MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『少女は自転車にのって』

2014-03-30 22:59:20 | goo映画レビュー

原題:『Wadjda
監督:ハイファ・アル=マンスール
脚本:ハイファ・アル=マンスール
撮影:ルッツ・ライテマイヤー
出演:ワアド・ムハンマド/リーム・アブドゥラ/スルタン・アル=アッサーフ
2012年/サウジアラビア・ドイツ

男性優位社会に「脚」で挑む女性について

 主人公の10歳のワジダが自転車に乗ることを思い立ったきっかけは、幼なじみの男の子であるアブドゥラに「男に勝てるわけがない」という一言からだったものの、全体を通じて見られることは、女性がヒジャブ(=スカーフ)とは無縁の「脚」でもってバレないように男性が優位な社会に挑戦しているところで、例えば、ワジダの先輩の女子学生たちは爪に青いペニキュアを塗ったり足首に入れ墨のようなものを施したりしている。彼女たちが読んでいた雑誌はファッションモデルではなくて女性サッカー選手が写ったものではなかったか?
 ワジダは自転車獲得のために懸命に努力し、コーラン暗唱コンテストに優勝するのではあるが、当然のことながら男性になれるわけではなく、父親に跡継ぎと認められないまま、父親は第二夫人を迎えるのであるが、ワジダの努力は母親が認めてくれてプレゼントとして自転車を贈られるのである。
 母親からプレゼントされた緑色の自転車に乗って宣言通りにワジダはアブドゥラに勝つのではあるが、大通りに出たワジダがその後にどちらに向かうのか分からないまま逡巡している様子も、とりあえず男性に勝ったまでは良いものの、その後のサウジアラビアの女性の将来の不安定さ暗示させる上手い演出だと思う。
 因みにワジダが普段着ているTシャツの「I am a great catch」というロゴは「私は人気者」の意味。


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