MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『女と男の名誉』

2013-11-25 20:43:13 | goo映画レビュー

原題:『Prizzi's Honor』
監督:ジョン・ヒューストン
脚本:リチャード・コンドン/ジャネット・ローチ
撮影:アンジェイ・バートコウィアク
出演:ジャック・ニコルソン/キャスリーン・ターナー/アンジェリカ・ヒューストン
1985年/アメリカ

コメディ作品の演出の違和感 その1

 ニューヨークのブルックリンを縄張りとするマフィアのプリッツィ家を巡る物語はとりあえずコメディとして描かれている。例えば、プリッツィ家の金72万ドルを持ち逃げしたマークシー・ヘラーを追って殺した主人公のチャーリー・パルタンナはそこへ自分が好きになったヘラーの妻であるアイリーン・ウォーカーを発見したり、チャーリーとアイリーンが組んでプリッツィ家が大株主となっている銀行の頭取であるロザリオ・フェラージを誘拐する際に、間違った階でエレベーターを降りてしまった警部の妻を、顔を見られてしまったためにアイリーンが射殺してしまったり、チャーリーがナイフをアイリーンの首に向かって投げて刺殺するシーンや、嫉妬によって父親に嘘をついてチャーリー殺してもらうつもりが、結局、アイリーンが死んでしまったためにチャーリーが自分に電話をかけてきて喜ぶメイローズの灯りに照らされる笑顔のラストまで、コメディの要素は脚本に万遍なく注ぎ込まれている。
 しかし作品そのものの雰囲気は決してコメディを感じさせるようにはなっていない。例えば、ラストでロサンゼルスで会ったチャーリーとアイリーンは寝室で刺し違えることになり、アイリーンが狙いを外したことで絶命してしまうのであるが、プロの殺し屋として名を馳せていたアイリーンが近距離で狙いを外すということが考え難い。あるいは情に流されたアイリーンが意図的に狙いを外したとも考えられるが、ロサンゼルスに来る前にアイリーンは既に翌日のロスから香港行きの航空券を予約している以上、最初からチャーリーを殺す目的でロスに飛んだのである。近距離で狙いを外すことがコメディ的なのかどうか判断の分かれるところではあるが、個人的にはミスと言ってもいいと思うこの演出がジョン・ヒューストン監督のコメディ作品の不慣れによるものなのか、あるいは既に79歳だった監督の老いによるものなのか定かではない。


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