竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集 集歌1779から集歌1783まで

2021年05月07日 | 新訓 万葉集巻九
万葉集 集歌1779から集歌1783まで

藤井連和謌一首
標訓 藤井連の和(こた)へたる謌一首
集歌一七七九 
原文 命乎志 麻勢久可願 名欲山 石踐平之 復亦毛来武
訓読 命(いのち)をし真幸(まさき)くもがも名欲山(なほりやま)石(いは)踏(ふ)み平(なら)しまたまたも来(こ)む
私訳 命を大切にして無事で居て欲しい。名欲山の岩を踏みしめて、きっと、再び、ここにやって来るでしょう。

鹿嶋郡苅野橋別大伴卿謌一首并短謌
標訓 鹿嶋郡(かしまのこほり)の苅野(かるの)の橋にして大伴卿に別れたる謌一首并せて短謌
集歌一七八〇 
原文 牝牛乃 三宅之酒尓 指向 鹿嶋之埼尓 狭丹塗之 小船儲 玉纒之 小梶繁貫 夕塩之 満乃登等美尓 三船子呼 阿騰母比立而 喚立而 三船出者 濱毛勢尓 後奈居而 反側 戀香裳将居 足垂之 泣耳八将哭 海上之 其津乎指而 君之己藝歸者
訓読 牝牛(ちちうし)の 官家(みやけ)し坂に さし向ふ 鹿島し崎に さ丹塗りし 小船(をふね)を設(ま)け 玉(たま)纏(まき)し 小梶(をかぢ)繁(しじ)貫(ぬ)き 夕潮(ゆふしほ)し 満ちの留(とど)みに 御船子(みふなこ)を 率(あとも)ひ立てて 喚(よ)び立たてて 御船(みふね)出(い)でなば 浜も狭(せ)に 後れ並み居て 反(こい)側(まろ)び 恋ひかも居(を)らむ 足(あし)垂(たり)し 泣(な)くのみや哭(ね)かむ 海上(うなかみ)し その津を指して 君し漕ぎ帰(い)かば
私訳 乳を採る牝牛を飼う官家のある坂に向かい立つ鹿島の崎に、丹を塗った官の使う小船を用意して、小さな梶を艫に取り付けて、夕潮が満潮になり、御船の水手達を引き連れ立て、呼び立てて、御船が出港すると、浜も狭いほどに後に残される人たちは並んで居て、悲しみに転げまわって貴方のことを慕うでしょう。寝転びて足をバタバタして泣くだけして貴方との別れを恨むでしょう。下総海上にある、その湊を目指して貴方が乗る船が漕ぎ行くと。

反謌
集歌一七八一 
原文 海津路乃 名木名六時毛 渡七六 加九多都波二 船出可為八
訓読 海(うみ)つ路(ぢ)の和(な)きなむ時も渡らなむかく立つ波に船出すべしや
私訳 海路を行くに凪である時を択んで渡るでしょう。このように波立っている波間に船出をするべきでしょうか。
左注 右二首、高橋連蟲麻呂之謌集中出。
注訓 右の二首は、高橋連虫麻呂の歌集の中に出づ。

与妻謌一首
標訓 妻に与へたる歌一首
集歌一七八二 
原文 雪己曽波 春日消良米 心佐閇 消失多列夜 言母不往来
訓読 雪こそば春日(はるひ)消(け)ゆらめ心さへ消(き)え失せたれや言(こと)も通はぬ
私訳 積もった雪は春の陽光に当たって解けて消えるように、貴女は私への想いも消え失せたのでしょうか。私を愛していると云う誓いの歌もこの春になっても遣って来ません。

妻和謌一首
標訓 妻の和(こた)へたる歌一首
集歌一七八三 
原文 松反 四臂而有八羽 三栗 中上不来 麻呂等言八子
訓読 松(まつ)返(かへ)りしひてあれやは三栗(みつくり)し中(なか)上(のぼ)り来(こ)ぬ麻呂といふ奴(やつこ)
私訳 松の緑葉は生え変わりますが、貴方は体が不自由になったのでしょうか。任期の途中の三年目の中上がりに都に上京して来ない麻呂という奴は。
貴方が便りを待っていた返事です。貴方が返事を強いたのですが、任期の途中の三年目の中の上京で、貴方はまだ私のところに来ません。麻呂が言う八歳の子より。
左注 右二首、柿本朝臣人麻呂之謌集中出。
注訓 右の二首は、柿本朝臣人麻呂の歌集の中に出づ。
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