病院も、就業年齢は高齢化

　入院した地元の整形外科病院。そのスタッフの人たちの平均年齢は、相当に、高い感じがしました。とは言え、今のこの高齢者社会の世の中ですから、何処へ行っても、押し並べてそんなもんです。不思議なことでは、ありません。

　例えば、療法士さんたち。自分のこの手術、入院時には、案に相違して、一番お世話になった、接する時間が長かった職制の人たちだったのですが。彼ら、彼女らは、二、三十代と言った感じでしたね。まあ、病院内では、一番若い職制だなと言う印象が、ありました。

　自分の憶測ですが、ここまで、整形外科、或いは病院そのものの治療に、深く関わるようになって、日が浅い職制なのかな、と思いました。病院や、入院の浦島太郎状態の自分には、良く分かりませんが。それでなければ、恐らく、四十代が、管理職も含めて、一人もいそうもない、年齢構成は、かなり不思議でした。

　まあ、一際の肉体労働と言うのもあるでしょうね。例えば、リハビリ室に行けば、一人を、マッサージしていて、終わると、器具を使ってのリハビリの、指導と見守りとなります。ただ、手の離せる患者だと、同時並行に、次の患者を、マッサージしていました。だから、休みなく、肉体労働のマッサージをしているような、感じでした。若くなければ、とても出来ないような仕事に、思えました。

　でも、高卒で、昔のように、二年制の専門学校卒であれば、二十歳そこそこの子がいても、おかしくはないんですけどね。やはり、殆ど、二十五歳以上と言う感じです。就学する年限が、専門学校でも、三年。四年制大学卒も、かなり普通なようです。しかも、今時ですから、畑違いの大卒、専門学校卒で、この分野に就学し直すことも、ありそうですよね。そうなったらら、働き始めが、２５歳以上に、なってしまいます。

　自分の担当の療法士さんと、彼が都合が悪い時に診てくれた療法士さんの二人は、同じ三十歳でしたね。自分の息子たちより、年下ですが。でも、三十歳ちょうどでした。大昔の病院スタッフの年齢を考えれば、まったく、若くはありません。

　自分たちの時代には、職場によれば、当たり前に管理職だとしても、不思議ではない年齢ですよね。でも、職場では、彼らは、平均的な年齢のようでした。やはり、この肉体労働であるのに、職業現場の高齢化を、感じてしまいました。療法士のチーフは、女性で、三十代半ば位の感じの方でした。年齢差は、そんなにないんですけどね。

　チーフの女性は、自分は、接点がありませんでした。でも、施術用の隣りのベッドで、患者のおばあちゃんに、愚痴っているのを、聞いてしまいました。曰く、この肉体労働の重労働で、何歳位迄、出来るのか分からない、と。やはり、少子化であるにも関わらず、就学年限は延びていて、こんな肉体労働に就労出来る人たちは、どんどん減っていくんだろうな、と。感じずには、いられませんでした。

　医療関係者で言えば、正看護師なども、同じ、就学スタイルだと思います。四年制大学か、三年制の専門学校です。中卒で、五年制の高専もあるようですがね。あとは、准看護師で、職務経験を積んで、指定の専門学校を、と言うコースも、あるようです。どちらにしろ、昔より、就学年数が、かなり増えているように思います。少子化対策の、教育事業存続の為とも、思えてしまいます。就学年限延長縛りをして、教育産業の利用者数、学費収入維持を、図っているのかな、とか。

　正看護師は、医師同様、国家資格ですが、昔は、高卒後の二年次修了の専門学校が、普通だったと思います。准看護師は、昔と変わらず、中卒可の専修学校卒で、資格取得出来るようでは、ありますが。

　でも、実際には、准看護師専修学校も、正看護師過程への受験の学力が足りない高卒者が、殆どを占めているような気が、します。ただ、こちらの資格は、都道府県知事の認定する資格で、一段低い資格になります。医師や、看護師の指導、監督の下、限定的な医療行為のみが、可能となる資格です。

　ただ、准看護師も、実務経験からすれば、わざわざ学校に入り直さなくでも、正看護師の仕事が、ほぼ出来そうな気は、しますけどね。当然に、待遇にも、差があるんでしょうから、この辺も、日本の硬直的な資格制度の不備を、感じます。

　まあ、今回のコロナ禍で、感じた矛盾の裏に潜む闇を、この時にも、感じたのかも知れませんね。教育産業の収益確保為の、無駄に長い就学期間。既存の教育機関を守る為の、新たな教育機関の開設規制。結果として、少子化も相俟っての医療関係者の就労者不足。初期就労からの、高齢化。

　医療現場は、確実な進化は、遂げている。でも、就労者にとっては、間違いなく、教育投資ばかり嵩む割には、美味しくない仕事になってしまっているのではないか。と、言うことです。結果としての慢性的な人手不足。その一見、良く出来ているように思えた医療制度も、こうした感染症禍などが、起きればひとたまりもなかったと言うことでは、ないでしょうか。自分は、やはり、居酒屋さんより、医療機関の今後が、数万倍心配ですね。

　　　　　　　　to be continued