竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌1759まで集歌1763まで

2021年05月03日 | 新訓 万葉集巻九
万葉集 集歌1759まで集歌1763まで

登筑波嶺為嬥謌會日作歌一首并短歌
標訓 筑波嶺(つくばね)に登りて嬥謌會(かがひ)を為し日に作れる歌一首并せて短歌
集歌一七五九 
原文 鷲住 筑波乃山之 裳羽服津乃 其津乃上尓 率而 未通女牡士之 徃集 加賀布嬥歌尓 他妻尓 吾毛交牟 吾妻尓 他毛言問 此山乎 牛掃神之 従来 不禁行事叙 今日耳者 目串毛勿見 事毛咎莫 (嬥歌者柬俗語曰賀我比)
訓読 鷲し住む 筑波の山し 裳羽服津(もはきつ)の その津(つ)の上(うへ)に 率(あとも)ひて未通女(をとめ)壮士(をとこ)し 往(い)き集(つど)ひ かがふかがひに 他妻(あたつめ)に 吾(わ)も交(まじ)らむ 吾妻(あがつめ)に 他(あた)も言問(ことと)へ この山を 領(うしは)く神し 昔より 禁(いさ)めぬ行事(わざ)ぞ 今日(けふ)のみは めぐしもな見そ 事も咎(とが)むな (嬥歌は、俗(ならひ)を柬(あつ)めた語(ことば)に賀我比【かがひ】と曰ふ)
私訳 鷲の住む筑波の山の裳羽服津の、その池のほとりに連れ立って乙女や青年がやって来て集まり、歌を掛け合う嬥歌で、他人の妻に私は交わろう。私の妻に他の人も嬥歌の神事の誓いの言葉をかけよ。この山を治めになる神が、昔から禁じない風習です。今日は監視もするな、男女のする事を咎めるな。(嬥歌は、風俗を集めた辞書にカガヒと云う。)

反謌
集歌一七六〇 
原文 男神尓 雲立登 斯具礼零 沾通友 吾将反哉
訓読 男(を)し神に雲立ち上り時雨(しぐれ)降り濡れ通るとも吾帰らめや
私訳 男岳の神の嶺に雲が立ち上がり時雨が降り、衣を濡れ通すとも、私は嬥歌の途中で帰ることがあるでしょうか。
左注 右件謌者、高橋連蟲麻呂謌集中出。
注訓 右の件(くだり)の歌は、高橋連虫麻呂の歌集の中(うち)に出(い)づ。

詠鳴鹿謌一首并短謌
標訓 鳴く鹿を詠める歌一首并せて短歌
集歌一七六一 
原文 三諸之 神邊山尓 立向 三垣乃山尓 秋芽子之 妻巻六跡 朝月夜 明巻鴦視 足日木乃 山響令動 喚立鳴毛
訓読 三諸(みもろ)し 神辺し山に 立ち向ふ 三垣の山に 秋萩し 妻し枕かむと 朝月夜 明けまく惜しみ あしひきの 山彦とよめ 呼び立て鳴くも
私訳 三諸の神辺山に向い立つ三垣山に、秋萩に雄鹿が妻を手枕しようとして、朝の月夜が明けるのが惜しくて、葦や桧の茂る山に山彦よ響け。再び、雄鹿が妻を呼び立てて鳴いている。

反歌
集歌一七六二 
原文 明日之夕 不相有八方 足日木之 山彦令動 呼立哭毛
訓読 明日し宵(よひ)逢はざらめやもあしひきし山彦(やまひこ)とよめ呼び立て鳴くも
私訳 明日の宵に逢えないことはない。葦や桧の茂る山に山彦よ響け。再び、雄鹿が妻を呼び立てて鳴いている。
左注 右件謌、或云、柿本朝臣人麻呂作。
注訓 右の件の歌は、或は云はく「柿本朝臣人麻呂の作なり」といへり。

沙弥女王謌一首
標訓 沙弥(さやみ)女王(おほきみ)の謌一首
集歌一七六三 
原文 倉橋之 山乎高歟 夜牢尓 出来月之 片待難
訓読 倉橋(くらはし)し山を高みか夜(よ)隠(こも)りに出で来る月し片待(かたま)ち難(かた)き
私訳 倉橋山が高いからか、夜遅くまで籠ってから出て来る月を待つことは辛いことです。
左注 右一首、間人宿祢大浦歌中既見。但末一句相換、亦作歌兩主不敢正指。因以累載。
注訓 右の一首は、間人宿祢(はしひとのすくね)大浦(おほうら)の歌の中に既に見えたり。ただ、末の一句相(あひ)換(かは)り、また歌を作る両(ふた)りの主(あるじ)は、正指(せいし)に敢(あ)へず。因りて以ちて累ねて載す。

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