MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『幕末純情伝』

2020-07-25 00:44:04 | goo映画レビュー

原題:『幕末純情伝』
監督:薬師寺光幸
脚本:薬師寺光幸
撮影:浜田毅
出演:渡辺謙/牧瀬里穂/杉本哲太/伊武雅刀/財前直見/榎本孝明/柄本明/津川雅彦
1991年/日本

「刀と機関銃」について

 決して出来が良いとは言えないが、誤解されている部分があるようなので指摘しておきたい。
 沖田総司を演じたのは牧瀬里穂で、男性を当時大人気だった若い女優が演じたことで「純情」というタイトルの言葉が引っ張られ過ぎている感があるのだが、これは例えば、『御法度』(大島渚監督 1999年)のような同性愛を問題にしている訳ではないという意味に取るべきであろう。
 それならば本作のテーマが何なのかというならば、それまで「刀」で親交していた侍たちが、「拳銃」の登場により当惑するという物語であろう。沖田と土方歳三の友情は刀を交わすことで保たれており、そこに坂本龍馬が介入してきて「三角関係」となるのであるが、じわじわと「銃」の侵攻により新選組は追いつめられ、ついにはマシンガンで近藤勇たちは絶命してしまう。
 そのような流れでラストを観るならば、刀で沖田に切りつける坂本の一見突飛とも見える行動も理解できると思う。彼らは「刀」でしか情を深めることはできず、沖田を連れて土方が蝦夷へ向かう理由も、「銃」が存在しない場所を求めていたからなのである。


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