朝、時間に追われた…

いつも、いつも
決まった時間があって
その時間に、急き立てられて
時間に、追われていたのか
いや、追っていたのか
そんな風に、生きてきた
目覚めると
色々、やることがある
でも、出かけなくちゃ
せめて、少し
口には、押し込んで
でも、出かけなくちゃ
着替えない訳には
絶対に、いかない
まさか、パジャマで
会社は、行けない
さあ、靴を履いて
クルマで、送って
貰ったりもしたけど
チャリで行く時も
あったよな
バスは、よく
渋滞で、遅れるから
なるべく、使わないよ
駅に着くと
もう、時間だけに
追われる訳じゃない
それどころじゃないから
さあ、人混みだ
呑まれるしかないけど

呑まれたくないなあ
でも、分け入るしかない
そう、思った時には
もう、人波だ
呑まれていて
人いきれ、人混み
ただ、揉みしだかれる
やがて、そのまま
電車にも、呑まれて
人混みに、揉まれるまま
でも、追われていた時間を
いつの間にか、追っていて
そして、取り敢えず
追いついている
取り敢えず、大丈夫
上手くすれば
座席に、倒れ込める
座席に、倒れ込めば
背もたれに、沈み込める
眠り込むんだ、浅くだけど
深く、眠りたい
いや、でも
この電車が
ターミナルに着くと
また、時間だ
息吐く間も無い

追い立ててくる
忙しなく、さあ

立ち上がれ

立ち上がれば

さあ、歩け

歩き始めると

そこは、もう人波

人波が、うねる

他人より、前に

一歩でも、前に

そうしないと

呑まれた人波に

永遠に、揉まれ続ける

抜け出せないまま

揉みしだかれるんだ

追い立てていた時間は

もう遥か前で

おいで，おいでで

置いてきぼりのおまえは

今度は，また

追いつけない時間を

必死に

喘ぎながら

人波の中

揉まれ、掻き分ける

そうだよな

今は，終わる

ただのひとときだから

だから、おまえは

深くは、眠れない
座席、背もたれ
もっと、沈み込ませようと
身を捩って
でも、深くは
眠れない…