竹取翁と万葉集のお勉強

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万葉集巻二を鑑賞する  集歌96から集歌104まで

2012年06月18日 | 万葉集 旧読解
万葉集巻二を鑑賞する


久米禅師、娉石川郎女時謌五首
標訓 久米禅師の、石川郎女を娉(よば)ひし時の歌五首
集歌96 水薦苅 信濃乃真弓 吾引者 宇真人作備而 不欲常将言可聞  (禅師)
訓読 御薦(みこも)刈りし信濃(しなの)の真弓(まゆみ)吾が引かば貴人(うまひと)さびて否(いな)と言はむかも
私訳 あの木梨の軽太子が御薦(軽大郎女)を刈られたように、信濃の真弓を引くように私が貴女の手を取り、体を引き寄せても、お嬢様に相応しく「だめよ」といわれますか。

集歌97 三薦苅 信濃乃真弓 不引為而 強作留行事乎 知跡言莫君二  (郎女)
訓読 御薦(みこも)刈りし信濃(しなの)の真弓(まゆみ)引かずして強(し)ひさる行事(わさ)を知ると言はなくに
私訳 あの木梨の軽太子は御薦(軽大郎女)を刈られたが、貴方は強弓の信濃の真弓を引かないように、無理やりに私を引き寄せて何かを為されてもいませんのに、貴方が無理やりに私になされたいことを、私は貴方がしたいことを知っているとは云へないでしょう。

集歌98 梓弓 引者随意 依目友 後心乎 知勝奴鴨  (郎女)
訓読 梓(あずさ)弓(ゆみ)引かばまにまに依(よ)らめども後(のち)の心を知りかてぬかも
私訳 梓巫女が梓弓を引くによって神依せしたとしても、貴方が私を抱いた後の真実を私は確かめるができないでしょうよ。

集歌99 梓弓 都良絃取波氣 引人者 後心乎 知人曽引  (禅師)
訓読 梓(あずさ)弓(ゆみ)弦(つら)緒(を)取りはけ引く人は後(のち)の心を知る人ぞ引く
私訳 梓弓に弦を付け弾き鳴らして神を引き寄せる梓巫女は、貴女を抱いた後の私の真実を知る巫女だから神の梓弓を引いて神託(私の真実)を告げるのです。

集歌100 東人之 荷向篋乃 荷之緒尓毛 妹情尓 乗尓家留香問  (禅師)
訓読 東人(あずまひと)の荷前(のさき)の篋(はこ)の荷の緒にも妹は心に乗りにけるかも
私訳 貴女の気を引く信濃の真弓だけでなく、さらに、それを納める東人の運んできた荷物の入った箱を縛る荷紐の緒までに、貴女への想いで私の心に乗り被さってしまったようです。

大伴宿祢娉巨勢郎女時謌一首
大伴宿祢、諱曰安麻呂也。難波朝右大臣大紫大伴長徳卿之第六子。平城朝任大納言兼大将軍薨也
標訓 大伴宿祢の巨勢郎女を娉(よば)ひし時の歌一首
追訓 大伴宿祢、諱(いみな)を曰はく「安麻呂」といへり。難波の朝(みかど)の右大臣大紫大伴長徳卿の第六子なり。平城の朝(みかど)に大納言兼(あはせて)大将軍に任けられ薨(みまか)れり。

集歌101 玉葛 實不成樹尓波 千磐破 神曽著常云 不成樹別尓
訓読 玉(たま)葛(かづら)実の成(な)らぬ木にはちはやぶる神ぞ着(つ)くといふならぬ樹ごとに
私訳 美しい藤蔓の花の実の成らない木には恐ろしい神が取り付いていると言いますよ。実の成らない木にはどれも。それと同じように、貴女を抱きたいと云う私の思いを成就させないと貴女に恐ろしい神が取り付きますよ。

巨勢郎女報贈謌一首 即近江朝大納言巨勢人卿之女也
標訓 巨勢郎女の報(こた)へ贈りたる歌一首
追訓 即ち近江朝の大納言巨勢(こせの)人(ひとの)卿(まへつきみ)の女(むすめ)なり

集歌102 玉葛 花耳開而 不成有者 誰戀尓有目 吾孤悲念乎
訓読 玉(たま)葛(かづら)花のみ咲きて成らずあるは誰が恋にあらめ吾(わ)が恋ひ念(おも)ふを
私訳 美しい藤蔓の花のような言葉の花だけがたくさんに咲くだけで、実際に恋の実が実らなかったのは誰の恋心でしょうか。私は貴方の私への恋心を感じていましたが。


明日香清御原宮御宇天皇代 天渟名原瀛真人天皇、謚曰天武天皇
標訓 明日香清御原宮に御宇天皇の代(みよ) 
追訓 天渟名原瀛真人天皇、謚(おくりな)して曰はく天武天皇

天皇賜藤原夫人御謌一首
標訓 天皇(すめらみこと)の藤原(ふじわらの)夫人(ぶにん)に賜(たま)へる御謌(おほみうた)一首
集歌103 吾里尓 大雪落有 大原乃 古尓之郷尓 落巻者後
訓読 吾(わ)が里に大雪降(ふ)れり大原の古(ふ)りにし里に降らまくは後(のち)
私訳 わが明日香の里に大雪が降っている、遠く離れたお前の里の(明日香の)大原の古びた里に雪が降るのはもっと後だね。

藤原夫人奉和謌一首
標訓 藤原夫人の和(こた)へ奉(たてまつ)れる謌一首
集歌104 吾岡之 於可美尓言而 令落 雪之摧之 彼所尓塵家武
訓読 吾(わ)が岡の御神(をかみ)に言ひて落(ふ)らしめし雪の摧(くだ)けし其処(そこ)に散りけむ
私訳 私の里にある丘に祭られる御神である竜神に言いつけて降らせた雪のかけらが、そちらに散ったのでしょう。

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2 コメント

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こんな言い方があるの (しらかべ)
2018-09-05 06:47:28
明日香清御原宮御宇天皇代 天渟名原瀛真人天皇、謚曰天武天皇
天皇賜藤原夫人御謌一首
集歌103 吾里尓 大雪落有 大原乃 古尓之郷尓 落巻者後
訓読 吾(わ)が里に大雪降(ふ)れり大原の古(ふ)りにし里に降らまくは後(のち)

藤原夫人奉和謌一首
集歌104 吾岡之 於可美尓言而 令落 雪之摧之 彼所尓塵家武
訓読 吾(わ)が岡の御神(をかみ)に言ひて落(ふ)らしめし雪の摧(くだ)けし其処(そこ)に散りけむ
---何時なのか知りませんが、こんなことを言うのでしょうか 令落 雪之摧之 彼所尓塵家武 などと 壬申の乱があっても ですね。
ご来場のお礼 (作業員)
2018-09-08 10:47:01
先週、二度に渡りコメントをいただきありがとうございます。
返事とするものが長くなりましたので、色眼鏡番外として、思うところを紹介いたします。8日のお昼にはup出来ると思いますので、参照いていただけば幸いです。

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