竹取翁と万葉集のお勉強

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 16

2013年03月31日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

詠花
標訓 花を詠める
集歌2094 竿志鹿之 心相念 秋芽子之 鐘礼零丹 落僧惜毛
訓読 さ雄鹿し心(うら)相(あひ)思(も)ふし秋萩し時雨し降るに散らくし惜しも
私訳 雄鹿が雌鹿を心に想う季節の秋萩に時雨が降って、散っていくのが惜しいことです。

集歌2095 夕去 野邊秋芽子 末若 露枯 金待難
訓読 夕されば野辺し秋萩末(うら)若み露にそ枯るる秋待ちかてに
私訳 夕方になると野辺の秋萩の枝先の小さい葉が露によって色付き枯れる。秋が待ちきれないように。
右二首、柿本朝臣人麿之謌集出。
注訓 右の二首は、柿本朝臣人麿の歌集に出づ。

詠黄葉
標訓 黄葉を詠める
集歌2178 妻隠 矢野神山 露霜尓 ゞ寶比始 散巻惜
訓読 妻隠る矢野し神山露霜に色付(にほひ)そめたり散らまく惜しも
私訳 妻を隠すと云う名張の里の矢野の神山が、露霜によって色付いたよ。散ってしまうのが惜しいことです。

集歌2179 朝露尓 染始 秋山尓 鐘礼莫零 在渡金
訓読 朝露ににほひそめたる秋山に時雨な降りそあり渡るがね
私訳 朝露に色付き始めた秋山に、時雨よ降るな。黄葉が進んで行く。
右二首、柿本朝臣人麿之謌集出。
注訓 右の二首は、柿本朝臣人麿の歌集に出づ。

詠雨
標訓 雨を詠めり
集歌2234 一日 千重敷布 我戀 妹當 為暮零礼見
訓読 一(ひと)し日(ひ)し千重(ちへ)しくしくし我が恋ふる妹しあたりし時雨(しぐれ)降れ見む
私訳 一日中、何度も何度もしきりに私が恋い慕う貴女の家の付近に時雨が降るのが見える。
右一首、柿本朝臣人磨之謌集出。
注訓 右の一首は、柿本朝臣人磨の歌集に出づ。

秋相聞
標 秋の相聞
集歌2239 金山 舌日下 鳴鳥 音聞 何嘆
訓読 秋山し下日(したひ)し下(した)し鳴く鳥し声だに聞かば何か嘆かむ
私訳 秋の山の夕日の下に鳴く鳥のように、せめて貴女の声だけでも聞けたら、どうして嘆くでしょう。

集歌2240 誰彼 我莫問 九月 露沾乍 君待吾
訓読 誰(たれ)し彼(か)し我(われ)しな問ひそ九月(ながつき)し露し濡れつつ君待つ吾そ
私訳 誰だろうあの人は、といって私を尋ねないで。九月の夜露に濡れながら、あの人を待っている私を。

集歌2241 秋夜 霧發渡 凡ゞ 夢見 妹形牟
訓読 秋し夜し霧立ちわたりおほほしく夢にし見つる妹し姿を
私訳 秋の夜霧が立ち渡って景色がおぼろになるように、ぼんやりだが夢の中に見た。愛しい恋人の姿を。

集歌2242 秋野 尾花末 生靡 心妹 依鴨
訓読 秋し野し尾花し末(うら)し生ひ靡き心し妹し寄りにけるかも
私訳 秋の野の尾花の穂先が鞘から伸びて開き靡くように、私の心は愛しい恋人に靡き寄ってしまったようだ。

集歌2243 秋山 霜零覆 木葉落 歳唯行 我忘八
訓読 秋山し霜降り覆ひ木し葉散り年し行くともわれ忘れめや
私訳 秋の山に霜が降り木々を覆い、木の葉も散りさって、この年も過ぎ行くとしても、私が貴女を忘れることがあるでしょうか。
右、柿本朝臣人麿之謌集出。
注訓 右は、柿本朝臣人麿の歌集に出づ。

冬雜謌
標訓 冬の雑歌
集歌2312 我袖尓 雹手走 巻隠 不消有 妹為見
訓読 わが袖に霰たばしる巻き隠し消たずてあらむ妹し見むため
私訳 私の袖に霰が降りかかる。その霰を袖に巻き包んで消えないようにしましょう。恋人に見せるために。

集歌2313 足曳之 山鴨高 巻向之 木志乃子松二 三雪落来
訓読 あしひきし山かも高き巻向し岸の小松にみ雪降り来る
私訳 足を引きずるような険しい山なのでしょう。峰高い巻向山の川岸の小松に雪が降ってきた。

集歌2314 巻向之 檜原毛未 雲居者 子松之末由 沫雪流
訓読 巻向(まきむく)し檜原(ひはら)もいまだ雲居ねば小松し末(うれ)ゆ沫雪流る
私訳 巻向の檜原にもいまだに雪雲が懸かり居ると、垂れた小松の枝先から沫雪が積もり流れ落ちる。

集歌2315 足引 山道不知 白杜杙 枝母等乎ゞ尓 雪落者
訓読 あしひきし山道も知らず白橿し枝もとををに雪し降れれば
私訳 足を引きずるような険しい山道も判らない。白樫の枝も撓めて雪が降ると。
或云、枝毛多和ゞゞ
或は云はく、
訓読 枝もたわたわ
私訳 枝もたわわにして
右柿本朝臣人麿之謌集出也。但一首(或本云、三方沙弥作)
注訓 右は柿本朝臣人麿の歌集に出づ。ただし一首。(或る本に、三方沙弥の作といへり)

冬相聞
標訓 冬の相聞
集歌2333 零雪 虚空可消 雖戀 相依無 月経在
訓読 降る雪し虚空(そら)し消(け)ぬべく恋ふれども逢ふよし無(な)みし月し経(へ)にける
私訳 降る雪が途中で空に消えるように、ひたすら貴女を慕っているのですが、このように空しく逢う機会が無いままに月日が経ってしまった。

集歌2334 沫雪 千里零敷 戀為来 食永我 見偲
訓読 沫雪(あはゆき)し千里(ちり)し降りしけ恋ひしくし日(け)長き我し見つつ偲(しの)はむ
私訳 沫雪はすべての里に降り積もれ、貴女を恋い慕ってきた、所在無い私は降り積もる雪をみて昔に白い栲の衣を着た貴女を偲びましょう。
右、柿本朝臣人麿之謌集出。
注訓 右は、柿本朝臣人麿の歌集に出づ。

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