竹取翁と万葉集のお勉強

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 24

2013年06月02日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

問答
標 問答(もんどう)
集歌2508 皇祖乃 神御門乎 衢見等 侍従時尓 相流公鴨
訓読 皇祖(すめろき)の神し御門を衢(みち)見しと侍従(さもら)ふ時に逢へる君かも
私訳 皇祖の神の御殿で、通路を見張るためにお仕えしている時の、その時だけに、お目に懸かれる貴方ですね。
注意 原文の「衢見等」の「衢」は、一般に「懼」の誤字として「懼(かしこ)みと」と訓みます。ここでは原文のままに訓んでいます。

集歌2509 真祖鏡 雖見言哉 玉限 石垣渕乃 隠而在孋
訓読 真澄鏡(まそかがみ)見とも言はめや玉かぎる石垣淵(いはがきふち)の隠(こも)りにある麗(つま)
私訳 見たい姿を見せると云う真澄鏡、その鏡に貴女の姿を見て、逢ったと語れるでしょうか。川面輝く流れにある岩淵が深いように、宮中の奥深くに籠っている私の麗しい妻の貴女。
右二首
注訓 右は二首

集歌2510 赤駒之 足我枳速者 雲居尓毛 隠往序 袖巻吾妹
訓読 赤駒し足掻(あがき)速けば雲居にも隠(かく)り行(い)かむぞ袖枕(ま)け吾妹
私訳 赤駒の歩みが速いので彼方の雲の立つところにも、忍んで行きましょう。褥を用意して待っていてください。私の貴女。

集歌2511 隠口乃 豊泊瀬道者 常消乃 恐道曽 戀由眼
訓読 隠口(こもくり)の豊(とよ)泊瀬(はつせ)道(ぢ)は常(とこ)消えの恐(かしこ)き道ぞ戀(こ)ふらくはゆめ
私訳 人が亡くなると隠れるという隠口の立派な泊瀬道は、いつも道が流される、使うのに恐ろしい道です。恋い焦がれるからと、気を逸らないでください。
注意 原文の「常消乃」では歌意が不明として、一般には次のように二か所を改訂して解釈します。西本願寺本と歌が違います。
改訂 隠口乃 豊泊瀬道者 常滑乃 恐道曽 尓心由眼(又は「戀由眼」)
訓読 隠口(こもくり)の豊(とよ)泊瀬(はつせ)道(ぢ)は常滑(とこなめ)の恐(かしこ)き道ぞ汝(な)が心ゆめ(又は「戀ふらくはゆめ」)

集歌2512 味酒之 三毛侶乃山尓 立月之 見我欲君我 馬之足音曽為
訓読 味酒(うまさけ)し三諸(みもろ)の山に立つ月し見が欲(ほ)し君が馬(ま)し足音(おと)そせし
私訳 噛み酒を奉じる三室の山に出る月を見たいと思う、そのように逢いたいと思う貴方の馬の蹄の音がしました。
右三首
注訓 右は三首

集歌2513 雷神 小動 刺雲 雨零耶 君将留
訓読 鳴る神し少し響(とよ)みてさし曇り雨し降らぬや君し留(とど)めむ
私訳 雷神の鳴らす雷の音がかすかに響いて、空も曇ってきて、雨も降ってこないでしょうか。そうすれば、貴方のお帰りを引き留めましょう。

集歌2514 雷神 小動 雖不零 吾将留 妹留者
訓読 鳴る神し少し響(とよ)みて降らずとも吾(われ)し留(とま)らむ妹し留(とど)めば
私訳 雷神の鳴らす雷の音がかすかに響いて雨が降らなくても、私はこのまま留まりましょう。貴女が引き留めるのなら。
右二首
注訓 右は二首

集歌2515 布細布 枕動 夜不寐 思人 後相物
訓読 敷栲(しきたへ)し枕動(とよ)みて夜も寝(ね)ず思ふ人には後(のち)に逢ふものを
私訳 夜に敷く栲の床に添える貴方の枕を見ると気が落ち着かず夜も眠れない。恋い慕う貴方には、後できっと逢えるのですが。

集歌2516 敷細布 枕人 事問哉 其枕 苔生負為
訓読 敷栲(しきたへ)し枕し人し事(こと)問(と)ふやその枕には苔(こけ)生(む)しにたり
私訳 夜に敷く栲の床に添える枕を、貴方は訪れたとき私に聞くでしょうか。貴方が使うその枕には苔が生えていると。
右二首
注訓 右は、二首
以前一百四十九首、柿本朝臣人麿之謌集出。
注訓 前(さき)の一百四十九首を以て、柿本朝臣人麿の歌集に出(い)づ。

集歌2634 里遠 戀和備尓家里 真十鏡 面影不去 夢所見社
訓読 里(さと)遠(とほ)み恋ひわびにけり真澄鏡(まそかがみ)面影(おもかげ)去らず夢に見えこそ
私訳 貴方の家が遠いので恋しくて寂しく思う。願うと姿を見せるという真澄鏡よ。面影を忘れさせず私に夢の中にあの人の姿を見せてください。
右一首、上見柿本朝臣人麿之歌中也。但以句ゞ相換故載於茲。
注訓 右の一首は、上に柿本朝臣人麿の歌の中に見えたり。ただ句ゞ相換れるを以ちての故に茲に載す。
参考歌
集歌2501 里遠 眷浦経 真鏡 床重不去 夢所見与
訓読 里(さと)遠(とほ)み眷(か)ねうらぶれぬ真澄鏡(まそかがみ)床の辺(へ)去(さ)らず夢に見えこそ
私訳 貴方の家が遠いので振り返り見て寂しく思う。願うと姿を見せるという真澄鏡よ。夜の床を離れない私に、夢の中にあの人の姿を見せてください。


問答
標訓 問答(もんどう)
集歌2808 眉根掻 鼻火紐解 待八方 何時毛将見跡 戀来吾乎
訓読 眉根(まよね)掻き鼻ひ紐解け待てりやも何時かも見むと恋ひ来しわれを
私訳 眉を掻き、小鼻を鳴らし、下着の紐を解いて、貴方を待っていましょう。何時、いらっしゃるのかと、思っています。私は。
右、上見柿本朝臣人麿之歌中也。但以問答故、累載於茲也。
注訓 右は、上に柿本朝臣人麿の歌の中に見ゆ。ただ問答なるを以ちての故に、累ねて茲に載せたり。

参考歌
集歌2408 眉根削 鼻鳴紐解 待哉 何時見 念吾君
訓読 眉根(まよね)掻き鼻(はな)ひ紐(ひも)解(と)け待つらむか何時(いつ)かも見むと想ふ吾が君
私訳 眉を掻き、小鼻を鳴らし、下着の紐を解いて、貴方を待っていましょう。何時、いらっしゃるのかと想っています。私の貴方。



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