MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ショート・ターム』

2014-11-23 00:13:09 | goo映画レビュー

原題:『Short Term 12』
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
脚本:デスティン・ダニエル・クレットン
撮影:ブレット・ポウラク
出演:ブリー・ラーソン/ジョン・ギャラガー・ジュニア/ケイトリン・デヴァー
2013年/アメリカ

人形と金魚とタコを巡る物語について

 心を病んでしまった子供たちをケアする短期保護施設では些細なことが大事になる。例えば、サミーはカウンセラーから人形を没収されたことで落ち込み、18歳になり施設を出なければならないマーカスはその直前に飼っていた金魚が死んだことが原因で手首を切って自殺を図ってしまう。あるいは新入りのジェイデンは実の父親から暴行されていることを言うことができず、おとぎ話としてサメと友達でいたいタコが自分の脚を食べさせることでサメとの友情をつなぐことを自分の今の状況として例えて、かろうじて施設の主任であるグレイスに伝えることができる。施設長のジャックが気がつかずにジェイデンを彼女の父親の元に返してしまったことに対して、グレイスが大反対してわざわざ迎えに行った理由は、グレイス本人も父親に暴行されて妊娠中絶をした過去を持っていたからである。
 だからラストでアメリカ国旗をマントにしてサミーが施設から走り出し、グレイスとメイソンとネイトが追いかける、上のポスターで描かれているような場面は、病んだアメリカそのものを追いかけているように見え、最後まで緊張感が途切れることがない佳作になっていると思うのである。


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