福の時でもあります。

テクニクスのアンプとしては、プリメイン、プリ、パワーアンプ問わず50冊ほど
サービスマニュアルを所有し、実績として30機種ほど行ってきていますので
大抵のものは復活させることができます。
トランジスタなど、パーツのストックも豊富なので。。。

あとは、修理のための「時間確保」が、重要課題となってます。