竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

高橋連虫麻呂歌集を鑑賞する  旅先の異国の美少女

2010年12月04日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
旅先の異国の美少女
 この歌は、公務で旅に出た異国の都会の雑踏の中で大和美人とは違う雰囲気を持つ異国の美少女に出会った、その瞬間の気持ちを詠ったものです。ここでは、少年の時代に戻り、異国の美少女にときめいて下さい。
 歌の景色は、川面に反射する日の光が照らす目新しい新造のやや鈍い赤色の朱塗りの大橋の辺の雑踏の中で、少し憂いを含んだような異国の顔立ちをした美少女を目撃しています。その美少女は、上には白地に深い緑の色が映える薄手の衣を着け、腰には真っ赤な裳を巻いています。そして、作歌者はその美少女に大人の女である若妻の雰囲気を見つけています。美しいだけでなく、男を知る美女の、その美を手折りたい男としての欲望もあります。
 このように、歌は、日の光、朱の赤、紅花の紅、山藍の深緑、布本来の白と歌に織り込み、絵画を説明するかのようで、非常に色彩と愛情が豊かな歌です。もし、ここで「級照」を枕詞としたのでは、光の輝きの美しさが半減します。また、旅人の立場で歌を詠ったと解釈している関係で反歌の「屋戸借申尾」を「屋戸借りましを」と訓んでいます。普段の解釈のように「宿貸さましを」では美少女が旅人になってしまい、朱塗りの大橋が持つ異国の雰囲気やそこで生活する見知らぬ国の美少女の雰囲気が無くなってしまいます。また、若妻のような熟れた美少女の跡を付いて行きたいと云う男としての欲望が薄れます。
 古典な比喩ですが、横浜中華街で出会ったチャイナドレスのセクシーな美少女の感覚です。

見河内大橋獨去娘子謌一首并短謌
標訓 河内(かふち)の大橋を獨り去(ゆ)く娘子(をとめ)を見たる謌一首并せて短謌

集歌1742 級照 片足羽河之 左丹塗 大橋之上従 紅 赤裳十引 山藍用 摺衣服而 直獨 伊渡為兒者 若草乃 夫香有良武 橿實之 獨歟将宿 問巻乃 欲我妹之 家乃不知久

訓読 級(しな)ひ照(て)る 片足羽(かたしは)川(かは)の さ丹(に)塗(ぬ)りの 大橋の上ゆ 紅(くれなゐ)の 赤裳裾引き 山(やま)藍(あゐ)もち 摺(す)れる衣(きぬ)着て ただ独り い渡らす子は 若草の 夫(せを)かあるらむ 橿(かし)の実の 独りか寝(ぬ)らむ 問はまくの 欲(ほ)しき我妹(わぎも)の 家の知らなく

私訳 光輝き照らす片足羽川の美しく丹に塗られた大橋の上を、紅色の赤裳を裾に着け山藍で斑に染めた緑色の上衣を着て、ただ独りで渡って行く娘(こ)は若草のようにしなやかで若々しい、その夫がいるのだろうか、それとも、橿の実のように一つ身で、夜を過すのだろうか。名を聞いてみたいような、私が恋する貴女の氏・素性を知らない。


反謌
集歌1743 大橋之 頭尓家有者 心悲久 獨去兒尓 屋戸借申尾
訓読 大橋の頭(つめ)に家あらば心(うら)悲(かな)しく独り去(い)く子に屋戸(やと)借りましを

私訳 もし、大橋のほとりにあの娘の家があるのなら、何か、もの悲しげに憂いを含んで独り去っていくあの娘に、今宵の宿を借りると頼むのですが。


コメント   この記事についてブログを書く
« 高橋連虫麻呂歌集を鑑賞する... | トップ | 高橋連虫麻呂歌集を鑑賞する... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集」カテゴリの最新記事