MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『新しい靴を買わなくちゃ』 0点

2012-10-12 23:50:57 | goo映画レビュー

新しい靴を買わなくちゃ

2012年/日本

ネタバレ

新しい靴を買う前に教科書を

総合☆☆☆☆☆ 0

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 オールパリロケ、プロデューサーとして岩井俊二が加わり、監督と脚本に北川悦吏子、坂本龍一が音楽を担当し、中山美穂と向井理のW主演という‘お洒落’尽くしの本作は、低予算で撮られていることを勘案するならば、作品そのものの出来としては悪くはないのであるが、残念ながら北川悦吏子が最も得意とするはずの肝心の脚本に瑕疵がある。
 パリ在住で、日本語のフリーペーパー「OVNI」の編集をしているアオイが、自宅に訪ねてきたフランス人の友人のジョアンヌに、カメラマンのセンを紹介する際に、「Mon ami」と紹介するのであるが、親しい友人に女性が男性を「Mon ami」と紹介する場合はたいてい「彼氏」の意味であり、誤解を避けるために、例えばアオイが「un de mes amis」と言うか、あるいはジョアンヌが「petit ami (=恋人)」なのかとアオイに確かめながら小粋な会話が弾んだはずである。それはもちろんアオイがフランス語を解さないセンと事情を解さないジョアンヌの2人をからかい半分で言ったはずであり、だからジョアンヌはセンにアオイの子供のことを語ったはずであるが、何故かフランス人のジョアンヌはセンのことをアオイの「boyfriend」ではなく「friend」としか認識していない。
 センがバンド活動をしていたことをアオイに言った時に、アオイは自分は日本人だから「すべからく」をフランス語に訳せないと言うのであるが、それは北川悦吏子が分からないだけであって、アオイほどフランス滞在が長ければ、例えば「sans doute」などと訳せるはずである。
 もちろんフランス滞在が長い中山美穂ならば気がついていたはずであるが、「月刊シネコンウォーカー」8月号の中山美穂のインタビューによるならば、「北川さんの今回の演出意図は、彼女が書いたセリフを一言一句大切にすることで、アドリブは禁じられていました」とあるから、責任は北川にあり、ここで指摘したフランス語は難しいものではなく、語学学校の初級クラスで学ぶレベルのものである。
 どうせ日本人の観客はフランス語など理解できないだろうというあからさまな軽視が感じられ、観賞券を買ってまでバカにされたことがない者としてはかなりのショックを受けた。そういう評価である。


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