森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

おてんとうさま

2015-12-07 | 日記


 師走になってから、カラット晴れ渡った日は一日もなかったように思います。
毎日、毎日、雪か雨が降るから、当然気分も暗くなります。
 黒い雲が、白い雲に押し流されて、一瞬割れ目から日が射すと「ありがたい、
ありがたい」叫びたくなります。

 もう名前は忘れたのですが、子供の頃、浜に落ちる夕日に向かって、両手を
かざして「おてんとうさまは神様です ありがたや ありがたや」と大きな声
で叫ぶ有名なオバチャンがいました。
 近所の人たちは「ちょっとパーだからね 口を利くんじゃないよ」と言って
いました。でもその踊るような仕草が面白くて、それよりもオバチャンガ叫ぶ
と太陽がグングンと海へ沈んでいくのが不思議で、いつまでもじっと見ていま
した。
 オバチャンも気が付いていたらしく、ある時こっちを向いて手招きして「あ
んたも一緒にやりなさい」といったのです。私はビックリして、返事もせずに
家に逃げ帰ってきました。

 しかし今になってみると、あのオバチャンの気持ちが良く分かります。あの
時、言われるままに一緒にやっていたら、また違った人生、いやもっとマシな
生き方をしていたのかもしれません。



 森の雨は、天然のイルミネーション。



 こんな暗い季節に元気をくれるのが、森の生き物たちです。
                             動(yurugi)