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日記、日々の想い 

そのこいぬを、捨てる少年は…

少年は、こいぬを
抱き抱えていた
捨てなければならないのだ
せっかく、拾ってきた
この子、そのいのちを
おまえは、捨てる
それは、ただ
おまえが、弱くて
もの凄く、ちっぽけな
そんなやつだからだ
この子を、守ってあげる
そんなつもりで
調子に乗って
挙句が、これだよ
いのちを、救うと
図に乗って
結局、弄んで
こうして、捨てに行く
弱くて、ちっぽけな
おまえらしいな
とにかく、おかあさんに
「ついて来ちゃったんだ」って
嘘を、ついた
おかあさんは、なにしろ
いぬが、嫌いだから
誤魔化さなきゃ
きっと、この子を
家に入れるのも
ダメって言うから
そうやって
小狡くしないと
どうにもならないんだ
やがて、おとうさんが
帰って来たら
とにかく、精一杯
甘えて、泣きつく
おとうさんは、怖いけど
末っ子のおまえには
甘いからね
とにかく、泣きつけば
なんとかなるって
そうやって、おまえは
ただ、小狡く
おとうさんと、おかあさんに
甘えて、泣きついて
この子を、飼ってもらった
ただ、一週間様子をみて
トイレを、覚えたらって
約束だったんだ
おとうさんが、しつけたけど
上手くいかない
おまえは、でも
なんにも、分からないから
ただ、この子を
抱っこしたり
撫でてあげたり
ご飯を、あげたり
お水を、あげたり
それしか、出来ない
トイレなんて
どうやって、教えたら
覚えてくれるのかなんて
分かるはずもないんだ
そうして、この一週間だ
「この子は、お利口じゃない」って
「おまえが、拾って来たんだから
おまえが、捨てて来なさい」って
おとうさんは、もう
そうなったら
泣きついても、ダメだ
ダメなものは、ダメだからだ
おまえが、おまえの責任で
拾ってきた責任で
こいぬを、捨てに来た
こうして、抱っこして
おとうさんも
おかあさんも
なんで、もっと
この子を、可哀想だ、と
思ってくれないんだ
いや、そうじゃない
おまえが、この子を
可哀想だと、思ったら
おまえが、ひとりで
この子を、育む
そう出来れば、良かった
ご飯も、おかあさんに
用意してもらうんじゃなくて
トイレも、おとうさんに
しつけてもらうんじゃなくて
おまえが、全部
出来れば、良かった
それだけのことだった
おまえは、なんにも知らない
なんにも、出来ない
おとうさんに
捨ててきなさいって
言われたら
ただ、捨てに来ることしか
出来なかったんだ
おまえが、ただ弱くて
ちっぽけな、つまらない
おとうさんや、おかあさんに
泣きつくことしか、出来ない
それだけのやつだから
こうして、この子を
おまえは、捨てる
この子のいのちを
捨てなきゃならない…
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