読後感

歴史小説、ホラー、エッセイ、競馬本…。いろんなジャンルで、「書評」までいかない読後感を綴ってみます。

竜の卵

2006年04月20日 | SF
                  R.L.フォワード   ハヤカワ文庫

 670億Gの重力を持ち、高速回転する中性子星の上で進化した知的生命体「チーラ」の歴史と、中性子星の観測に宇宙船で接近した地球人とのコンタクトを描いた作品。核反応で動くチーラは、なんと人間の100万倍の速さで生きる。チーラのメッセージを受け取った乗組員が、返事を出すのにかかった1分間がチーラの感覚で2年間だったことを知り、「なんてこった。彼らは待ちくたびれて家に帰っちまったに違いない」ていうのがいい。
 原始的だったチーラの文明は人間との接触をきっかけに急速な進歩を始める。30分余りでチーラの1世代が経過しちゃうんで、ちょっと目を離すと中世から近世になったり、いつの間にかコンピュータを作ってたり…。平べったいチーラは、超重力のため、自分の肩(ないけど)越しに振り返ったり、前方のチーラの背中を見ることができない。女チーラの「私の背中を見るのは恋人と地球人だけ」ってセリフがいい。
 本書の引き合いに必ず出される、メスクリンの『重力の使命』も、ネットの古本で取り寄せて読んでしまった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿