竹取翁と万葉集のお勉強

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 4

2013年01月06日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 4

高市皇子尊城上殯宮之時、柿本朝臣人麿作歌一首并短哥
標訓 高市皇子尊の城上(きのへ)の殯宮(あらぎのみや)の時に、柿本朝臣人麿の作れる歌一首并せて短歌
集歌199 桂文 忌之伎鴨(一云、由遊志計礼杼母) 言久母 綾尓畏伎 明日香乃 真神之原尓 久堅能 天都御門乎 懼母 定賜而 神佐扶跡 磐隠座 八隅知之 吾大王乃 所聞見為 背友乃國之 真木立 不破山越而 狛釼 和射見我原乃 行宮尓 安母理座而 天下 治賜(一云、拂賜而) 食國乎 定賜等 鷄之鳴 吾妻乃國之 御軍士乎 喚賜而 千磐破 人乎和為跡 不奉仕 國乎治跡(一云、掃部等) 皇子随 任賜者 大御身尓 太刀取帶之 大御手尓 弓取持之 御軍士乎 安騰毛比賜 齊流 鼓之音者 雷之 聲登聞麻弖 吹響流 小角乃音母(一云、笛乃音波) 敵見有 虎可叭吼登 諸人之 恊流麻弖尓(一云、聞惑麻弖) 指擧有 幡之靡者 冬木成 春去来者 野毎 著而有火之(一云、冬木成 春野焼火之) 風之共 靡如久 取持流 弓波受乃驟 三雪落 冬乃林尓(一云、由布乃林) 飃可毛 伊巻渡等 念麻弖 聞之恐久(一云、諸人、見惑麻弖尓) 引放 箭計久 大雪乃 乱而来礼 (一云、霰成 曽知余里久礼婆) 不奉仕 立向之毛 露霜之 消者消倍久 去鳥乃 相竟端尓(一云、朝霜之 消者消言尓 打蝉等 安良蘇布波之尓) 渡會乃 齊宮従 神風尓 伊吹惑之 天雲乎 日之目不合見 常闇尓 覆賜而定之 水穂之國乎 神随 太敷座而 八隅知之 吾大王之 天下 申賜者 萬代 然之毛将有登(一云、如是毛安良無等) 木綿花乃 榮時尓 吾大王 皇子之御門乎(一云、刺竹 皇子御門乎) 神宮尓 装束奉而 遣使 御門之人毛 白妙乃 麻衣著 垣安乃 御門之原尓 赤根刺 日之盡 鹿自物 伊波比伏管 鳥玉能 暮尓至者 大殿乎 振放見乍 鶉成 伊波比廻 雖侍候 佐母良比不得者 春鳥之 佐麻欲比奴礼者 嘆毛 未過尓 憶毛 未盡者 言右敞久 百濟之原従 神葬 ゞ伊座而 朝毛吉 木上宮乎 常宮等 高之奉而 神随 安定座奴 雖然 吾大王之 萬代跡 所念食而 作良志之 香未山之宮 萬代尓 過牟登念哉 天之如 振放見乍 玉手次 懸而将偲 恐有騰文

訓読  かけまくも ゆゆしきかも (一(ある)は云はく、ゆゆしけれども) 言(こと)はまくも あやに畏(かしこ)き 明日香の 真(ま)神(かみ)し原に ひさかたの 天つ御門(みかど)を 懼(かしこ)くも 定め賜ひて 神さぶと 磐(いは)隠(かく)り座(いま)す やすみしし 吾(わ)が大王(おほきみ)の 聞(き)こし食(め)す 背面(そとも)の国し 真木立つ 不破(ふは)山越えて 狛剣(こまつるぎ) 和射見(わざみ)が原の 行宮(かりみや)に 天降(あまも)り座(いま)して 天つ下 治め賜ひ (一は云はく、掃(はら)ひ賜ひて) 食(を)す国を 定め賜ふと 鶏(とり)が鳴く 吾妻(あづま)の国し 御軍士(みいくさ)を 喚(め)し賜ひて ちはやぶる 人を和(やわ)せと 奉(まつ)ろはぬ 国を治めと (一は云はく、掃(はら)へと) 皇子ながら 任(よさ)し賜へば 大御身(おほみみ)に 大刀(たち)取り帯(をび)し 大御手(おほみて)に 弓取り持たし 御軍士(みいくさ)を 率(あども)ひ賜ひ 斎(ととの)ふる 鼓(つつみ)の音は 雷(いかづち)の 声(おと)と聞くまで 吹き響(な)せる 小角(くだ)の音(おと)も (一は云はく、笛の音は) 敵(あた)見たる 虎か吼(ほ)ゆると 諸人(もろひと)の 怖(おび)ゆるまでに (一云 聞き惑ふまで) 指(さ)し挙(あ)げる 幡(はた)の靡きは 冬こもる 春去(さ)り来れば 野ごとに 著(つき)てある火し (一は云はく、冬こもり 春野焼く火し) 風の共(むた) 靡くが如く 取り持てる 弓弭(ゆはず)の驟(さはき) み雪降る 冬の林に (一は云はく、木綿(ゆふ)の林) 旋風(つむぢ)かも い巻き渡ると 念(おも)ふまで 聞(き)きの恐(かしこ)く (一は云はく、諸人の 見惑ふまでに) 引き放(はな)つ 矢の繁けく 大雪の 乱れし来(きた)れ (一は云はく、霰なす 彼方(そち)より来(く)れば) 奉(まつろ)はず 立ち向ひしも 露霜の 消(け)なば消(け)ぬべく 行く鳥の 相ふ竟端(けふたん)に (一は云はく、朝霜の 消(け)なば消(け)とふに 現世(うつせみ)と 争ふはしに) 渡会(わたらひ)の 斎(いつ)きの宮ゆ 神風(かむかぜ)に い吹き惑はし 天雲を 日の目も見へず 常闇(とこやみ)に 覆(おほ)ひ賜ひて 定めてし 瑞穂の国を 神ながら 太敷きまして やすみしし 吾が大王(おほきみ)し 天つ下 申(まを)し賜へば 万代(よろづよ)に 然(しか)しもあらむと (一は云はく、如(かく)しもあらむと) 木綿花(ゆふはな)の 栄ゆる時に 吾が大王(おほきみ) 皇子し御門を (一は云はく、刺す竹し 皇子し御門を) 神宮(かみみや)に 装(よそほ)ひ奉(ま)つりて 使(つかひ)遣(や)り 御門し人も 白栲(しろたえ)の 麻衣(あさころも)着て 垣安(かきやす)の 門(みかど)し原に 茜さす 日しことごと 鹿猪(しし)じもの い匍(は)ひ伏(ふ)しつつ ぬばたまの 夕(ゆうへ)になれば 大殿を 振り放(さ)け見つつ 鶉(うずら)なす い匍(は)ひ廻(もとほ)り 侍(さもら)へど 侍ひえねば 春鳥し 彷徨(さまよ)ひぬれば 嘆(なげ)きも いまだ過ぎぬに 憶(おも)ひも いまだ尽きねば 言(こと)うへく 百済(くだら)し原ゆ 神葬(かみはふ)り 葬(はふ)りいまして 朝も吉 城上(きのへ)の宮を 常宮(とこみや)と 高し奉(まつ)りて 神ながら 鎮(しづ)まりましぬ 然れども 吾(わ)が大王(おほきみ)し 万代(よろづよ)と 念(おも)ほし食(め)して 作らしし 香未山(かみやま)し宮 万代(よろづよ)に 過ぎむと念(おも)へや 天しごと 振り放(さ)け見つつ 玉(たま)襷(たすき) 懸(か)けて偲(しの)はむ 恐(かしこ)ありども

私訳 口にするのも憚れる、言葉でいうのも畏れ多い。明日香の真神の原に長久の天の王宮を尊くもお定めになって、今は神として岩戸に御隠れなされた天下をあまねく承知なされる我が大王の高市皇子尊が、お治めになる大和の背後にある美濃の国の立派な木が茂る不破山を越えて、高麗の剣の技を見せる、その和暫の原の仮宮に、神として降臨なされて、天下を承知なされ、そのご統治される国をお定めになるというので、鶏の鳴き朝が明ける東国の軍勢を呼び寄せなされて、荒々しい人々を従わせ、服従しない国々を統治せよと、日の御子ではありながら任じられなされると、皇子は御体に太刀を取り帯なされ、御手に弓を取り持って、軍勢を統率なされた。その軍勢を整える鼓の音は雷鳴の音と聞こえるようで、吹き渡る小角の音も敵を見た虎が吼えるのかと人々が思って恐れるまでに聞こえ、高く捧げた幡の靡くことは、冬も終わって春がやってきて、あちこちの野に付けた野火の風と共に靡くようで、兵士の手に取って持った弓の弭の動くざわめきは、み雪降る冬の林につむじ風が吹き巻き渡るかと思われるほど恐ろしく聞こえ、引き放つ矢がはげしく大雪の雪が乱れ来るのように飛んで来る。従わずに立ち向かって来た者は、露や霜が消えるなら解けて消えてしまうように、飛び行く鳥のように乱れ争うときに、度会の神を祭る宮の神風で賊軍を吹き惑わせ、天の雲で太陽の光も見せないまでに真っ暗に覆いなされた。神である大王が定めなされた瑞穂の国を神らしく承知なされ、天下をあまねく承知なされる我が大王が、その天下を治めなされると、万年にもこのようにあるだろうと王宮を寿ぐ木綿の花が栄える時に、我が大王、皇子の王宮を神の宮とお飾り申し上げて、皇子の手足としてお使えしていた御門の人々も白栲の麻の喪の衣をつけ、垣安の王宮の原が茜に染まる日の毎日、鹿や猪のように腹ばいになって伏して、漆黒の夜になると御殿を遠く見上げながら、鶉のように背を丸めてはいまわって、皇子の傍に侍しているけど皇子からお呼びがないので、春の鳥のようにあちこちと彷徨っていると、皇子を悼む嘆きが今でも嘆き過ぎないし、皇子への憶いも未だに尽きないが、言葉が通じない百済のその百済の原に神として葬り、葬り申し上げて、朝日が清々しい城上の宮を皇子の常宮として天高く奉じ、皇子は悠久の神でありながら常宮に鎮まりなされた。そうではありますが、我が大王が万代の王宮と思いなされて御作りになった香具山の宮。万代に時を過ごすと思う。その香具山の宮の御殿を天空のように仰ぎ見ながら。皇子送りの葬送の玉襷を懸けて、皇子を心に懸けて偲びましょう。恐れ多いことではあるが。

短歌二首
集歌200 久堅之 天所知流 君故尓 日月毛不知 戀渡鴨
訓読 ひさかたし天そ知らしる君ゆゑに日月も知らに恋ひ渡るかも
私訳 遥か彼方の天上の世界まで御名を知らせなされた、そのような貴方ですから、日月の流れゆく時も思わずに貴方をお慕いいたします。

集歌201 垣安乃 池之堤之 隠沼乃 去方乎不知 舎人者迷惑
訓読 垣安(かきやす)の池し堤し隠(こもり)沼(ぬ)の去方(ゆくへ)を知らに舎人(とねり)は惑ふ
私訳 垣安の池の堤で囲まれた隠沼の水の行方を知らないように、どうしていいのか判らない舎人たちは戸惑っている。

或書反歌一首
標訓 或る書の反歌一首
集歌202 澤之 神社尓三輪須恵 雖禱祈 我王者 高日所知奴
訓読 哭沢(なきさは)し神社(もり)に神酒(みわ)据ゑ祷祈(いの)れども我が王(おほきみ)は高日知らしぬ
私訳 哭沢の神の社に御神酒を据えて神に祈るのですが、我が王は天上の世界をお治めになった。
右一首類聚歌林曰、檜隅女王、怨泣澤神社之歌也。案日本紀曰、十年丙申秋七月辛丑朔庚戌、後尊薨。
注訓 右の一首は類聚歌林に曰はく「檜隅女王の、泣沢神社を怨むる歌」といへり。日本紀を案(かむが)ふるに曰はく「十年丙申の秋七月辛丑の朔の庚戌、後尊(のちのみこと)薨(かむあが)りましぬ」といへり。



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