いつも、思っていた
おまえ自身を、忘れてしまう
それ程に、思っていた
何を、思うんではなくて
ただ、ずっと
思っていた
なんでだろう、とか
思うことも、なく
ただただ、思っていた
おまえは、時には
はしゃぐ子どもだったけど
でも、やっぱり
ただ、思っていた
そんなだから
いつも、ぼうっとしているって
友だちには
言われちゃうんだよね
凄く、痛い気がしたけど
結局、ふと気づくと
ただ、思っていた
それが、思春期になると
ただ、思っていた
なんにも、変わんなかったな
ただただ、思っていただけだ
引きこもったりしてるから
余計に、ずっと
ただ、思っていただけ
多分、その頃には
きっと、もう
その思っている
そのことが
おまえ、なんだって
思うように、なった
いや、気づいたのかな
それで、おまえは
おとなに、なった
引きこもっていられなくて
社会に、引きずり出されて
引きずり回されて
でも、ふと
ちょっと、隙間の時間には
思っていた
なにを、とかではなく
ただ、あてどなく
思っていた
その思っているのが
おまえなのだと
はっきり、気づきながら
そして、今
おまえは、こうして
日差しが、渦巻く
その庭を、前に臨んで
巡って行く、季節の移ろい
身も、こころも
ただ、委ねたまま
でも、それが
まるで、遥かな彼方
遠い、そらごとみたいに
ぼうっと、眺めているだけで
今も、こうして
ただ、思っている
それが、おまえなんだよな…