竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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再読、今日のみそひと謌 月

2018年08月20日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 月

集歌2627 波祢蘰 今為妹之 浦若見 咲見慍見 著四紐解
訓読 はね蘰(かつら)今する妹しうら若み笑(ゑ)みみ怒(いか)りみ着(つ)けし紐(ひも)解(と)く
私訳 成女になった印の「はね蘰」を、今、身に着ける愛しい貴女は、まだ、男女の営みに初々しいので、笑ったり拗ねたりして、着ている下着の紐を解く。
注意 原歌の「波祢蘰(はね蘰)」は集歌705及び706の歌と同様に、裳着を終え成女になったばかりの女性の意味と捉えています。

集歌2628 去家之 倭文旗帶乎 結垂 孰云人毛 君者不益
訓読 古(いにしへ)し倭文(しつ)機帯(はたおび)を結び垂(た)れ誰(たれ)云ふ人も君にはまさじ
私訳 古風な粗末な倭文の機帯を結び垂らしている、その帯を垂らしている人はどんな人と云われても、貴方にはかないません。
左注 一書謌云 古之 狭織之帶乎 結垂 誰之能人毛 君尓波不益
注訓 一書(あるふみ)の謌に云はく、
訓読 古(いにしへ)し狭織(さおり)し帯を結び垂(た)れ誰(たれ)しの人も君にはまさじ
私訳 古風な狭織の帯を結び垂らし、その帯を垂らしているどんな人も、貴方にはかないません。

集歌2629 不相友 吾波不怨 此枕 吾等念而 枕手左宿座
訓読 逢はずとも吾(われ)は怨(うら)みじこの枕(まくら)吾(われ)と思ひに枕(ま)きてさ寝(ね)ませ
私訳 お逢いできなくても私は怨みません。でも、この贈る私の香の染み込んだ枕を、私だと思って抱いて寝て下さい。

集歌2630 結紐 解日遠 敷細 吾木枕 蘿生来
訓読 結(ゆ)へる紐(ひも)解(と)かむ日(ひ)遠(とほ)み敷栲(しきたへ)し吾(あ)が木枕(こまくら)は苔(こけ)生(む)しにけり
私訳 貴方が結んでくれたこの下着の紐を、貴方が解いてくれる日が間遠いので、床に敷く栲の上に置く貴方が使う木枕には苔が生えて来ました。

集歌2631 夜干玉之 黒髪色天 長夜叨 手枕之上尓 妹待覧蚊 (叨は、口+リの当字)
訓読 ぬばたまし黒髪(くろかみ)敷きて長き夜を手枕(たまくら)し上(うへ)に妹待つらむか
私訳 黒髪のような漆黒の空模様、そのような黒髪を白い栲の床に靡かせて長い夜を腕枕のままに横になって愛しい貴女は、私を待っているのでしょうか。

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再読、今日のみそひと謌 金

2018年08月17日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 金

集歌2622 志賀乃白水郎之 塩焼衣 雖穢 戀云物者 忘金津毛
訓読 志賀の白水郎(あま)し塩焼き衣(きぬ)し穢(な)れぬれど恋といふものは忘れかねつも
私訳 志賀の海部が着る塩焼く作業着は萎(な)れているが、その言葉のような、馴(な)れはしたが、恋と云うものは。でも、貴女とのその恋の行いを忘れ去ることができません。

集歌2623 呉藍之 八塩乃衣 朝旦 穢者雖為 益希将見裳
訓読 紅(くれなゐ)し八汐(やしほ)の衣(ころも)朝(あさ)な朝(さ)な穢(な)れはすれどもいやめづらしも
私訳 紅花の紅で何度も染めた衣は、貴女との出逢いの朝毎に穢れていく(=夜床で互いの体を覆った衣がシワになること)。その言葉のひびきではないが、貴女との性交渉に馴れていきますが、でも、貴女はいつも新鮮です。

集歌2624 紅之 深染衣 色深 染西鹿齒蚊 遺不得鶴
訓読 紅(くれなゐ)し濃染(こそめ)し衣(ころも)色(いろ)深(ふか)し染(し)みにしかばか忘れかねつる
私訳 紅色に深く染めた衣の色は奥行き深い。その言葉ではないが、私の心に貴女が深く染み込んだからか、忘れることができません。

集歌2625 不相尓 夕卜乎問常 幣尓置尓 吾衣手者 又曽可續
訓読 逢はなくに夕卜(ゆふけ)を問ふと幣(ぬさ)に置きに吾(あ)が衣手(ころもて)はまたぞ継ぐべき
私訳 貴方に逢えないからと夕占いをして神に問うとして、衣の袖を千切り幣として置くから、私の衣の袖は、また、継ぎ合わさなければならない。(貴方がやって来ないから)

集歌2626 古衣 打棄人者 秋風之 立来時尓 物念物其
訓読 古衣(ふるころも)打棄(うつつ)る人は秋風し立ち来(く)る時に物(もの)念(も)ふものぞ
私訳 古い衣を打ち捨てるように恋人を打ち捨てる人は、秋風が立ち吹き付ける時に物思いをするものです。

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再読、今日のみそひと謌 木

2018年08月16日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 木

集歌2617 足日木能 山櫻戸乎 開置而 吾待君乎 誰留流
訓読 あしひきの山桜(やまさくら)戸(と)を開け置きに吾(あ)が待つ君を誰れか留(とど)むる
私訳 葦や桧の茂る山の桜でできた戸を開けっぱなしにして、私が待っている愛しい貴方を、私の許に寄越さないようにと、誰が留め置いているのでしょうか。

集歌2618 月夜好三 妹二相跡 直道柄 吾者雖来 夜其深去来
訓読 月夜(つくよ)よみ妹に逢はむと直道(ただぢ)から吾(あ)は来(く)れど夜ぞ更(ふ)けにける
私訳 月夜が芳しく、美しく愛しい貴女に逢おうとして近道を私はやって来たが、夜は更けてしまった。

集歌2619 朝影尓 吾身者成 辛衣 襴之不相而 久成者
訓読 朝影(あさかげ)に吾(あ)が身(み)はなりぬ韓衣(からころも)裾し合はずに久(ひさ)しくなれば
私訳 朝の光が弱々しいように私の体は痩せ細ってしまった。痩せた身に韓衣の左右の裾前が合わない(=裾合わせの位置が悪くバランス悪い)ように、逢わない日々が長く続くと。

集歌2620 解衣之 思乱而 雖戀 何如汝之故跡 問人毛無
訓読 解衣(とききぬ)し思ひ乱れに恋ふれども何(な)そ汝(な)しゆゑと問ふ人もなき
私訳 脱ぎ放しにした衣のように心を乱して恋い焦がれるが「どうした、お前の今の様子は」と尋ねる人もいません。
注意 原歌の「解衣」を「解濯衣」の言葉の展開から「縫い糸を解いて布に戻した衣」と解釈するものもあります。艶を取ると脱いだ衣、生活感を取ると縫い糸を解いた衣となります。

集歌2621 摺衣 著有跡夢見津 寐者 孰人之 言可将繁
訓読 摺衣(すりころも)著(つけ)りと夢(いめ)見つ寝たれしは孰(いず)れし人し言(こと)か繁けむ
私訳 願いする神事に着る、その摺り衣を身に着けたと夢の中で見ながら眠ると、夢でどんな娘との噂が立つでしょうか。

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再読、今日のみそひと謌 水

2018年08月15日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 水

集歌2612 白細布乃 袖觸而夜 吾背子尓 吾戀落波 止時裳無
訓読 白栲(しろたへ)の袖触れてしや吾(あ)が背子に吾(あ)が恋ふらくは止(や)む時もなき
私訳 互いの白栲の夜着の袖が触れ、貴方に抱かれた夜。私の愛しい貴方によって、私の恋と云う「愛の営み」は止むことがありません。

集歌2613 夕卜尓毛 占尓毛告有 今夜谷 不来君乎 何時将待
訓読 夕卜(ゆふけ)にも占(うら)にも告(の)れる今夜(こよひ)だに来(き)まさぬ君を何時(いつ)とか待たむ
私訳 夕占にも他の占いにも「待つ人は来る」とのお告げがあった、その今夜であっても、いらっしゃらない貴方を「いつ、いらっしゃるのか」と待つのでしょうか。

集歌2614 眉根掻 下言借見 思有尓 去家人乎 相見鶴鴨
訓読 眉根(まよね)掻き下(した)いふかしみ思へるに古(いにしへ)人(ひと)を相見つるかも
私訳 眉を掻き、不思議な事と思っていたら、古い友人と出会いました。
左注 或本謌云、眉根掻 誰乎香将見跡 思乍 氣長戀之 妹尓相鴨
注訳 或る本の歌に云はく、
訓読 眉根(まよね)掻き誰(たれ)をか見むと思ひつつ日(け)長(なが)く恋ひし妹に逢へるかも
私訳 眉を掻き、きっと、誰かに会うだろうと思っていたら、長い間、恋い焦がれていた愛しいあの娘に会いました。
左注 一書謌曰、眉根掻 下伊布可之美 念有之 妹之容儀乎 今日見都流香裳
注訳 一書(あるふみ)の謌に曰はく、
訓読 眉根(まよね)掻き下(した)いふかしみ念(おも)へりし妹し姿を今日(けふ)見つるかも
私訳 眉を掻き、不思議な事と思っていたら、愛しいあの娘の姿を、今日、見ました。

集歌2615 敷栲乃 枕巻而 妹与吾 寐夜者無而 羊曽經来
訓読 敷栲(しきたへ)の枕(まくら)を纏(ま)きて妹と吾(われ)寝(ぬ)る夜は無くて遥(ひ)さそ経(へ)にける
私訳 床に敷く栲の上で薦の枕を巻いて愛しい貴女と私が共寝する夜の機会が無くて、とても時間が経ってしまった。

集歌2616 奥山之 真木之板戸乎 音速見 妹之當乃 霜上尓宿奴
訓読 奥山し真木(まき)し板戸(いたと)を音(おと)速(はや)み妹しあたりの霜し上(へ)に寝(ね)ぬ
私訳 奥山の立派な木で作る板戸の戸音が大きく甲高いので、夜這うことが出来なくて、愛しい貴女の家の傍で霜の上で夜を過ごしました。

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再読、今日のみそひと謌 火

2018年08月14日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 火

集歌2607 敷細之 衣手可礼天 吾乎待登 在監子等者 面影尓見
訓読 敷栲(しきたへ)し衣手(ころもて)離(か)れて吾(あ)を待つと監(まも)らむ子らは面影(おもかげ)に見ゆ
私訳 床に敷く栲の上で衣を脱ぎ交わしたこと時も隔ててしまって、私を待っているでしょう、母親にしっかり監視されているあの娘が、まぶたに浮かびます。
注意 原歌の「在監子等者」の「監」は一般に「濫」の誤字として「あるらむ子らは」と訓みます。ここでは原歌のままに訓んでいますので、歌の情景が違います。また、初句「敷細」の「細」は慣例で「たえ=栲」と訓じますが、歴史では根拠はありませんが、弊ブログでは伝統を尊重しています。

集歌2608 妹之袖 別之日従 白細乃 衣片敷 戀管曽寐留
訓読 妹(いも)し袖別れし日より白栲(しろたへ)の衣(ころも)片敷(かたし)き恋ひつつぞ寝(ぬ)る
私訳 愛しい貴女の夜着。衣を交換して後朝の別れをした日から白栲の貴女の夜着を床に敷いて、貴女を恋い慕って寝ています。

集歌2609 白細之 袖者間結奴 我妹子我 家當乎 不止振四二
訓読 白栲(しろたへ)し袖はまゆひぬ我妹子(わぎもこ)が家のあたりを止(や)まず振りしに
私訳 白栲の夜着の袖はほつれてしまった。私の愛しい貴女の家の傍で、別れにしきりに袖を振ったので。

集歌2610 夜干玉之 吾黒髪乎 引奴良思 乱而反 戀度鴨
訓読 ぬばたまし吾(あ)が黒髪(くろかみ)を引きぬらし乱れてさらに恋ひわたるかも
私訳 漆黒の私の黒髪の束ねを引き抜き髪を解き放ち、貴方の手で私の髪も体も乱れて、そして恋と云う愛の営みをしましょう。

集歌2611 今更 君之手枕 巻宿米也 吾紐緒乃 解都追本名
訓読 今さらに君し手枕(たまくら)纏(ま)き寝(ね)めや吾(あ)が紐の緒の解(と)けつつもとな
私訳 今さら、再び、貴方の手枕を纏って寝ることはあるでしょうか。だのに、私の下着の紐が自然に解けて、気が騒ぎます。

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