読後感

歴史小説、ホラー、エッセイ、競馬本…。いろんなジャンルで、「書評」までいかない読後感を綴ってみます。

まっ白な嘘

2007年04月09日 | その他
                  フレドリック・ブラウン   創元推理文庫

 本棚にふと見つけた、小学校時代に買った本。1973年・17版とある。30年以上前に買い、7度にわたる引越しについてきたことになる。ブラウンのSFもいいが、本書はサスペンスものの短編&ショート・ショート。一部を紹介しよう。

「うしろで声が」
 サーカスの人間砲弾乗り、数十メートルのジャンプにも動じない彼が、うしろからかけられた声の恐怖とは。
「叫べ、沈黙よ」
 聞く人のいない森で倒れた木は無音なのか?いる人が耳が聞こえない場合は?では聞こえるかどうかわからない場合は…。「音」をめぐる議論は、恐ろしい殺人のエピローグだった。一番好きな作品。
「四人の盲人」
 「象と四人の盲人」の寓話から解き明かす死亡事件の謎。寓話の意味に忠実な語り手の解釈と、実もふたもないヒントで真実にたどり着く警部。このオチ好きだなぁ。
「むきにくい林檎」
 悪魔的に狡猾な同級生にはめられ続けた男が、成人して家族を殺され、ついに決意した復讐の行方は?

 語り口で勝負する作家ももちろんいいが、ブラウンはプロット(筋立て)で笑わせ、プロットで怖がらせ、プロットで魅せる。


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