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『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』 70点

2012-01-20 00:09:02 | goo映画レビュー

デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-

2011年/ベルギー

ネタバレ

史実の曖昧な忠実さについて

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 そもそも主人公で原作者でもあるラティフ・ヤヒアの話の信憑性に多くの疑問が呈されているとしても、とりあえずフィクションと見倣せばいいのであろうし、ウダイ・フセインの非情さは噂では知っていても映像で見せられると嫌悪感をもよおす程に刺激的ではあるのだが、本作を通して、ウダイ・フセインの非情さがどこから生まれたのかという、私が知りたいと思っていたことははっきりとは示されず、ただ父親のサッダーム・フセインの女癖の悪さが原因で母親が精神を病んでしまったということが仄めかされるぐらいだった。
 作品の前半まではウダイ・フセインとラティフ・ヤヒアの駆け引きがスリリングに展開していたのであるが、後半になってラティフがウダイの愛人であるサラブを連れてイラクから脱出する辺りから、ストーリー展開が雑になってくる。まずサラブがラティフとウダイのどちらの味方なのかがはっきりしない。サラブは自分には娘がいるとラティフに告白することから、人質として娘を捕られたサラブがウダイのスパイになった可能性はあるが、嫉妬心が人一倍強いウダイがラティフと愛人を一緒にしておくことは考えにくい。ラティフの父親が電話越しにラティフに対してウダイに屈しないように叫ぶシーンは感動的ではあるが、父親以外の家族がどのような状況に置かれているのかは描かれていない。ラストの暗殺未遂シーンも、張った伏線通りの予定調和で盛り上がりに欠ける。
 ウダイがラティフを殺せない理由は、ウダイのナルシシズムが邪魔をして、‘自分自身’を殺せないためであろうが、結局、ラティフもウダイに止めを刺せなかった理由はよく分らない。そのような史実の忠実さが中途半端に感じるとしても、ドミニク・クーパーの熱演はそれなりに見る価値があると思う。


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