一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

大崩山② ……岩稜に囲まれた天空の城で、一日の王となる……

2009年09月21日 | 山岳会時代の山行
3:00
起床。出発準備。
3:45
マイクロバスに乗り込む。
本日の行程は、A班は、ワク塚ルートを登り、山頂を経て、坊主尾根ルートを下山。
B班は、山頂をパス。
リンドウの丘で待ち合わせをして、A班・B班一緒に昼食をとることになっている。


4:19
ヘッドランプを装着し、登山口を出発する。
登山口から山に入った途端、身が軽くなるのを感じる。
自分が纏っていたすべてが向こう側へと消え去る。
日常生活に垢のようにこびりついた煩わしさ、錆のように付着した義理や義務といったものが遠ざかっていく。
山に入るとはそういうことなのだと思う。
すべてから自由になるということなのだ。


大崩山荘を経て、祝子川に沿って進む。
5:40
左折して祝子川に降り、広い大岩の川原で朝食。
食べている間に周囲が明るくなってきた。
ヘッドランプをザックに仕舞い込む。


6:09
祝子川渓谷に架かる細い橋を渡ってワク塚コースへと入って行く。


大崩山一帯には、現在シコクママコナが咲き乱れている。
黄色いサフランライスがこの花の目印。


7:26
袖ダキに到着。


袖ダキから見る小積ダキの大岩壁は、圧倒的な迫力で見る者に迫ってくる。


右に目を転ずると下ワク塚の美しい岩峰。


朝陽が当たると岩の色が変化した。


ハシゴを使い、登って行く。


8:07
下ワク塚に到着。


素晴らしい眺めの連続に、皆自然に笑顔になる。


中ワク塚を眺めながら高度を上げていく。


アキノキリンソウがたくさん咲いている。


8:32
中ワク塚に到着。
上ワク塚を見上げる。


9:04
フクオウソウを発見。
昨年の9月に雲仙で見て以来、一年ぶりに逢う花である。


9:05
上ワク塚の下に到着し、見上げる。
一見すると、登れないような険しい岩峰である。


左に回り込み、狭い岩の裂け目をロープを使い登っていく。
太った人は通れないのではないか……ということで「メタボ検診岩」と勝手に名付ける。(コラコラ)


上ワク塚に登った者しか目にすることができない「七日廻り岩」。


大崩山山頂付近は、少しずつ色づいてきている。


上ワク塚から中ワク塚を眺める。
霧を纏い、荘厳なる雰囲気。


上ワク塚を降り、大崩山山頂に向かう。
岩峰群は終わり、ヒメシャラやブナの木が目立つようになる。


赤く色づいたモミジの葉が落ちていた。


10:27
大崩山山頂に到着。


全員で。


11:30
B班との待ち合わせの場所「りんどうの丘」に到着。
ここで昼食。
展望を期待していたが、ガスに覆われてまったく何も見えず。
だが、昼食を食べ終えた頃から、ガスが消え始めた。




劇場のカーテンが開くようにガスが消え、舞台では華麗なショーが始まった。
タイミング良く陽が差してきて、ワク塚の全貌がくっきり浮かび上がった。
まるでスポットライトが当たったように……
あまりの美しさに言葉を失う。






この感動を、目に、心に、しっかり焼き付けた。
ここはまさしく天空の城。
そして、誰もが城主になる資格を持っている。
素直に感動できる心を持ってさえいれば、資格は十分に満たされるのだ。


12:44
象岩下のロープ場を通過。
片側が切れ落ちている悪場だが、思ったほど恐怖はなかった。


左手に小積ダキを眺めながら下っていく。


坊主尾根にはリンドウがたくさん咲いていた。


「オ~イ!」
両手を広げてポーズをとるアキさん。


米岩(坊主岩)は、本当に米粒のような形をしている。


14:32
祝子川を渡る。


14:35
大崩山荘にて休憩。

15:20
登山口に戻ってくる。


大崩山……本当に素晴らしい山だった。
極上の山だったと言っても言い過ぎではない。
正直、これほどスケールが大きい岩峰とは思わなかった。
写真で見るのと実物を見るのとでは大違い。
やはり山は実際に登ってみなければ分からない。
今回の山行で、大崩山の全部を知ったとはまったく思わない。
多分、100分の1も知り得ていないと思う。
それほど懐の深い、深山幽谷の山であった。
いつの日か、今度は三里河原コースを歩いてみたいと思う。
人生の楽しみが、望みが、またひとつ増えたことを喜びたい。

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