たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

畠山健二著 「本所おけら長屋」(七)

2019年12月07日 10時56分24秒 | 読書記

「晴耕雨読」・・・、言葉だけは若い内から使っていたが 昔だったらいざ知らず現代の暮らしではそれは無理、と 思っていたものだ。
それが 自分ではあまり意識したことはなかったが 数年前に完全に仕事をやめてから徐々に徐々に それに近い暮らしになってきたような気がして、なんだかなあー である。
当地今日は 雨は降っていないものの 最高気温が6度前後と 冷え冷えする曇天、
出掛ける用も無く、部屋にくすぶっている。そろそろ 炬燵を設えなければなあ・・・等と つぶやきながら・・・・。

図書館から借りていた 畠山健二著 「本所おけら長屋」(七) (PHP文芸文庫)を 読み終えた。
「本所おけら長屋シリーズ」第7弾の作品である。
本書には 「その壱 ねずみや」、「その弐 ひだまり」、「その参 しらさぎ」、「その四 おしろい」、「その五 あまから」の連作短編5篇が 収録されている。
ほぼ1話完結構成なので 記憶力減退後期高齢者には 読み易く、まるで江戸落語さながらの笑い有り、涙有りの面白さ、テンポの良さで 一気に読んでしまえる。

畠山健二著 「本所おけら長屋」(七)

江戸本所亀沢町には 人情とお節介で名高い おけら長屋が有る。貧しいくせに、お節介、人情に厚い住人達が 次々と巻き起こる騒動、事件に まるでひとつ家族のように関わり合い、助け合いながら、、笑いと涙で体当たり、まーるく収めて 肩を寄せ合って暮らしている。人の優しさが心に沁み込んでくる時代小説だ。

「その壱 ねずみや」
居酒屋で呑んでいる 左官の八五郎。米屋の万造、酒屋の松吉の三人組に 浪人の島田鉄斎が加わり 専らねずみ小僧の話となる。芋売りの今助お涼兄妹が登場する。実は 大盗賊だった暁の滝右衛門の子であったのだが・・・、おけら長屋の住人達のお節介や、火付盗賊改方筆頭与力根本伝三郎の粋な計らいで・・・、

「その弐 ひだまり」
おけら長屋住人に深い関わりの有る、小名木川にかかる高橋の近くにある治療院聖庵堂の聖庵先生が昔のことを思い出す物語である。上州高根藩の藩医の嫡男だった林太郎その後玄志郎、お歳、お吉とも関わり、長崎留学、助手のお満・・、
文中より
「先生 万造さんが来ました。・・・・」「お満、お前が診てやれ。せっかく万造が来たんだからな」、お満は顔を赤くする。


「その参 しらさぎ」
旅芸人白鷺座の芝居に 神田佐久間町の大店、絹問屋志摩屋の娘お静がはまってしまい、主久太郎が頭を抱え込む話と 座長白鷺大夫と上野不忍池界隈のアバズレ女お浜の話が交錯する。万造、松吉、島田鉄斎等おけら長屋住人が絡んだお節介とすったもんだの大芝居、笑いが堪えられず、涙を誘われる物語である。

「その四 おしろい」
両国橋の西詰に有る小間物問屋永美堂の主円太郎には化粧する悪趣味が有る。八五郎、万造、松吉の三人組は 招かれた高級料亭で てんやわんやの大騒動。挙句の果て、万造が大声を上げる。両国稲荷のお祭りに 「永美堂主催で 女形美人合戦ってのはどうでえ」

「その五 あまから」
「その壱 ねずみや」の芋売りの今助お涼が 再登場する。舞台は 江ノ島。暁の滝右衛門の弟分だった丈八(じょうはち)は 江ノ島の旅籠晴海屋の主におさまっているが・・・、江ノ島見物のおけら長屋の大家徳兵衛も一役、火付盗賊改方筆頭与力根本伝三郎や浪人島田鉄斎による盗賊一味大捕物有り。
文中より
徳兵衛の家では 徳兵衛と鉄斎が芋を肴に酒を呑んでいる。(中略)、「しかし島田さん、この甘辛煮は絶品ですなあ」「甘さと辛さが混じり合って味わいが増す・人と同じですなあ・・・・・。」(後略)


「本所おけら長屋シリーズ」は 13巻まで発刊されているようで 続編も楽しみになってくる。

 


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