MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ツナグ』 20点

2012-10-13 22:30:07 | goo映画レビュー

ツナグ

2012年/日本

ネタバレ

収拾がつかなくなった脚本について

総合★☆☆☆☆ 20

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 主人公の渋谷歩美は、生者と死者を一夜だけ再会させる仲介人「ツナグ」として祖母の渋谷アイ子の手伝いを通して、畠田靖彦、嵐美砂、土谷功一とそれぞれの死者との再会を目の当たりにし、結果的に3人ともに感謝されることになる。ところが肝心の歩美は彼が幼い頃に自殺した両親に会って無理心中した原因を聞こうともせず、意味がよく分からない屁理屈を述べて自己満足していることはどう考えても無理がある。更に歩美は死者に会うとするならば、祖母に向かって祖母に会いたいと言ってしまう。「ツナグ」という仕事はどうしても再会したい心残りの死者に会わせるというものであり、まだ生きている祖母に会いたいということは、祖母に対して未練を残すような振る舞いをしてしまうという宣言になってしまう。つまり歩美は「ツナグ」としての経験から何も学んでいないのである。
 更に気になることは、チェーホフの『桜の園』の主人公であるラネーフスカヤの役を巡って、本命だった嵐美砂に対して、彼女の親友である御園奈津が立候補し、奈津が主役を射止めた後に、部室で奈津が友人たちとしていた会話を偶然、廊下で美砂が聞いてしまうシーンで、奈津の言葉「あたしに敵うはずがないじゃない」という真意を、美砂の友人は「あたし」と「嵐」を聞き間違えたのではないかと慰めるのであるが、それ以前にこの文章の主語が問題だと思う。「あたしに敵うはずがないじゃない」とは嵐が私に敵うわけがないという意味と同時に、嵐には私には敵わないとも受け取れるからである。
 このように後半のストーリー展開はグダグダで脚本は完全な失敗であるが、霊媒師の役ならば今や右に出るものがいない樹木希林の演技と、ゴシック調の背景に映える橋本愛の美しさだけは観る価値はあると思う。


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