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「石つぶて」清武英利

2018年05月19日 20時36分13秒 | 読書(犯罪)


「石つぶて」清武英利

外務省の「機密費」というタブーに挑んだ刑事たちを描いたノンフィクション。

P40
「ざぶん」と「どぼん」。接待用語である。
(中略)
「ノーパンしゃぶしゃぶ」という接待もあった。(大蔵官僚の接待として有名になった…大蔵大臣、大蔵省事務次官、日銀総裁が辞任に追い込まれた)

P69
「その顔だけで恐喝罪になるんじゃないか。歩く恐喝だよ。中島さん」
(どれだけ怖い顔の刑事なんだ。犯人もすぐ自白してしまうかも)

P110
外務省は紳士ぞろいに見えるが、実は女性関係に寛大で、不倫が咎められない役所になっていた。
(中略)
「女でしくじるキャリアは実に多かったです。キャリアがそうだから、別にノンキャリがしくじったって問題にされない。在外勤務をするとカネはできるし、しくじっても偉くなる芽が摘まれてしまうわけでもないから、女にはみんなだらしなかったですね」

P160-161
「税金よりも刑事事件のほうが優先しますから。もし、捜査しているのが汚職事件であれば、なおさら様子をみるしかない。汚職で得た資金は課税しません。警察が立件すれば、その賄賂資金は後で国に没収されるからです。これまで賄賂金まで追徴課税できたのは、ロッキード事件の田中角栄だけですね」

P322-323
確かに、警視庁の一人ひとりの刑事の能力は検事たちに比べると劣っているように見える。(中略)石つぶてのように力のない集団だ。それでも彼らには蟻のような人海戦術がある。無名の石ころの力を集めることで、霞ヶ関の底知れぬ腐敗に光を当てることができる。

【参考】
著者の清武英利さんの作品では、過去に「プライベートバンカー」を読んだことがある。
こちらもよかった。

「プライベートバンカー」清武英利

【ネット上の紹介】
消えた10億円。沈黙する官邸・外務省。「機密費」という国家のタブーに挑んだのは、名もなき4人の刑事だった。人間の息遣いが聞こえるヒューマン・ノンフィクション。
序章 半太郎
第1章 捜査二課の魂
第2章 浮かび上がる標的
第3章 地を這う
第4章 情報係とナンバー
第5章 パンドラの箱
第6章 聖域の中へ
第7章 涜職刑事の誇り
第8章 束の間の勝利
事件の後で

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