竹取翁と万葉集のお勉強

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 19

2013年04月21日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

集歌2396 玉坂 吾見人 何有 依以 亦一目見
訓読 たまさかし吾(わ)が見し人し如何(いか)ならむ縁(よし)をもちてかまた一目見む
私訳 美しい坂で偶然に私が見かけた人を、どのような縁があって、もう一度逢うことができるでしょうか。

集歌2397 暫 不見戀 吾妹 日ゞ来 事繁
訓読 暫(しまし)くも見ぬば恋ほしき吾妹子(わぎもこ)し日(ひ)し日(け)し来(く)れば事し繁けむ
私訳 少しの間も貴女に会わないと恋しい私の愛しい貴女。その貴女の許に毎日やって来ると、貴女とすることが色々とありますね。
注意 原文の「事繁」の「事」を一般に「言」の当字として「噂話が酷い」と云う意味で解釈しますが、ここでは漢字のままに「物事が重なる・忙しい」ような意味で解釈しています。

集歌2398 年切 及世定 恃 公依 事繁
訓読 年きはる世(よ)までと定め恃(たの)めたる公(きみ)しよりてし事し繁けく
私訳 この世に生きる年を区切り、この世と別れるまでと心に決め、頼りにする貴方に寄り添うと、貴方とすることが色々とありますね。

集歌2399 朱引 秦不経 雖寐 心異 我不念
訓読 朱(あか)らひく膚(はだ)も触れずて寝(い)ぬれども心し異(け)にし我が思はなくに
私訳 羞恥に肌を朱に染めるまだ幼い貴女の体を奪わずに身を引き寄せ抱くだけでしたが、だからと云って、貴女に異心を私は思ってもいません。

集歌2400 伊田何 極太甚 利心 及失 念戀故
訓読 いで如何(いか)しここだはなはだ利心(とごころ)し失(う)するまで思(も)ふ恋ゆゑにこそ
私訳 さあどうなるのだろう。これほどはっきりとした冷静な気持ちを失くしてしまうと思うまで、貴女を抱きたいと思うためでしょう。

集歌2401 戀死 ゞゞ哉 我妹 吾家門 過行
訓読 恋ひ死なば恋ひも死ぬとや我妹子し吾家(わがへ)し門(かど)し過ぎて行くらむ
私訳 貴女に恋してその恋の苦しみに私が死ねば、やっと、その恋の苦しみも死ぬようだ。私の愛しい貴女が、私の家の前を通り過ぎて行ってしまう。

集歌2402 妹當 遠見者 恠 吾戀 相依無
訓読 妹しあたり遠きし見れば怪(あや)しくも吾(あれ)し恋(こ)ふるも逢ふよしなしに
私訳 私の愛しい貴女の姿を遥か遠くに見ると、どのようにして私は貴女に恋をしていても、もう、逢うことが出来なくなる。

集歌2403 玉久世 清川原 身祓為 齋命 妹為
訓読 玉久世(たまくせ)し清き川原し身秡(みそぎ)して斎(いは)ふ御言し妹しためこそ
私訳 樺井月神社のそばの美しい久世の清らかな川原で禊して祈る御言葉は、愛する貴女のためだけ。

集歌2404 思依 見依 物有 一日間 忘念
訓読 思ひ寄り見ては寄りにしものあらば一日(ひとひ)し間(ほど)も忘れて思へや
私訳 恋い焦がれる思いを寄せ、互いに抱き合って、身も心も貴女に寄せたのですから、一日の間だって貴女のことを忘れたと思いますか。

集歌2405 垣廬鳴 人雖云 狛錦 紐解開 公無
訓読 垣(かき)廬(ほ)鳴く人し云へども高麗錦(こまにしき)紐(ひも)解(と)き開(あ)けし君ならなくに
私訳 薦で囲った粗末な小屋を風がざわめき鳴らすように人はあれこれと云いますが、その粗末な私の家で、美しい高麗の錦の紐を解くように、まだ、私の下着の紐を解いた貴方ではないのに。

集歌2406 狛錦 紐解開 夕戸 不知有命 戀有
試訓 高麗錦(こまにしき)紐(ひも)解(と)き開(あ)けし夕(ゆふへ)戸(と)し知らざる命(みこ)し恋ひつつあらむ
試訳 美しい高麗の錦の紐を解き、夕べには戸を開けておきましょう。今夜、いらっしゃるか判らない貴方様を、私は恋い焦がれていましょう。
注意 原文に「夕戸」の「戸」は一般に「谷」の誤字として「夕だに」と訓みますが、ここでは原文のままに訓んでいます。そこで「不知有命」の「命」を「みこと」と訓んでみました。

集歌2407 百積 船潜納 八占刺 母雖問 其名不謂
訓読 百積(ももつみ)し船隠(かく)り入る八占(やうら)さし母し問ふともその名し告(の)らじ
私訳 沢山の荷を積む大きな船が泊る多くの浦の、その多くの衢で多くの人から辻占をして母が問うても、貴方のその名は告げません。

集歌2408 眉根削 鼻鳴紐解 待哉 何時見 念吾君
訓読 眉根(まよね)掻き鼻(はな)ひ紐(ひも)解(と)け待つらむか何時(いつ)しも見むと念(ねが)ふ吾が君
私訳 眉の辺り掻き、小鼻を鳴らし、下着の紐を解いて、私を待っているだろうか。いつ何時でも抱きたいと願う、私の愛しい貴女。

集歌2409 君戀 浦経居 悔 我裏紐 結手徒
訓読 君し恋ひうらぶれ居(を)れば悔(くや)しくも我(わ)が下紐(したひも)し結(ゆ)ふ手いたづら
私訳 貴方を慕って逢えないことを寂しく思っていると、悔しいことに夜着に着替える私の下着を留める下紐を結ぶ手が空しい。

集歌2410 璞之 年者竟杼 敷白之 袖易子少 忘而念哉
訓読 あらたまし年は果(は)つれど敷栲(しきたへ)し袖交(か)へし子し忘れに思へや
私訳 貴女と何もなく今年は終わってしまったけれど、夜寝る床の栲で衣を脱いでお互いの体に掛け合った貴女を、忘れてしまったと思っていますか。

集歌2411 白細布 袖小端 見柄 如是有戀 吾為鴨
訓読 白栲し袖しはつはつ見しからしかかりし恋し吾(あれ)しするかも
私訳 白い栲の夜着の袖の裾を、わずかに見てしまったからでしょうか。それで、このような恋を私はするのでしょう。

集歌2412 我妹 戀無乏 夢見 吾雖念 不所寐
訓読 我妹子し恋ひ羨(と)もなかり夢し見し吾(われ)し思へど寝(い)ねらえなくに
私訳 美しい私の貴女よ、恋することが物足りないと思うことはありません。夢に貴女の姿を見ようと私は思うのですが、恋が募って寝るどころではありません。

集歌2413 故無 吾裏紐 令解 人莫知 及正逢
訓読 故(ゆゑ)し無し吾(あ)が下紐し解(と)けしめて人にな知らせ直(ただ)し逢ふまで
私訳 貴方は私と逢ってもいないのに私の下着の紐を夢の中で解かさせる、そんなことを人には気づかせないで。本当に逢って紐を解くまでは。

集歌2414 戀事 意追不得 出行者 山川 不知来
訓読 恋ふる事意(い)し追(お)ひかねて出で行けば山し川し知らず来(き)にけり
私訳 貴女と恋の行いをすることを心の中から追い出すことが出来なくて、山や川や所も知らずにさまよって、貴女の許に来てしまった。

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