おばさん
どう考えても
僧職じゃないよな
かなり、怪しい
それで、ひとりだ
スタッフはいない
電話で、連絡して
予約制だ
だから、着くと
おばさんが、待っていた
受け付けのおばさんかな
そんな感じだった
それにしても
だだっ広い
ペットだけの霊園だから
もっと、ずっと
小さいのかな、と思っていた
麓を走る
単線のＪＲ沿い
旧道の国道
迫ってくる里山
そこから、登って来た
結構、延々
里山の山腹を巡り
ひと山越えた
二つ目の里山の頂上が
かなり、開けている
片側に、大きな仏塔❓
反対側には
プレハブの平家が連なる
おばさんに、案内された
プレハブの一番手前の棟
中に入ると
正面に、焼却炉
手前に、火台か
おばさんに、説明を受ける
花を買った
おばさんから、飾ってあげて
少しお待ちくださいね
おばさんは、隣りへ
しろを寝かせて
しろに、色々持たせる
雑種だけど
意外と、おぼっちゃま
生まれた家では
兄妹６匹の中で
最後の売れ残りで
ずっと、母犬と一緒
我が家に、もらわれてきても
おとうさんに
おかあさんに
おにいちゃんふたりに
いつも、囲まれていて
やがて、妹も来て
みんな、わいわいがやがや
ひとりになったことがない
でも、これからは
もう、ひとりで
ひとりで、行かないといけない
色々大好きだったものを
持たせてあげた
ガラッと、引き戸
隣の部屋から、おばんさん
えっ❓僧衣だ
おばさんは、お坊さんに
変身していた
あ、怪しいな…
まあ、良い
しろを見送るのが、今で
おばさんは、それを
手伝ったくれるのだ…
