MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『人間失格』 0点

2010-03-29 01:01:05 | goo映画レビュー

人間失格

2010年/日本

ネタバレ

監督失格

総合☆☆☆☆☆ 0

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 映画評論家のおすぎ氏が余りの出来の悪さに試写であるにもかかわらず最後まで観ることができずに途中退席してしまったという曰く付きの作品だと聞いて、太宰治の代表作である『人間失格』を原作としている以上、どのように下手に演出してみたところでそんなに酷いものになるものなのかと確かめようという意図で観に行ったのであるが、これは確かに角川春樹監督の『笑う警官』に引けを取らないくらいに出来が悪く、まるでこの作品の企画/製作総指揮の角川歴彦氏が兄に負けないように‘真逆’に頑張ってしまったのかと思うほどである。ラストで主要人物たちが集まるところまで似させていた。
 結局主人公の大庭葉蔵は何に対して苦悩しているのか最後まで分からない。ゴッホやモディリアーニなどの印象派の画家になれないことを思い煩っているのかもしれないが、それにしては絵に対する拘りが見えない。‘色恋沙汰’に苦悩しているように見せたいようなのだが、そのようなシーンは全く出てこない。そもそも葉蔵だけではなく登場する男性は誰も女性に興味を示さない。
 例えば堀木正雄の父親が息子の部屋まで来て電報を渡すシーンがある。わざわざ父親が息子に電報を渡す理由は息子の部屋に美人編集者の静子が訪ねて来ていて、彼女を見たいからなのであるが、父親は全く静子を見ようとはしない。ここは明らかに演出ミスである。
 2階にある葉蔵の部屋に堀木正雄が来ていた時に、1階で葉蔵の妻の良子が見知らぬ男性と姦淫している。何故わざわざ葉蔵がいる時に理由もなく姦淫してしまっているのか訳が分からない。それだけではない。行為が終わってその男がズボンを上げている時に、横たわっている良子の衣服の乱れは既になくなっている。これでは姦淫ではなくてただ男が自慰をしていたようにしか見えない。ここも演出ミスである。
 つまりこの作品は太宰治の『人間失格』ではなくて、生田斗真の『人間失格』なのである。女性ファンのためにアイドルが女性とからむことは固く禁じられている。それは体だけではなく、精神的なからみも禁じられているために、全ての登場人物に対して観客が感情移入できないように演出されている。しかし全くからまないわけにもいかないためなのか、寿や鉄など彼の母親のような女性、恋人の対象になりえないような女性とのからみは許されているようだった。
 幼少の頃に葉蔵が乗ることが好きだったというだけでは、繰り返し現れる馬車のシーンも何の意味もなさない。
 最後の文言通りに本気で太宰治の『人間失格』が読み継がれていくことを願っているのであるのならば、この作品を観て原作まで面白くないと誤解されないようにするために、この作品のDVD化は控えてもらいたいと切に願う。


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