竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

竹取翁の歌のお勉強 娘女の参歌 その1

2009年05月22日 | 万葉集 竹取翁の歌を鑑賞する
竹取翁の歌のお勉強 娘女の参歌 その1

一人目の娘子の歌  人麻呂の答え
集歌3794 端寸八為 老夫之謌丹 大欲寸 九兒等哉 蚊間毛而将居  (一)
訓読 愛(は)しきやし翁(おきな)の歌に鬱悒(おほほ)しき九(ここの)子らや感(かま)けて居(を)らむ
私訳 愛すべき老人の歌に、心が塞ぎこんでいる九人の愛すべき人々も感動しているだろう。

集歌217の歌の「騰遠依子等者」を「とをよるこらは」と読み、言葉遊びで「十を除る子らは」と訓読みします。この「十を除る子らは」を人は髣髴に見たのです。つまり、「十から除けて九」の集歌3794の歌の「おほほしき九人の子たち」です。このような遊びでの集歌217の歌です。
歌は人麻呂の歌で、万葉集の巻二から採歌されています。なお、集歌217の歌の解説は長歌のもじり歌 その20で割愛させていただきます。

巻二より
吉備津釆女死時柿本朝臣人麻呂作謌一首并短謌
標訓 吉備の津の釆女の死りし時に、柿本朝臣人麻呂の作れる歌一首并せて短歌
集歌217 秋山 下部留妹 奈用竹乃 騰遠依子等者 何方尓 念居可 栲紲之 長命乎 露己曽婆 朝尓置而 夕者 消等言 霧己曽婆 夕立而 明者 失等言 梓弓 音聞吾母 髣髴見之 事悔敷乎 布栲乃 手枕纒而 劔刀 身二副寐價牟 若草 其嬬子者 不怜弥可 念而寐良武 悔弥可 念戀良武 時不在 過去子等我 朝露乃如也 夕霧乃如也
訓読 秋山の したへる妹 なよ竹の とをよる子らは いかさまに 念(おも)ひ居れか 栲縄(たくなは)の 長き命を 露こそば 朝(あした)に置きて 夕(ゆふへ)は 消(き)ゆといへ 霧こそば 夕に立ちて 朝(あした)は 失(う)すといへ 梓弓 音(おと)聞く吾も 髣髴(おほ)に見し こと悔しきを 敷栲の 手枕(たまくら)まきて 剣刀(つるぎたち) 身に副(そ)へ寝(ね)けむ 若草の その嬬(つま)の子は 寂(さぶ)しみか 念(おも)ひて寝(ぬ)らむ 悔しみか 念(おも)ひ恋ふらむ 時ならず 過ぎにし子らが 朝露の如(ごと) 夕霧の如(ごと)
私訳 秋山のように美しく輝く貴女、なめらかな竹のようなしなやかな体をした貴女は、どう思ったのか、栲の繩のように長い命を、露だったら朝に降りて夕べには消え、霧だったら夕べに立ち込めて朝には消え失せるという、采女の貴女が神を呼ぶ梓の弓をかき鳴らす音を聞いた私も、その姿をかすかにしか見なかったことが残念で、閨の寝具の上で手枕を交わして剣や太刀を身に添えるように寄り添って寝た、若草のような若い貴女の恋人は、貴女を亡くした寂しさか、思い出して夜を寝られるでしょう。悔しみか、思い出して恋しがるでしょう。思いもかけず、亡くなった貴女は、朝露のようで、夕霧のようです。

短謌二首
集歌218 樂浪之 志賀津子等何 罷道之 川瀬道 見者不怜毛
訓読 楽浪(ささなみ)の志賀津(しがつ)の子らが 罷道(まかりぢ)の川瀬の道(みち)を見れば寂(さぶ)しも
私訳 さざなみの志賀の津の貴女の葬送の送りの行列を川瀬の道に見ると寂しいことです

集歌219 天數 凡津子之 相日 於保尓見敷者 今叙悔
訓読 天(あま)数(かぞ)ふ凡津(おほつ)の子が逢ひし日におほに見しくは今ぞ悔しき
私訳 天の星を数える多くの大津の貴女に会った日に貴女をぼんやりと見たことは今は悔しいことです。


 参考に、娘女の参歌は全部で九首ですが、巻一から巻九まで各一首づつ、各階層から採取されている非常に手の込んだもじり歌になっています。それを、楽しんでください。

コメント   この記事についてブログを書く
« 竹取翁の歌のお勉強 長歌の... | トップ | 竹取翁の歌のお勉強 娘女の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

万葉集 竹取翁の歌を鑑賞する」カテゴリの最新記事