竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌1643から集歌1647まで

2021年03月31日 | 新訓 万葉集
若櫻部朝臣君足雪謌一首
標訓 若櫻部(わかさくらべの)朝臣(あそみ)君足(きみたり)の雪の謌一首
集歌一六四三 
原文 天霧之 雪毛零奴可 灼然 此五柴尓 零巻乎将見
訓読 天(あま)霧(き)らし雪も降らぬかいちしろくこの斎柴(いつしば)に降らまくを見む
私訳 空を霧に立ち込めて、そこに雪も降ってこないだろうか。ひたすらにこの厳かな斎柴に雪が降り包むのを見たい。

三野連石守梅謌一首
標訓 三野連(みののむらぢ)石守(いはもり)の梅の謌一首
集歌一六四四 
原文 引攀而 折者可落 梅花 袖尓古寸入津 染者雖染
訓読 引き攀(よ)ぢて折(を)らば落(ち)るべし梅の花袖に扱入(こき)れつ染(し)まば染むとも
私訳 引き捩って枝を折れば花は散るでしょう。その梅の花を袖に枝からしごき入れた。衣が梅の花に染まるなら染まるのも良い。

巨勢朝臣宿奈麻呂雪謌一首
標訓 巨勢朝臣(こせのあそみ)宿奈麻呂(すくなまろ)の雪の謌一首
集歌一六四五 
原文 吾屋前之 冬木乃上尓 零雪乎 梅花香常 打見都流香裳
訓読 吾が屋前(やど)し冬木(ふゆき)の上に降る雪を梅し花かとうち見つるかも
私訳 私の家の冬枯れした樹の上に降る雪を、梅の花かとつい見間違えた。

小治田朝臣東麻呂雪謌一首
標訓 小治田朝臣(をはりたのあそみ)東麻呂(あづままろ)の雪の謌一首
集歌一六四六 
原文 夜干玉乃 今夜之雪尓 率所沾名 将開朝尓 消者惜家牟
訓読 ぬばたまの今夜(こよひ)し雪にいざ濡れな明(あ)けむ朝(あした)に消(け)なば惜しけむ
私訳 漆黒の今夜の雪に、さあ、濡れよう。夜が明ける朝に雪が融け消えていたら心残りでしょう。

忌部首黒麻呂雪謌一首
標訓 忌部首(いむへのおひと)黒麻呂(くろまろ)の雪の謌一首
集歌一六四七 
原文 梅花 枝尓可散登 見左右二 風尓乱而 雪曽落久類
訓読 梅の花枝にか散ると見るさへに風に乱れて雪ぞ降り来る
私訳 梅の花、枝にと花が散っていると眺めるのにまして、風に交じって雪が降って来た。

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