むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

2021年に読んだ本より名著10選

2021年12月29日 | 読書
今年は82冊ほど読みましたので、その中から心に残った10冊をご紹介します。

まずは、歴史もの3点です。

サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ)河出書房新社
7万年前、ホモサピエンスが新しい言葉を手にいれた認知革命以後、原子力や遺伝子操作、情報工学の発達によりホモサピエンス以上に進化しようとしている現代までの長大な歴史。

日本人のための第一次世界大戦史(板谷 敏彦)角川ソフィア文庫
銀行マンの視点から、第一次世界大戦の真相にするどく切り込む。
戦線の勝敗は、そこへつづく線路の数で決まっていた。

まほろばの疾風(熊谷達也)集英社文庫
蝦夷(えみし)へ押し寄せる大和朝廷の侵略に対して、抵抗するアテルイ。
大和の英雄、坂上田村麻呂の調略により出現で追い込まれていく。
その戦いは、稲作文化の大和朝廷が、狩猟文化の蝦夷の民を同化する過程で起こったものであった。

次は、ノンフィクションを4点ご紹介します。

ルワンダ中央銀行の総裁日記(服部正也)中公新書
1965年、極貧のアフリカの小国ルワンダに恒常的赤字に悩む中央銀行総裁として赴任した日本銀行マンが、アフリカの優等生と言われるまで立て直すの苦闘の日々。

道迷い遭難(羽根田 治)ヤマケイ文庫 

なぜ人は道に迷ってしまうのか。赤いテープを目印にしたはずなのに、踏み跡を辿ったはずなのに、慣れていたはずなのに人は道に迷います。
そして、迷ってしまうと、十二分に分かっているはずなのに間違った行動をしてしまうのです。

浮浪児1945-(石井 光太)新潮社
5年の歳月をかけて、保護施設の関係者や元浮浪児たちを取材したドキュメント。浮浪児たちの生活や、そのつどの決断がその後の人生にどう影響していったのか。浮浪児たちには愛されて育った過去があったから芯の強さがあったと証言する施設の職員の言葉が心に残った。

おもかげ復元師(笹原 留似子)ポプラ文庫
死者の体は崩れていく。気持ちよい別れをするためには、それを復元し綺麗にして遺族にみせる復元師が不可欠だ。
著者が体験した数多くの事例の中から、感慨深い別れの瞬間が紹介されている。
後半は東日本大震災のときのエピソードが中心となる。

次は、小説を3点紹介します。

塩狩峠(三浦 綾子)新潮文庫

言わずと知れた名作。
主人公がとにかくよい人で、まっすぐで正直で愛情深い。ここまで良い人だと胡散臭さも吹き飛んでしまうほどだった。
愛とは与えることを体現した話だ。

告知(久坂部 羊)幻冬舎文庫
医者である作者が13年間の在宅介護医療で働いた経験をもとにつづった人間模様。回復不可能な患者たちとその家族が見せる人間性にはいろいろと考えさせられるものがある。作者はブラックユーモアが得意のエンターテインメントをたくさん書いているけど、これにはそれが少ししかない。

土の中の子供(中村 文則)新潮文庫
芥川賞受賞作。
親に虐待され土の中に埋められた記憶を持つ主人公の底辺の生活を描く。
この人が書く人物像は、どん底の絶望の中で無気力に生きているように見えて、心の奥底では生命の熾火がチロチロと燃えているようなところが魅力的だ。

他に宮本輝の流転の海シリーズもすばらしかったのですが、9冊もあるので除外しました。あと1冊で読み終わるので、そのときご紹介します。


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