見出し画像

映画と渓流釣り

2023年のテレビドラマ考察


2023年は18本の連続ドラマを観た
昨年のような超弩級の傑作は無かったし、数も少なくてちょっと寂しい一年だった
テレビのドラマ枠は確実に増えているし、配信系のメディアもオリジナル作品を量産している。韓国ドラマは世界市場を念頭に躍進しているし、高齢者しか観ない日本のテレビ界で生き残るには安定的な良質原作と客を呼べる役者の起用しかないのだろうか?
その辺に穴を開けられる革新的な匂いがする作品を選んだ


1番はバカリズムの脚本が秀逸だった「ブラッシュアップライフ」
何度も転生して周囲の人々とのつながりを微妙に変えて行く展開は、タイムマシンの過去未来と同じくらい夢があるのに
欧米人には輪廻転生の死生観がないため東洋人しか受け付けられないかもしれないけど、これから映画の題材にもなりそうでいい着眼点だと思う
安藤サクラ、夏帆、木南晴夏の演技派女優の絡みは成人式帰りの独特の頭であろうが説得力があって、何度目の人生であってもまた巡り会いたい友人関係なんだと思わせてくれる

小野花梨が強い印象を意識付けた「初恋、ざらり」の恋愛の形は、今流行りの人生の多様性を考えさせてくれた
最近の傾向として障がい者を積極的にドラマの主人公にするようになったけど、流石に知的障がいをあつかうことはなかったのでテレ東らしいチャレンジングな企画だと思う。恋愛中心の壁の高さをみせるだけじゃなくて、社会(仕事やコミュニティ等)との疎外感なんかも痛みを伴って感じさせてくれたなら凄い傑作になったかもしれない

岡田恵和の脚本が優しい「日曜の夜ぐらいは」で描かれた女性3人と周囲の人々を、応援したいと思いながら毎回楽しんで観ていた。山田太一の傑作「想い出づくり。」と似たコンセプトだけど、時代背景のせいで女性の結婚を前提としたような話ではなくて、自分らしく生きる為にはどうすればいいのかというような深みのある物語だった
清野菜名や岸井ゆきのが上手なのは知っていたけど、生見愛瑠が埋もれない存在感を出せていたのには驚いた

原作漫画「君に届け」があまりにも名作すぎるので全くこのドラマは脚光をあびることはなかったけれど、原作の素晴らしさは差し引いても青春ドラマとしてとても良くできていたと思う
結局毎話ただただ泣いてしまっているのは情けないけれど、人を好きになることに真っ直ぐいられることは人生の中でも一時的な特別な時間だし、あの頃を思い出しひたすら応援したい
千鶴役の中村里帆がオタクドラマに引き続き目を引いたことも忘れないように

前作には及ばなかったけど、作家としての可能性を感じることができたのがこのドラマの価値だろう。「いちばんすきな花」に詰め込まれたお話は頭デッカチで先走りの目立つものが多かったけど、周到に用意された人と人の関係性は今年量産されたその他のドラマにはない丁寧さを感じる
確かに面白いドラマは勢いみたいなものが必要ではあるけど、大前提として真摯な丁寧さがなければならない
生方美久には次回作をまた期待しよう


プロデュースと演出は「初恋、ざらり」の祖父江里奈Pと池田千尋D
脚本は「ブラッシュアップライフ」バカリズム
主演女優「初恋、ざらり」小野花梨
主演男優「らんまん」神木隆之介
助演女優「ブラッシュアップライフ」木南晴夏
助演男優「いちばんすきな花」松下洸平








名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「旧作映画、TVドラマ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事