竹取翁と万葉集のお勉強

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 最終回

2013年06月30日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

集歌3417 可美都氣努 伊奈良能奴麻乃 於保為具左 与曽尓見之欲波 伊麻許曽麻左礼
訓読 上野(かみつけ)ぬ伊奈良(いなら)の沼の大藺草(おほゐくさ)外(よそ)に見しよは今こそまされ
私訳 上野の伊奈良の沼の大藺草のように近寄れず遠くから見るだけの時より、恋の苦しみは身近に逢った後の今の方がひどい。
柿本朝臣人麿歌集出也
注訓 柿本朝臣人麿の歌集に出るなり

集歌3441 麻等保久能 久毛為尓見由流 伊毛我敝尓 伊都可伊多良武 安由賣安我古麻
訓読 ま遠くの雲居に見ゆる妹が家(へ)にいつか至らむ歩め吾(あ)が駒
私訳 はるか遠くの雲が懸かって見える愛しい貴女の家に、そのうちに着くだろう。歩め、わが駒よ。
柿本朝臣人麿歌集曰、等保久之弖 又曰、安由賣久路古麿
柿本朝臣人麿の歌集に曰はく、
訓読 遠くして 又曰はく、歩め黒駒
私訳 遠くして、また云うには、歩め、黒駒。
参考歌
集歌1271 遠有而 雲居尓所見 妹家尓 早将至 歩黒駒
訓読 遠(とほ)ありに雲居にそ見ゆ妹が家(へ)に早く至らむ歩め黒駒

集歌3470 安比見弖波 千等世夜伊奴流 伊奈乎加毛 安礼也思加毛布 伎美末知我弖尓
訓読 相見ては千年(ちとせ)や去(ゐ)ぬる否(いな)をかも吾(あれ)や然(しか)思(も)ふ君待ちがてに
私訳 貴方に抱かれてから、もう、千年も経ったのでしょうか。違うのでしょう。でも、私はそのように感じます。貴方を待ちかねて。
柿本朝臣人麿歌集出也
注訓 柿本朝臣人麿の歌集に出るなり
注意 左注に「柿本朝臣人麿歌集出也」とありますが、巻十一に載る集歌2539の歌では人麻呂歌集の歌との記述はありません。人麻呂歌集の歌としては、集歌2381の歌が同じ趣旨のものです。万葉集の歌を理解する上で、万葉集の編者が巻十一に載る無名歌の一部を人麻呂歌集の歌と理解していたと思わせる貴重な注訓です。
参考歌
集歌2539 相見者 千歳八去流 否乎鴨 我哉然念 待公難尓
訓読 相見ては千歳(ちとせ)や去(い)ぬる否(いな)をかも我(われ)や然(しか)念(も)ふ公(きみ)待ちかてに

集歌3481 安利伎奴乃 佐恵々々之豆美 伊敝能伊母尓 毛乃伊波受伎尓弖 於毛比具流之母
訓読 あり衣(きぬ)のさゑさゑしづみ家の妹に物言はず来(き)にて思ひ苦しも
私訳 美しい衣を藍染めで藍瓶に沈めるように心が沈み、私の妻である貴女を後に置いたまま声も掛けずに出立して来て、後悔しています。
柿本朝臣人麿歌集中出 見上已説也
注訓 柿本朝臣人麿の歌集の中に出(い)ず 見ること上にすでに説きぬ
参考歌
集歌503 珠衣乃 狭藍左謂沉 家妹尓 物不語来而 思金津裳
訓読 玉衣(たまきぬ)のさゐさゐしづみ家(へ)し妹に物言はず来しに思ひかねつも
私訳 美しい衣を藍染めで藍瓶に沈めるように心が沈み、私の妻である貴女を後に置いたまま声を掛けずに出立して来て、後悔しています。

集歌3490 安都左由美 須恵波余里祢牟 麻左可許曽 比等目乎於保美 奈乎波思尓於家礼
訓読 梓弓(あづさゆみ)末(すゑ)は寄り寝む現在(まさか)こそ人目を多み汝(な)を間(はし)に置けれ
私訳 梓弓の末のように末には寄り添って寝よう。ただ今は、人目が多いのでお前を知り合いと恋人の間の中途半端にしているけど。
柿本朝臣人麿歌集出也
注訓 柿本朝臣人麿の歌集に出るなり
注意 左注に「柿本朝臣人麿歌集出也」とありますが、この歌以外に他に載るものはありません。


万葉集 巻十五より

集歌 3606 多麻藻可流 乎等女乎須疑弖 奈都久佐能 野嶋我左吉尓 伊保里須和礼波
訓読 玉藻刈る乎等女(をとめ)を過ぎて夏草の野島が崎に廬りす吾(わ)れは
私訳 美しい藻を刈る乙女を行き過ぎて、夏草の茂る野島の崎に船宿りする我々は。
柿本朝臣人麿歌曰、敏馬乎須疑弖
左注 柿本朝臣人麿の歌に曰はく、敏馬を過ぎて
又曰、布祢知可豆伎奴
左注 また曰はく、舟近づきぬ
参考歌
集歌250 珠藻刈 敏馬乎過 夏草之 野嶋之埼尓 舟近著奴
訓読 珠藻刈る駿馬を過ぎて夏草し野島し崎に舟近づきぬ

集歌 3607 之路多倍能 藤江能宇良尓 伊時里須流 安麻等也見良武 多妣由久和礼乎
訓読 白栲の藤江の浦に漁りする海人(あま)とや見らむ旅行く吾(あ)れを
私訳 白栲を造る葛(ふぢ)の、その藤江の浦で漁をする海人だろうかと思うだろう。旅を行く私を。
柿本朝臣人麿歌曰、安良多倍乃
左注 柿本朝臣人麿の歌に曰はく、荒栲の
又曰、須受吉都流安麻登香見良武
左注 また曰はく、鱸釣る海人とか見らむ
参考歌
集歌252 荒栲 藤江之浦尓 鈴寸釣 白水郎跡香将見 旅去吾乎
訓読 荒栲し藤江し浦に鱸釣る白水郎(あま)とか見らむ旅行くわれを

集歌 3608 安麻射可流 比奈乃奈我道乎 孤悲久礼婆 安可思能門欲里 伊敝乃安多里見由
訓読 天離る鄙の長道を恋ひ来れば明石の門(と)より家のあたり見ゆ
私訳 大和の京から離れた田舎からの長い道を大和の国を恋しく思って帰って来ると、明石の海峡から大和の家方向が見えました。
柿本朝臣人麿歌曰、夜麻等思麻見由
左注 柿本朝臣人麿の歌に曰はく、大和島見ゆ
参考歌
集歌255 天離 夷之長道従 戀来者 自明門 倭嶋所見
訓読 天離る夷し長道ゆ恋ひ来れば明石し門(と)より大和島そ見ゆ

集歌 3609 武庫能宇美能 尓波余久安良之 伊射里須流 安麻能都里船 奈美能宇倍由見由
訓読 武庫の海の庭よくあらし漁(いざり)する海人(あま)の釣舟波の上ゆ見ゆ
私訳 武庫の海の海上は穏やからしい。出漁している海人の釣船が波の上を見え隠れして行くのが見える。
柿本朝臣人麿歌曰、氣比乃宇美能
左注 柿本朝臣人麿の歌に曰はく、飼飯の海の
又曰、可里許毛能美多礼弖出見由安麻能都里船
左注 また曰はく、刈薦の乱れて出づ見ゆ海人の釣船
参考歌
集歌256 飼飯海乃 庭好有之 苅薦乃 乱出所見 海人釣船
訓読 飼飯し海の庭好くあらし刈薦の乱れ出づそ見し海人し釣船

集歌 3610 安胡乃宇良尓 布奈能里須良牟 乎等女良我 安可毛能須素尓 之保美都良武賀
訓読 安胡の浦に舟乗りすらむ娘子(をとめ)らが赤裳の裾に潮満つらむか
私訳 安胡の浦で遊覧の船乗りをしているだろう官女の人たちの赤い裳の裾に潮の飛沫がかかって、すっかり濡れているでしょうか。
柿本朝臣人麿歌曰、安美能宇良
左注 柿本朝臣人麿の歌に曰はく、安美の浦
又曰、多麻母能須蘇尓
左注 また曰はく、珠裳の裾に
参考歌
集歌40 鳴呼之浦尓 船乗為良武 感嬬等之 珠裳乃須十二 四寶三都良武香
訓読 鳴呼し浦に船乗りすらむ感嬬らし珠裳の裾に潮満つらむか

七夕歌一首
標訓 七夕の歌一首
集歌 3611 於保夫祢尓 麻可治之自奴伎 宇奈波良乎 許藝弖天和多流 月人乎登古
訓読 大船に真楫(まかぢ)繁貫(しじぬ)き海原(うなはら)を漕ぎ出て渡る月人(つきひと)壮士(をとこ)
私訳 大船の艫に立派な楫を刺し貫いて海原を漕ぎ出して、天の河を渡る月の船に乗る勇者よ。
右、柿本朝臣人麿歌
左注 右は、柿本朝臣人麿の歌

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 27

2013年06月23日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

柿本朝臣人麿歌集歌曰
標訓 柿本朝臣人麿の歌集の歌に曰はく、
集歌3253 葦原 水穂國者 神在随 事擧不為國 雖然 辞擧叙吾為 言幸 真福座跡 恙無 福座者 荒礒浪 有毛見登 百重波 千重浪尓敷 言上為吾

訓読 葦原の 瑞穂の国は 神ながら 事(こと)挙げせぬ国 しかれども 辞(こと)挙げぞ吾がする 言(こと)幸(さき)く ま幸(さき)くませと 恙(つつが)なく 福(さきく)いまさば 荒礒(ありそ)波(なみ) ありても見むと 百重(ももへ)波(なみ) 千重(ちへ)波(なみ)にしき 言(こと)上げす吾れは

私訳 天皇が治める葦原の瑞穂の国は地上の神々が気ままに人民に指図しない国です。しかし、その神々にお願いをする、私は。約束が祝福され、この国が繁栄しますようにと。そして何事もなく繁栄するならば、荒磯に常に波が打ち寄せるように百回も、千回も繰り返して、神々に誓約します、私は。

注意 原文の「千重浪尓敷」は、一般に「千重浪敷尓」と記し「千重浪しきに」と訓みます。

反歌
集歌3254 志貴嶋 倭國者 事霊之 所佐國叙 真福在与具
訓読 磯城島の大和の国は事霊(ことたま)の助くる国ぞま福(さきく)ありこそ
私訳 天皇の志の貴い磯城島の大和の国は地上の神々が天皇を補佐する国です。きっと、繁栄するはずだ。

問答
標訓 問答
集歌3305 物不念 道行去毛 青山乎 振放見者 茵花 香未通女 櫻花 盛未通女 汝乎曽母 吾丹依云 吾叨毛曽 汝丹依云 荒山毛 人師依者 余所留跡序云 汝心勤

訓読 物思はず 道行く行くも 青山を 振り放け見れば つつじ花 香(にほへ)少女(をとめ) 桜花 栄(さかへ)少女 汝(な)れをぞも 吾に寄すといふ 吾をもぞ 汝れに寄すといふ 荒山(あらやま)も 人し寄すれば 寄そるとぞいふ 汝が心ゆめ

私訳 花を是非に見ようと思わずに道を行き来ても、青葉の山を見上げるとツツジの花が芳しく香る未通女のようで、桜の花は盛りを迎えた未通女のようだ。そんな貴女は私を信頼して気持ちを寄り添え、つまらない私も同じように貴女を信じ気持ちを寄せる。手の入っていない未開の山も人が感心を寄せると、すぐに寄り来て手を入れると云います。ひたすら、貴女は私のことだけを想ってください。

反歌
集歌3306 何為而 戀止物序 天地乃 神乎祷迹 吾八思益
訓読 いかにしに恋ひ止むものぞ天地の神を祈れど吾は思(も)ひ益(まさ)る
私訳 どのようにして貴方への恋は止むものでしょう。天地の神に貴方と契ることを願ったあとも、私の貴方を慕う気持ちはいっそう募ります。

集歌3307 然有社 羊乃八歳叨 鑚髪乃 吾同子叨過 橘 末枝乎過而 此河能 下父長 汝情待
訓読 然(しか)れこそ 遥(よう)の八歳(やとせ)を 切り髪の 吾同子(よちこ)を過ぎ 橘の 末枝(ほつゑ)を過ぎに この川の 下(しも)の甫(ほ)長く 汝(な)が情(こころ)待つ
私訳 このようにして、ようやくの八歳の幼さない切り髪のおかっぱ頭の髪を伸ばし始めて肩まで伸びてうない放髪の幼さを過ぎて、橘の薫り高い末枝の花芽の時を過ぎて、この川の下流が広く大きく長いようにと、始めて女として貴方の情けを待っています。
注意 原文の「羊乃八歳叨」は、一般に「年乃八歳叨」と記し「年の八歳を」と訓みます。

反歌
集歌3308 天地之 神尾母吾者 祷而寸 戀云物者 都不止来
訓読 天地の神をも吾は祈りにき恋といふものはかつて止(や)まずけり
私訳 貴女と同じように天と地の神にも私は願いを捧げています。貴女と恋の行為をするというものは奥ゆかしくて引き止めることは出来ません。

柿本朝臣人麻呂之集歌
標訓 柿本朝臣人麻呂の集(しふ)の歌
集歌3309 物不念 路行去裳 青山乎 振酒見者 都追慈花 尓太遥越賣 作樂花 佐可遥越賣 汝乎叙母 吾尓依云 吾乎叙物 汝尓依云 汝者如何 念也念社 歳八羊乎 斬髪 与知子乎過 橘之 末枝乎須具里 此川之 下母長久 汝心待

訓読 物思(も)はず 路(みち)行き行くも 青山を 振り放(さ)け見れば つつじ花 香(にほゑ)し少女(をとめ) 桜花(さくらはな) 栄(さかえ)し少女(をとめ) 汝(な)れをぞも 吾に寄すいふ 吾をぞも 汝れに寄すいふ 汝(な)はいかに 思(も)ふや思(も)へこそ 歳し八遙(やつよ)を 切り髪し 吾同子(よちこ)を過ぎし 橘し 末枝(はつゑ)を過(す)ぐり この川し 下にも長く 汝(な)が心待つ

私訳 花を是非に見ようと思わずに道を行き来ても、青葉の山を見上げるとツツジの花が芳しく香る未通女のようで、桜の花は盛りを迎えた未通女のようだ。そんな貴女は私を信頼して気持ちを寄り添え、物の数にも入らないようなつまらない私でも同じように貴女を信じ気持ちを寄せる。貴女はどのように想っているのか。 心を寄せて、ようやくの八歳の幼さない切り髪のおかっぱ頭の髪を伸ばし始めて肩まで伸びてうない放髪の幼さを過ぎ、貴女は橘の薫り高い末枝の花芽の時を過ぎた。私はこの川の下流が長く久しいように、ずーと、貴女が私を愛する時を待っています。

注意 原文の「歳八羊乎」は、一般に「歳八年乎」と記し「年の八歳を」と訓みます。
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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 26

2013年06月16日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

集歌2947 念西 餘西鹿齒 為便乎無美 吾者五十日手寸 應忌鬼尾
訓読 想ふにし余りにしかばすべを無みわれは言ひてき忌むべきものを
私訳 心に貴女を想い、恋焦がれるのをあまりにどうしようもなく、私は何度も何日も貴女の名前を口に出してしまった。慎むべきなのに。
或本歌曰、門出而 吾反側乎 人見監可毛。
或る本の歌に曰はく、
訓読 門し出にわがこい伏すを人見けむかも。
私訳 家の門に走り出て私が転んだのを誰か見たでしょうか
一云、無乏 出行 家當見。
一は云はく、
訓読 すべを無み出でてそ行きし家しあたり見に
私訳 どうしようもなくて出かけて行った。あの娘の家の辺りを見に。
柿本朝臣人麻呂歌集云、尓保鳥之 奈流柴汁来乎 人見鴨
柿本朝臣人麻呂の歌集に云はく、
訓読 鳰鳥しなるさし来しを人見けむかも
私訳 カイツブリが水面から出たり入ったりするように、私が思案して家から出たり入ったりして、あの娘の家の辺りにやって来たのを人は見たでしょうか。

集歌3063 淺茅原 小野尓標結 空言毛 将相跡令聞 戀之名種尓
訓読 浅茅(あさぢ)原小野に標(しめ)結(ゆ)ふ空言(むなこと)も逢はむと聞こせ恋し慰(なぐさ)に
私訳 巻向の浅茅ガ原の小野に約束の標を結ぶという空約束でも良いから、お互いに逢いましょうとおっしゃって下さい。恋の慰めに。
或本歌曰、将来知志 君牟志待。又見柿本朝臣人麻呂歌集、然落勺少異耳。
注訓 或る本の歌に曰はく、来むと知らせし君をし待たむ。また、柿本朝臣人麻呂の歌集に見ゆ。然れども落勺(らくしゃく)少しく異なるのみ。
(落勺:後半の内容)
参考歌
集歌2466 朝茅原 小野印 室事 何在云 公待
訓読 浅茅原(あさぢはら)小野に標結(しまゆ)ふ室事(むろこと)しいかなり云ひて君し待たなむ
私訳 巻向の浅茅ガ原の小野に縄張りの標を結ぶ室(=小屋)、その言葉のひびきではないが、私との室事(=睦事)をどうしましょうと云って貴方がその小野で私を待っているでしょう。

羈旅發思
標訓 羈旅に思を発せる
集歌3127 度會 大川邊 若歴木 吾久在者 妹戀鴨
訓読 度会(わたらひ)し大川し辺(へ)し若(わか)歴木(ひさぎ)吾(わ)が久(ひさ)ならば妹恋ひむかも
私訳 度会の大川の岸にある若い櫟。私が無事ならば、あの愛しい人は私に恋をするかな。

集歌3128 吾妹子 夢見来 倭路 度瀬別 手向吾為
訓読 吾妹子し夢し見え来(こ)し大和路(やまとぢ)し渡り瀬ごとに手向(たむけ)けぞ吾(あ)がする
私訳 私の愛しい恋人が夢に出て来いと、大和へ帰る道の川の渡瀬ごとに神にお願いを私はします。

集歌3129 櫻花 開哉散 乃見 誰此所 見散行
訓読 桜花咲(さき)かも散ると見るまでに誰かも此処し見えて散り行く
私訳 この桜の花が咲いて散っていくのを見るのは誰でしょうか。ここに来られて桜の花のように散って逝かれた。

集歌3130 豊洲 聞濱松 心裳 何妹 相云始
訓読 豊国(とよくに)し企救(きく)し浜松根もころに何しか妹し相(あひ)云(い)ひ始(し)けむ
私訳 貴女の思い出を聞く、その豊国の企救の浜松。御方が石戸を開けてお出ましになる時を待つと云うその気持ちに、どのように貴女に言葉を掛けましょうか。
右四首、柿本朝臣人麻呂歌集出。
注訓 右の四首は、柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ。
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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 25

2013年06月09日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

正述心緒
標訓 正に心緒を述べたる
集歌2841 我背子之 朝明形 吉不見 今日間 戀暮鴨
訓読 我が背子し朝明(あさけ)し姿よく見ずて今日し間(あひだ)し恋ひ暮らすかも
私訳 私の貴方がまだ薄暗い朝明けの中を帰っていく姿をはっきりと見ないまま、おぼつかなく、今日の一日を恋しく暮らすのでしょうか。

集歌2842 我心 等望使念 新夜 一夜不落 夢見
訓読 我が心見ぬ使(つかひ)思(も)ふ新夜(あらたよ)し一夜(ひとよ)もおちず夢(いめ)し見えこそ
私訳 私の気持ちは心を伝える貴方からの使いを見ることではなく、逢えない夜は一夜を欠けることなく夢の中に貴方の姿を見せてください。

集歌2843 愛 我念妹 人皆 如去見耶 手不纏為
訓読 愛(うつく)しと我が思ふ妹し人皆し行くごと見めや手し纏(まか)ずして
私訳 愛おしいと私が想う貴女を、世の人が皆するようにただ通り行くに、貴女の姿を眺めるだけなのでしょうか。貴女をこの手で抱きしめることもなく。

集歌2844 此日 寐之不寐 敷細布 手枕纏 寐欲
訓読 此(ここ)し日し眠(い)し寝(ね)らえぬは敷栲し手枕(たまくら)纏(まき)て寝まく欲(ほ)りこそ
私訳 この日の夜に寝るのに寝られないのは、床を敷く栲の上で貴女を手枕に抱きしめていっしょに寝たいと想うからでしょう。

集歌2845 忌哉 語 意遣 雖過不過 猶戀
訓読 忌(いと)ふやと物語りして心(こころ)遣(や)り過(す)ぐせど過ぎずなほ恋ひにけり
私訳 貴女のことを避けようと、人と話をして慕う気持ちを遣り過ごしたが、やはり、遣り過ごすことの出来ないのは貴女への恋心です。

集歌2846 夜不寐 安不有 白細布 衣不脱 及直相
訓読 夜し寝(ね)ず安くもあらず白栲し衣(ころも)し脱(ぬ)かじ直(ただ)し逢ふまでに
私訳 夜も貴方を想って寝られず、気持は不安です。貴方に抱かれた時の白い栲の衣は脱ぎません。直接に貴方に逢うまで。

集歌2847 後相 吾莫戀 妹雖云 戀間 年経乍
訓読 後(のち)逢はむ我にな恋ひそ妹し云へど恋(こ)ふる間(あひだ)し年し経(へ)につつ
私訳 「これから後に、貴方の想いを受け入れましょう。でも、今は私を求めないで」と貴女は云いましたが、貴女を慕っている間に年月が過ぎてしまった。

集歌2848 直不相者 有諾 夢谷 何人 事繁
訓読 直(ただ)逢はずはあるはうべなり夢しだに何しか人し事(こと)し繁けむ
私訳 直接に、貴方に逢わないでいることは、そうかもしれません。でも、夢の中ですが、どうして恋人は色々なことをするのでしょう。
或本歌曰、寐者 諾毛不相 夢左倍
或る本の歌に曰はく、
訓読 寝(い)ぬるしは諾(うべ)も逢はなく夢にさへ
私訳 すっかり寝込んでしまうと、夢で逢いましょうといっても逢えません。でも、夢の中までも、
注意 或本の原文の「寐者」の「寐」を、一般には「寤」の誤字として「現(うつつ)には」と訓みます。ここでは原文のままに訓んでいます。それで、歌意は正反対となります。

集歌2849 烏玉 彼夢 見継哉 袖乾日無 吾戀牟
訓読 ぬばたましその夢(いめ)しだに見え継ぐや袖乾(ふ)る日なく吾し恋ふるを
私訳 漆黒の夜に貴女が見るその夢の中の続きを私に見せてください。貴女を恋しくて涙で袖が乾く暇がなく、私は貴女に恋しているのだから。

集歌2850 現 直不相 夢谷 相見与 我戀國
訓読 現(うつつ)には直(ただ)には逢はず夢しだに逢ふと見えこそ我が恋ふらくに
私訳 実際には直接に逢えませんが、夢の中だけでも貴女に逢っていると見えて来い。私は恋しているのだから。

寄物陳思
標訓 物に寄せて思を陳べたる
集歌2851 人所見 表結 人不見 裏紐開 戀日太
訓読 人し見る表(うへ)し結びて人し見ぬ裏紐(したひも)開けて恋ふる日ぞ多(おほ)き
私訳 人が見る上着の紐はきちんと結んでいますが、人が見ることの出来ない下着の紐を解き開けて、夜の夢の中に貴方と恋の行為をする日々が多いことです。
注意 原文の「戀日太」の「戀」は、感情としての「恋」ではなく、行動としての「恋の行い」と解釈しています。集歌2854の歌の「戀」の解釈も同等です。

集歌2852 人言 繁時 吾妹 衣有 裏服牟
訓読 人言(ひとこと)し繁き時には吾妹子し衣(きぬ)しありせば裏し着ましを
私訳 人の噂がうるさいときには、私の愛しい貴女が衣でしたら、人目に付かないように肌身を合わせる下着として着けるのに。

集歌2853 真珠眼 遠兼 念 一重衣 一人服寐
訓読 真珠(またま)まな遠(をち)をし兼ねて思へこそ一重(ひとへ)し衣(ころも)一人着て寝(ぬ)れ
私訳 美しい珠のような目で遠くを見るように、心を凝らして貴方を想い、一枚の衣を独りで掛けて夜を寝ます。
注意 原文の「真珠眼」の「眼」は、一般に「服」の誤字として「真珠つく」と訓みますが、ここでは原文のままに訓んでいます。

集歌2854 白細布 我紐緒 不絶間 戀結為 及相日
訓読 白栲(しろたへ)し我が紐し緒し絶えぬ間(ま)に恋結びせむ逢はむ日までに
私訳 白い栲の夜着の私の紐の緒が切れないうちに、恋の行いの約束をしましょう。次に逢える日まで。

集歌2855 新治 今作路 清 聞鴨 妹於事牟
訓読 新墾(にひはり)し今作る路(みち)さやかにも聞きてけるかも妹し上(へ)しことを
私訳 新しく切り開いた今作った道が清らかであるように、さやに(=はっきりと)聞きました。貴女が新しく路を作るように、時を迎え女性になったという身の上の出来事を。

集歌2856 山代 石田社 心鈍 手向為在 妹相難
訓読 山背(やませ)し石田し社(もり)し心おそく手向(たむけ)したれや妹し逢ひ難(かた)き
私訳 山代の石田の杜に向かって、あやふやな気持ちで祈ったからでしょうか、貴女に逢うことが難しい。

集歌2857 菅根之 惻隠ゞゞ 照日 乾哉吾袖 於妹不相為
訓読 菅(すが)し根し惻(いた)み隠(こも)るる照れる日し乾(ひ)めや吾が袖妹し逢はずして
私訳 菅の根がたくさん大地に隠れている。その言葉のひびきではないが、わびしく同情してしまう。さて、照る太陽の日で乾くでしょうか。涙に濡れた私の袖は。貴女に逢わないでいて。

集歌2858 妹戀 不寐朝 吹風 妹経者 吾与経
訓読 妹し恋ひ寝(い)ねぬ朝明(あさけ)し吹く風し妹にし経(ふ)れば吾さへに経(ふ)れ
私訳 貴女に恋して眠れぬ夜の朝明けに吹く風が、貴女の住む方向から来るのなら、私にもその貴女からの風を触れさせよ。
注意 原文の「吾与経」の「与」は、一部に「共」の誤字として「わがむたに触れ」と訓みます。ここでは「与」の漢字の意味を尊重して原文のままに訓んでいます。

集歌2859 飛鳥川 高川避紫 越来 信今夜 不明行哉
訓読 明日香川高川(たかかわ)避(よ)けし越(こ)え来(き)ししまこと今夜(こよひ)し明(あ)けず行かぬか
私訳 明日香川の土手の高い川辺を避けて、たそがれ時にその川を越えて来て、本当に今夜は日を開けることなく貴女の許に行きましょう。

集歌2860 八鈎川 水底不絶 行水 續戀 是比歳
訓読 八釣川(やつりかは)水底(みなそこ)絶えず行く水し続(つ)ぎてぞ恋ふるこの年ころを
私訳 八釣川の川底を絶えず流れ行く水が次々と流れ下るように、ひたすらに貴女に恋しているこの年月です。
或本歌曰、水尾母不絶
或る本の歌に曰は、
訓読 水尾(みお)も絶えせず
私訳 水の流れも絶えることなく

集歌2861 磯上 生小松 名惜 人不知 戀渡鴨
訓読 礒(いそ)し上(へ)し生(お)ふる小松し名し惜しみ人し知らえず恋ひわたるかも
私訳 石上の岩の上に生える小松のような貴方の名を慈しみ、ひたすら慕っていることをその御方に知られずに私は恋心を抱いています。
注意 人麻呂歌集の歌として、この歌は人麻呂と隠れ妻との相聞として解釈しています。
或本歌曰、巌上尓 立小松 名惜 人尓者不云 戀渡鴨
或る本の歌に曰はく、
訓読 巌(いは)し上(へ)に立てる小松し名し惜しみ人には云はず恋ひ渡るかも
私訳 巌の上に生え立っている小松のように、はっきりと目立つように名を知られることを恐れて、人には告げずに恋い慕い続ける。

集歌2862 山川 水陰生 山草 不止妹 所念鴨
訓読 山川し水陰(みかげ)生(お)ふる山草し止(や)まずも妹し思ほゆるかも
私訳 山の川の水辺に生える山の草が刈っても刈っても無くなることのないように、止むことなく私は貴女を慕っています。

集歌2863 淺葉野 立神古 菅根 惻隠誰故 吾不戀
訓読 浅葉野(あさはの)し立ち神(かむ)さぶる菅し根し惻(いた)隠(こ)も誰(た)がゆゑ吾(あ)が恋ひざらむ
私訳 浅葉野に立ち古びてしまった菅の根が隠れて見えない、その言葉のひびきではないが、わびしく同情してしまう。誰のせいでしょうか、私は貴女との恋の行為が出来ません。
或本歌曰、誰葉野尓 立志奈比垂
或る本の歌にはく、
訓読 誰葉野(たがはの)に立ちしなひたる
私訳 誰葉野に生い立ちたわわに育つ、
右廿三首、柿本朝臣人麻呂之歌集出。
注訓 右の二十三首は、柿本朝臣人麿の歌集に出づ。
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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 24

2013年06月02日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

問答
標 問答(もんどう)
集歌2508 皇祖乃 神御門乎 衢見等 侍従時尓 相流公鴨
訓読 皇祖(すめろき)の神し御門を衢(みち)見しと侍従(さもら)ふ時に逢へる君かも
私訳 皇祖の神の御殿で、通路を見張るためにお仕えしている時の、その時だけに、お目に懸かれる貴方ですね。
注意 原文の「衢見等」の「衢」は、一般に「懼」の誤字として「懼(かしこ)みと」と訓みます。ここでは原文のままに訓んでいます。

集歌2509 真祖鏡 雖見言哉 玉限 石垣渕乃 隠而在孋
訓読 真澄鏡(まそかがみ)見とも言はめや玉かぎる石垣淵(いはがきふち)の隠(こも)りにある麗(つま)
私訳 見たい姿を見せると云う真澄鏡、その鏡に貴女の姿を見て、逢ったと語れるでしょうか。川面輝く流れにある岩淵が深いように、宮中の奥深くに籠っている私の麗しい妻の貴女。
右二首
注訓 右は二首

集歌2510 赤駒之 足我枳速者 雲居尓毛 隠往序 袖巻吾妹
訓読 赤駒し足掻(あがき)速けば雲居にも隠(かく)り行(い)かむぞ袖枕(ま)け吾妹
私訳 赤駒の歩みが速いので彼方の雲の立つところにも、忍んで行きましょう。褥を用意して待っていてください。私の貴女。

集歌2511 隠口乃 豊泊瀬道者 常消乃 恐道曽 戀由眼
訓読 隠口(こもくり)の豊(とよ)泊瀬(はつせ)道(ぢ)は常(とこ)消えの恐(かしこ)き道ぞ戀(こ)ふらくはゆめ
私訳 人が亡くなると隠れるという隠口の立派な泊瀬道は、いつも道が流される、使うのに恐ろしい道です。恋い焦がれるからと、気を逸らないでください。
注意 原文の「常消乃」では歌意が不明として、一般には次のように二か所を改訂して解釈します。西本願寺本と歌が違います。
改訂 隠口乃 豊泊瀬道者 常滑乃 恐道曽 尓心由眼(又は「戀由眼」)
訓読 隠口(こもくり)の豊(とよ)泊瀬(はつせ)道(ぢ)は常滑(とこなめ)の恐(かしこ)き道ぞ汝(な)が心ゆめ(又は「戀ふらくはゆめ」)

集歌2512 味酒之 三毛侶乃山尓 立月之 見我欲君我 馬之足音曽為
訓読 味酒(うまさけ)し三諸(みもろ)の山に立つ月し見が欲(ほ)し君が馬(ま)し足音(おと)そせし
私訳 噛み酒を奉じる三室の山に出る月を見たいと思う、そのように逢いたいと思う貴方の馬の蹄の音がしました。
右三首
注訓 右は三首

集歌2513 雷神 小動 刺雲 雨零耶 君将留
訓読 鳴る神し少し響(とよ)みてさし曇り雨し降らぬや君し留(とど)めむ
私訳 雷神の鳴らす雷の音がかすかに響いて、空も曇ってきて、雨も降ってこないでしょうか。そうすれば、貴方のお帰りを引き留めましょう。

集歌2514 雷神 小動 雖不零 吾将留 妹留者
訓読 鳴る神し少し響(とよ)みて降らずとも吾(われ)し留(とま)らむ妹し留(とど)めば
私訳 雷神の鳴らす雷の音がかすかに響いて雨が降らなくても、私はこのまま留まりましょう。貴女が引き留めるのなら。
右二首
注訓 右は二首

集歌2515 布細布 枕動 夜不寐 思人 後相物
訓読 敷栲(しきたへ)し枕動(とよ)みて夜も寝(ね)ず思ふ人には後(のち)に逢ふものを
私訳 夜に敷く栲の床に添える貴方の枕を見ると気が落ち着かず夜も眠れない。恋い慕う貴方には、後できっと逢えるのですが。

集歌2516 敷細布 枕人 事問哉 其枕 苔生負為
訓読 敷栲(しきたへ)し枕し人し事(こと)問(と)ふやその枕には苔(こけ)生(む)しにたり
私訳 夜に敷く栲の床に添える枕を、貴方は訪れたとき私に聞くでしょうか。貴方が使うその枕には苔が生えていると。
右二首
注訓 右は、二首
以前一百四十九首、柿本朝臣人麿之謌集出。
注訓 前(さき)の一百四十九首を以て、柿本朝臣人麿の歌集に出(い)づ。

集歌2634 里遠 戀和備尓家里 真十鏡 面影不去 夢所見社
訓読 里(さと)遠(とほ)み恋ひわびにけり真澄鏡(まそかがみ)面影(おもかげ)去らず夢に見えこそ
私訳 貴方の家が遠いので恋しくて寂しく思う。願うと姿を見せるという真澄鏡よ。面影を忘れさせず私に夢の中にあの人の姿を見せてください。
右一首、上見柿本朝臣人麿之歌中也。但以句ゞ相換故載於茲。
注訓 右の一首は、上に柿本朝臣人麿の歌の中に見えたり。ただ句ゞ相換れるを以ちての故に茲に載す。
参考歌
集歌2501 里遠 眷浦経 真鏡 床重不去 夢所見与
訓読 里(さと)遠(とほ)み眷(か)ねうらぶれぬ真澄鏡(まそかがみ)床の辺(へ)去(さ)らず夢に見えこそ
私訳 貴方の家が遠いので振り返り見て寂しく思う。願うと姿を見せるという真澄鏡よ。夜の床を離れない私に、夢の中にあの人の姿を見せてください。


問答
標訓 問答(もんどう)
集歌2808 眉根掻 鼻火紐解 待八方 何時毛将見跡 戀来吾乎
訓読 眉根(まよね)掻き鼻ひ紐解け待てりやも何時かも見むと恋ひ来しわれを
私訳 眉を掻き、小鼻を鳴らし、下着の紐を解いて、貴方を待っていましょう。何時、いらっしゃるのかと、思っています。私は。
右、上見柿本朝臣人麿之歌中也。但以問答故、累載於茲也。
注訓 右は、上に柿本朝臣人麿の歌の中に見ゆ。ただ問答なるを以ちての故に、累ねて茲に載せたり。

参考歌
集歌2408 眉根削 鼻鳴紐解 待哉 何時見 念吾君
訓読 眉根(まよね)掻き鼻(はな)ひ紐(ひも)解(と)け待つらむか何時(いつ)かも見むと想ふ吾が君
私訳 眉を掻き、小鼻を鳴らし、下着の紐を解いて、貴方を待っていましょう。何時、いらっしゃるのかと想っています。私の貴方。


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