竹取翁と万葉集のお勉強

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拾遺和歌集 巻3 歌番号197から201まで

2024年08月28日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻3

歌番号 197

詞書 大井河にもみちのなかるるを見て

詠人 健守法師

原文 美川乃安也尓 毛美知乃尓之幾 加左祢川々 可者世尓奈美乃 多々奴日曽奈幾

和歌 みつのあやに もみちのにしき かさねつつ かはせになみの たたぬひそなき

読下 水のあやに紅葉の錦かさねつつ河せに浪のたたぬ日そなき

解釈 水面の波紋に紅葉した葉の錦を重ねて流れ行く川の瀬に浪の立たない日はありません。

 

歌番号 198

詞書 西宮左大臣家の屏風に、しかの山こえに、つほさうそくしたる女とももみちなとある所に

詠人 したかふ

原文 名遠幾个者 武可之奈可良乃 也万奈礼止 志久留々安幾者 以呂万佐利个利

和歌 なをきけは むかしなからの やまなれと しくるるあきは いろまさりけり

読下 名をきけは昔なからの山なれとしくるる秋は色まさりけり

解釈 名前を聞くと昔ながらの名を持つ、その長等山ではあるが、時雨の降る秋には一層に色がまさることです。

 

歌番号 199 拾遺抄記載

詞書 東山にもみち見にまかりて、又の日のつとめて、まかりかへるとてよみ侍りける

詠人 恵慶法師

原文 幾乃不与利 遣不者万佐礼留 毛美知八乃 安寸乃以呂遠者 美天也々美奈无

和歌 きのふより けふはまされる もみちはの あすのいろをは みてややみなむ

読下 昨日よりけふはまされるもみちはのあすの色をは見でややみなん

解釈 昨日より今日のほうが優っている紅葉した葉の色合い、それならば明日の紅葉した葉の色合いを見ないで済ますことが出来るでしょうか。

 

歌番号 200

詞書 天暦の御時、殿上のをのことも紅葉見に大井にまかりけるに

詠人 源延光朝臣

原文 毛美知者遠 天己止尓於利天 加部利奈无 可世乃己々呂毛 宇之呂女多幾尓

和歌 もみちはを てことにをりて かへりなむ かせのこころも うしろめたきに

読下 もみち葉を手ことにをりてかへりなん風の心もうしろめたきに

解釈 紅葉した葉をそれぞれの人の手によって手折って帰りましょう、葉を散らすでしょう風の気分が吹くのか吹かないのか、それがどうなるか不安ですから。

 

歌番号 201

詞書 天暦の御時、殿上のをのことも紅葉見に大井にまかりけるに

詠人 源兼光

原文 恵多奈可良 美天遠加部良无 毛美知者々 於良无本止尓毛 知利毛己曽寸礼

和歌 えたなから みてをかへらむ もみちはは をらむほとにも ちりもこそすれ

読下 枝なから見てをかへらんもみちははをらんほとにもちりもこそすれ

解釈 手折ることなく、木に枝が付いたまま、それを眺めて帰りましょう、紅葉した葉は手折る間にも散り落ちるかもしれないから。

 

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