MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『約束のマッターホルン』

2014-07-29 00:25:07 | goo映画レビュー

原題:『Matterhorn』
監督:ディーデリク・エビンゲ
脚本:ディーデリク・エビンゲ
撮影:デニス・ヴィーラート
出演:トン・カス/ルネ・ファント・ホフ/ポーギー・フランセン/アリアネ・スフルーター
2013年/オランダ
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014 最優秀作品賞)

 「規則」を壊わすことで分かる他人の気持ちについて

 本作のテーマは『青、そして少しだけピンク』(ミゲル・フェラーリ監督 2013年)と同じ同性愛が扱われているが、アプローチの仕方が対照的である。何事にも正確を期さなければ気が済まない主人公のフレッドは妻に先立たれて一人暮らしだったのであるが、たまたま自宅を訪ねてきたホームレスのテオを招き入れたことから物語は展開していく。やがてフレッドは時間にルーズになり、部屋が汚くなり、ひょんなことから頼まれ、ある少女のバースデーパーティーでテオと歌を歌うために日曜日にも教会に顔を出さずに働くようになり、周囲の敬虔なクリスチャンたちが2人の間柄を不審がり、「ソドムとゴモラ」と家の壁に落書きされることにまでなる。
 当初は、フレッドの意図が分からないのであるが、やがて彼の行動は同性愛者という理由で自分が追い出した一人息子の気持ちを理解しようという試みであることが分かる。テオと一緒に演芸を披露した理由も、ゲイバーでステージに立っている息子の気持ちを理解したいという思いからであった。さらにホームレスと思われたテオには妻がおり、実はテオは交通事故で知的障害を患ったことを知り、交通事故で亡くなったフレッドの妻と重なることになる。自ら行動せず、教会で祈っているだけでは何も解決しないという皮肉が込められているように思う。


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