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諸田玲子著 「からくり乱れ蝶」

2022年07月22日 17時06分16秒 | 読書記

図書館から借りていた、諸田玲子著 「からくり乱れ蝶」(徳間書房)を、読み終えた。清水の次郎長を題材にした時代映画等は、子供の頃からよく観ていたような気がするが、正直、その時代背景や史実、抗争の真相等、よく分からないままできたように思う。次郎長には、3人の女房、初代お蝶、二代目お蝶、三代目お蝶がいたと言われ、本書は、ほとんど史実として取り上げられていない二代目お蝶を主人公にした、短くも鮮烈な生き様を描いた長編時代小説である。

(目次)

第1部 吃安の娘 
第2部 壺振りお駒
第3部 二代目お蝶

(あらすじ)

元甲州の侠客竹居一家の親分安五郎・吃安(どもやす)の娘お冴え(おさえ)は、我儘で気の強い女性に成長し、14才の時、吃安の弟分、19才の黒駒の勝蔵と出会い惚れてしまう。その想いは一途であったが、勝蔵は逐電。父親安五郎は捕縛され獄死し、竹居一家は離散。お冴えは、頑なに、父親の仇討ち、竹居一家の再興を思い続けながら、出自を偽り改名、駿河国安東一家に身を寄せ、壺振りのお駒となるが、そこに、清水の次郎長が現れる。勝蔵への思いはつのるばかりだが、勝蔵の要求で、次郎長の2番目の女房、二代目お蝶となる。清水一家を束ねる「姐さん」になっても尚、次郎長にとっては宿敵の勝蔵を一途に想い続ける女性の凄さ、激しさが描かれているが、時は幕末、激動の時代、博徒の抗争にも終焉が近づき、新しい時代に向かう中、孤立無援となる二代目お蝶、その結末は?、そして次郎長は、三代目お蝶を娶った。
この物語の最末尾、
「姐さん・・・」、はじめてお蝶を見た日の鮮烈な驚きを、満つはふっと思い起こしていた」
明治26年6月、死の床のついた次郎長に付きそう次郎長の養女(次郎長の姪・兄の子)満つこそ、著者諸田玲子氏の母方の祖母なのだという。次郎長の末裔とも言える著者だからこその作品であると思う。


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