竹取翁と万葉集のお勉強

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 27

2013年06月23日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

柿本朝臣人麿歌集歌曰
標訓 柿本朝臣人麿の歌集の歌に曰はく、
集歌3253 葦原 水穂國者 神在随 事擧不為國 雖然 辞擧叙吾為 言幸 真福座跡 恙無 福座者 荒礒浪 有毛見登 百重波 千重浪尓敷 言上為吾

訓読 葦原の 瑞穂の国は 神ながら 事(こと)挙げせぬ国 しかれども 辞(こと)挙げぞ吾がする 言(こと)幸(さき)く ま幸(さき)くませと 恙(つつが)なく 福(さきく)いまさば 荒礒(ありそ)波(なみ) ありても見むと 百重(ももへ)波(なみ) 千重(ちへ)波(なみ)にしき 言(こと)上げす吾れは

私訳 天皇が治める葦原の瑞穂の国は地上の神々が気ままに人民に指図しない国です。しかし、その神々にお願いをする、私は。約束が祝福され、この国が繁栄しますようにと。そして何事もなく繁栄するならば、荒磯に常に波が打ち寄せるように百回も、千回も繰り返して、神々に誓約します、私は。

注意 原文の「千重浪尓敷」は、一般に「千重浪敷尓」と記し「千重浪しきに」と訓みます。

反歌
集歌3254 志貴嶋 倭國者 事霊之 所佐國叙 真福在与具
訓読 磯城島の大和の国は事霊(ことたま)の助くる国ぞま福(さきく)ありこそ
私訳 天皇の志の貴い磯城島の大和の国は地上の神々が天皇を補佐する国です。きっと、繁栄するはずだ。

問答
標訓 問答
集歌3305 物不念 道行去毛 青山乎 振放見者 茵花 香未通女 櫻花 盛未通女 汝乎曽母 吾丹依云 吾叨毛曽 汝丹依云 荒山毛 人師依者 余所留跡序云 汝心勤

訓読 物思はず 道行く行くも 青山を 振り放け見れば つつじ花 香(にほへ)少女(をとめ) 桜花 栄(さかへ)少女 汝(な)れをぞも 吾に寄すといふ 吾をもぞ 汝れに寄すといふ 荒山(あらやま)も 人し寄すれば 寄そるとぞいふ 汝が心ゆめ

私訳 花を是非に見ようと思わずに道を行き来ても、青葉の山を見上げるとツツジの花が芳しく香る未通女のようで、桜の花は盛りを迎えた未通女のようだ。そんな貴女は私を信頼して気持ちを寄り添え、つまらない私も同じように貴女を信じ気持ちを寄せる。手の入っていない未開の山も人が感心を寄せると、すぐに寄り来て手を入れると云います。ひたすら、貴女は私のことだけを想ってください。

反歌
集歌3306 何為而 戀止物序 天地乃 神乎祷迹 吾八思益
訓読 いかにしに恋ひ止むものぞ天地の神を祈れど吾は思(も)ひ益(まさ)る
私訳 どのようにして貴方への恋は止むものでしょう。天地の神に貴方と契ることを願ったあとも、私の貴方を慕う気持ちはいっそう募ります。

集歌3307 然有社 羊乃八歳叨 鑚髪乃 吾同子叨過 橘 末枝乎過而 此河能 下父長 汝情待
訓読 然(しか)れこそ 遥(よう)の八歳(やとせ)を 切り髪の 吾同子(よちこ)を過ぎ 橘の 末枝(ほつゑ)を過ぎに この川の 下(しも)の甫(ほ)長く 汝(な)が情(こころ)待つ
私訳 このようにして、ようやくの八歳の幼さない切り髪のおかっぱ頭の髪を伸ばし始めて肩まで伸びてうない放髪の幼さを過ぎて、橘の薫り高い末枝の花芽の時を過ぎて、この川の下流が広く大きく長いようにと、始めて女として貴方の情けを待っています。
注意 原文の「羊乃八歳叨」は、一般に「年乃八歳叨」と記し「年の八歳を」と訓みます。

反歌
集歌3308 天地之 神尾母吾者 祷而寸 戀云物者 都不止来
訓読 天地の神をも吾は祈りにき恋といふものはかつて止(や)まずけり
私訳 貴女と同じように天と地の神にも私は願いを捧げています。貴女と恋の行為をするというものは奥ゆかしくて引き止めることは出来ません。

柿本朝臣人麻呂之集歌
標訓 柿本朝臣人麻呂の集(しふ)の歌
集歌3309 物不念 路行去裳 青山乎 振酒見者 都追慈花 尓太遥越賣 作樂花 佐可遥越賣 汝乎叙母 吾尓依云 吾乎叙物 汝尓依云 汝者如何 念也念社 歳八羊乎 斬髪 与知子乎過 橘之 末枝乎須具里 此川之 下母長久 汝心待

訓読 物思(も)はず 路(みち)行き行くも 青山を 振り放(さ)け見れば つつじ花 香(にほゑ)し少女(をとめ) 桜花(さくらはな) 栄(さかえ)し少女(をとめ) 汝(な)れをぞも 吾に寄すいふ 吾をぞも 汝れに寄すいふ 汝(な)はいかに 思(も)ふや思(も)へこそ 歳し八遙(やつよ)を 切り髪し 吾同子(よちこ)を過ぎし 橘し 末枝(はつゑ)を過(す)ぐり この川し 下にも長く 汝(な)が心待つ

私訳 花を是非に見ようと思わずに道を行き来ても、青葉の山を見上げるとツツジの花が芳しく香る未通女のようで、桜の花は盛りを迎えた未通女のようだ。そんな貴女は私を信頼して気持ちを寄り添え、物の数にも入らないようなつまらない私でも同じように貴女を信じ気持ちを寄せる。貴女はどのように想っているのか。 心を寄せて、ようやくの八歳の幼さない切り髪のおかっぱ頭の髪を伸ばし始めて肩まで伸びてうない放髪の幼さを過ぎ、貴女は橘の薫り高い末枝の花芽の時を過ぎた。私はこの川の下流が長く久しいように、ずーと、貴女が私を愛する時を待っています。

注意 原文の「歳八羊乎」は、一般に「歳八年乎」と記し「年の八歳を」と訓みます。

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