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『淳子のてっぺん』唯川恵

2020-03-13 22:30:52 | 読書
                     
 この前私が所属している山岳会の会合に参加した時に 何かの話題で 田部井淳子さんの名前が出ました。

たまたま先日アマゾンからお勧め図書で『淳子のてっぺん』が出てきました。

 私が小学生から中学生の頃に今井通子さんや田部井淳子さんといった女性登山家の活躍が話題になり 今井さんの『私の北壁』を読んで 山に憧れていた時期がありました。
田部井さんのことはお名前は存じ上げていてもほとんど知りませんでした。 丁度田部井さんを知っている先輩方のお話を伺ったあとだったし 読んでみたくなりました。
 この本はあくまで小説ですが 田部井さんの許可は取って彼女の人生の一部分(山との出会いからエベレスト登山の頃)を書かれたものです。
この作品は3章に分かれています。
 第一章は幼い頃に山と出会った話。 第二章では大学を卒業し、働きながら山にのめり込んでいき、恋をしたり、ひとりきりでの登山ではなく「女のくせに」という差別に悩みながらも山岳会に所属し技術をみがき 初めて女性だけでアンナブルナに登るまで。 そして第三章は女性だけの登山隊ならではの難しさに悩み、家族のことを考えながらエベレスト登山を成功させるまでの話、と簡単に言ってしまえばそんなところです。
 今でこそ山に行けば『山ガール』と言われるオシャレで技術もある女性がたくさんいますが 田部井さんが登山を始められた頃には女性の登山は珍しかったのではないでしょうか。
彼女よりかなり年下の私の時代でさえ大学時代に山岳部には女性はひとりもいませんでした。装備だって私が初めて燧ケ岳に連れて行ってもらった頃ですらニッカポッカと毛糸の靴下、ザックは最新式がアルミの背負子?みたいなもの、と随分違っています。 かなり重い装備で小柄な田部井さんは大変な思いをされていたのではないでしょうか。
 しかも男性の中での登山では「女のくせに」と言われ、女性だけのパーティーになると男性とは違う大変さをたくさん経験されていたようです。
それでも田部井さんが生涯現役で登山を続けられたのは本当に山を愛していらっしゃったのとご家族の強い思いがあったからだと思います。
 登山は大変だけど楽しいもの、しかし『死』がそばにあるものです。 登山の怖さ、すばらしさを教えてくれる小説でした。

 最近私の登山ってどんなものなのだろう?と悩むことが多いです。 私は運動神経は悪いし、怖がりだし、高所恐怖症だし、朝に弱いし、もともとインドア派だし・・・・私くらい登山に向いていない人間はいないと思います。 なのになぜ登るのか? これからどんな登山を目指すのだろう? そんなことを考えていた時にこの本と出会えました。
 標高の高い山、難度の高い山をみんなが目指さなくてもいいよね、と思うことにしました。
私は難易度は低くても 頑張りたい、と思う自分が納得する山に登ることにします。
いつになったら中級、上級の山に行くの?なんて訊ねられても堂々と私は初級で十分満足、行きたい山に登ります、と答えようと思います。

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