MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『二人ノ世界』

2020-07-22 23:51:56 | goo映画レビュー

原題:『二人ノ世界』
監督:藤本啓太
脚本:松下隆一
撮影:高木風太
出演:永瀬正敏/土居志央梨/牧口元美/近藤和美/重森三果/宮川はるの/木村貴史
2017年/日本

希望が見いだせない「ファンタジー」について

 作風としては『世界一キライなあなたに』(テア・シャーロン監督 2016年)のように四肢麻痺の男性と介護を務める女性の話で、本作の主人公の俊作はバイク事故で体が不自由になったのだが、華恵も盲目というハンディキャップを抱えており、2人がどのように困難を乗り越えていくのかが本作の見所だと思って期待して観ていた。
 ところが冒頭から、視力を完全に失ったために離婚されて幼い息子とも会えない葛藤を紛らすためなのかアルコールに依存している華恵の室内が描かれ、いやな予感がする。
 間もなくしてそれまで俊作の身の周りの世話をしていた父親が病気で亡くなり、幼なじみで写真館を営む近藤が近所に住んではいるが、父親から貯金通帳などを預かった華恵が住み込みで俊作の身の周りの世話をするようになる。
 少しずつ心を通わせるようになるが、華恵の元夫と子供に二人で会いに行った帰りに俊作は全身痙攣に見舞われ入院騒ぎになり、俊作の親族から華恵は暇を貰うことになるのである。
 最初は俊作は不精髭を生やしておりリアリティーを感じるのであるが、後半になって華恵がいなくなっても俊作がいつも髭を剃ったようにきれいな顔でいるのが気になる。
 ラストはさらに驚くべきストーリー展開で、酒に酔った華恵は白杖を持たないまま夜中にさまよい歩き、踏切内で電車にはねられて死んでしまうのであるが、幽霊と化した華恵が寝ている俊作の家を訪れて、衣服を脱いだ華恵が俊作の横で一緒に眠るのである。「ファンタジー」に逃げてしまった感じが否めない。


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