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小林峠 秋空の下

   (野生の白樺の向こう、南区の風景が遠く見渡せる、小林峠の頂上付近。)

小金湯温泉の桂の巨樹に会うためにGPZ1100を飛ばした小林峠は、札幌市中央区と南区の間にある。
その春まだ浅い夕景を以前お伝えしたことがあった。(『小林峠 春の夕景』)
今は秋。刻は昼。紅葉まであと10日ほどだろうか、秋空の下、小林峠を再訪した。


峠の高さは300m。南区側から来ると、南区北の沢からけっこう急な上り坂を延々登った後、山膚にぶつかると同時に右にヘヤピン。200mほど直進して今度は左のヘヤピン。また200mほど直線を登ると、右、左のS字カーブ、そして写真の頂上は右の逆バンクのヘヤピンになっている。

反対側も短い直線を挟んで左ヘヤピン、右ヘヤピン、S字のカーブが続いて峠が終わり、長い下り坂が始まる…というレイアウトだ。


頂上から南区側を見返す。右手奥に駐車場。10台ほどが停まれる。景色を眺める人。仕事中に休憩に来た人。ここに車を置いて、山筋に歩く軽登山を楽しむ人など。いつも何台かの車が停まっている。


峠には石碑はあり、その碑には碑文が刻まれている。写して来たので下に載せておこう。
  碑 文

藻岩地区は北西の藻岩山・西南の砥石山と硬石山に囲まれ、その麓一帯を占める地区の大半は東方の豊平川へと傾斜している地形から「陸の孤島熊の巣」と称されていた。北の沢地区は開村以来入植者によって細々とした道はつけられたが依然起伏は険しく、急病人を運ぶに支障をきたし、又肥料が運搬出来ないなど農業の衰退をも引き起こした。この事態を憂いた有志が団結、昭和三十一年産業観光開発道道促進期成会を結成し道路造りに着手した。道路用地は幾多の辛酸により開墾された土地が地主の強い郷土愛によって無償で寄付された。関係行政との交渉道路工事時の困難を乗り越え昭和四十年十一月今日の道道西野真駒内清田線の開通を見るに至った。現在通称「こばやし峠」と呼ばれるこの道は、札樽国道・国道虻田線・国道千歳線を最短距離で結び、又藻岩山の四季折おりの姿を観賞できる道として広く市民に親しまれている。
ここに先人の苦労を偲び北の沢の限りない躍進と繁栄を祈念する。
                                  記 川淵初江
熊の巣というのは大げさではない。この春にも峠で熊が発見されている。
ここは本来、山親爺(熊)の領域。標高は低くても人間のテリトリーではなかった。
しかし、碑文を読むと、この道の開通には、地元の人々の並々なら思いが込められていたことがわかる。この道は、「北海道開発庁」みたいな役所が住む人や自然と関係なく図面を引いて造った道ではない。生活に必要だから、土地を供出して造った生活道路なのだ。

写真右手の山の斜面には遊歩道が付いていて、近隣の山々に続いている。


こんな気持ちのいい道が続く。だが、一人で入るときは低い山でも熊に注意。カウベル(熊よけの鈴になる)を忘れずに携行。


切り通しの峠。法面に生えたイタドリは早くも秋枯れの色を見せ、山の木々も紅葉はまだにしても、夏とは違った秋の色に変わっている。

GPZも心なしか、春の孔雀色の青から、秋色の青に染まったように見える。
(当然これはカウルへの写り込み等によるもので光によって色が変わって見える特殊塗料を塗っているわけではありません。)

今日はこれからこの峠を南区側へ下り、真駒内南小学校にあるというミズナラの巨木に会いに行こう。(次回は「北海道の樹を訪ねて22―真駒内小学校のミズナラ」です。)
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