とにかく十代の頃はよく食べた。
中学生の時分など、フライドチキンの十個をペロリとたいらげたことがある。
今はそんなことをやるつもりもない。金銭的に余裕がないわけではなく、それだけ買う金(二千円くらい)があるなら、ジャンクなものではなく質がいいものが食べられるからだ。
そんなことを考える自分にふと、
「丸くなったなあ」
と呟いてしまう。
そしてそんな自分の呟きに、自分で衝撃を受けてしまうわけだ。
「オレはまだ丸くなっていないぞ!」
二十代はまだまだ尖ってもいいんじゃなかろうか。触るもの皆傷つけた……と気取るわけではないが、触る者が皆、
「うわ、きしょっ!」
と、飛び退くようなことはしても良いのではなかろうか。
さて、会社からの帰途。マクドナルドを発見。折しも今はビッグマック200円なり。
「よーし、見てろよ」
誰に対して見ていろと言っているのかはわからないけど、意気揚々と店内へ。そしてレジの女の子の目の前に600円を置いて、良い滑舌でひと言。
「ビッグマック3個。持ち帰りで!」
家に帰って一人でビッグマックを3個食ってやろうというつもりなのだ。女の子は鷹揚に頷き、近くにあるマイクにその旨を告げた。
面白くない。男が決死の覚悟でビックマックを3つも注文したのだから、注文を受けた方もそれなりに悲壮感を持って受け答えしても良いのではなかろうか。
恋する乙女の眼差しを送ってもばちは当たらないのではなかろうか。そしたら私も熱い視線を送りつつも、
「娘さん、おいらに惚れちゃあならねえぜ」
と、ビッグマック3個持って自転車に飛び乗るのだが。そういう展開になってもおかしくないのに、女の子は。
「こちらでお待ちください」
と、無料スマイル0円なりを私にサービスし、私の後ろに並んでいた客の対応に勤しむのである。
私はレジの横に立ち、カウンターに手をついて。哀愁と悲壮を帯びた横顔をレジの女の子に向けた。
戦う男の横顔を魅せたつもりなのだが、向こうは「はい! ジューシーチキン3つですね」と私に向けたのと同じスマイルを別の客に送っていた。面白くない。
ジューシーチキン3つよりもビッグマック3個のほうが凄いのではないだろうか。個とは人偏に固まりと書く。固まりとはそれなりに大きな物質を指す言葉だ。3つをたいらげる人よりも、3個をたいらげる人の方がカッコよいと思うのだが。
結局、女の子はこの後もやってくる客の対応に追われ、私にビッグマックを渡したのは店長らしきオッサンだった。やっぱり面白くない。
家に着いて、袋を開ける。ビッグマック独特の香り。紙箱を出せば、立派なビッグマックがそびえ立っていた。
備え付きの紙ナフキンでビッグマックを包み、大きく口を開けた。他のバーガーではこれほど口を開く必要はない。
がぶり、と一口。
肉と脂の風味がおもいっきり鼻から抜ける。美味い!!
最初は真上を噛み付いたから、今度は真横、次は真下とビッグマックを回転させながら食べていく。一個目はあっという間に食べちゃった。
さぁーて、次行ってみようかあ。同じように紙箱を開いて、がぶがぶがぶーーーっ。
肉、肉、肉だ。食べている内になんだか体が熱くなってくる。カロリーが高いものを食べたので、体が燃焼を始めたのだろう。
押しこむようにして二つ目を胃袋へ。明らかに胃袋が驚いている。「こんなボリュームあるものを持ち込まれても当方は困ります!」と胃が叫んでいる。
でも、三個目に行っちゃうもんね。この頃から全ての動作が緩慢になる。ノタノタと袋から紙箱をだし、ヨタヨタとビッグマックを紙ナフキンに包む。
齧っては、フー。小休止。もう一回齧ってはフーフー。中休止。
三個目は20分くらいかかったな。それでも全部食べたぞ。ゲップが臭い。肉食獣のゲップだ。
お腹ポンポコリンだ。ポンポコお腹のポンすけだ。ベットにぐたぁ~っと横たわる。
それでも、ビックマック3つという偉業を成し得た男の横顔は、やりきったという顔になっている……はず。
中学生の時分など、フライドチキンの十個をペロリとたいらげたことがある。
今はそんなことをやるつもりもない。金銭的に余裕がないわけではなく、それだけ買う金(二千円くらい)があるなら、ジャンクなものではなく質がいいものが食べられるからだ。
そんなことを考える自分にふと、
「丸くなったなあ」
と呟いてしまう。
そしてそんな自分の呟きに、自分で衝撃を受けてしまうわけだ。
「オレはまだ丸くなっていないぞ!」
二十代はまだまだ尖ってもいいんじゃなかろうか。触るもの皆傷つけた……と気取るわけではないが、触る者が皆、
「うわ、きしょっ!」
と、飛び退くようなことはしても良いのではなかろうか。
さて、会社からの帰途。マクドナルドを発見。折しも今はビッグマック200円なり。
「よーし、見てろよ」
誰に対して見ていろと言っているのかはわからないけど、意気揚々と店内へ。そしてレジの女の子の目の前に600円を置いて、良い滑舌でひと言。
「ビッグマック3個。持ち帰りで!」
家に帰って一人でビッグマックを3個食ってやろうというつもりなのだ。女の子は鷹揚に頷き、近くにあるマイクにその旨を告げた。
面白くない。男が決死の覚悟でビックマックを3つも注文したのだから、注文を受けた方もそれなりに悲壮感を持って受け答えしても良いのではなかろうか。
恋する乙女の眼差しを送ってもばちは当たらないのではなかろうか。そしたら私も熱い視線を送りつつも、
「娘さん、おいらに惚れちゃあならねえぜ」
と、ビッグマック3個持って自転車に飛び乗るのだが。そういう展開になってもおかしくないのに、女の子は。
「こちらでお待ちください」
と、無料スマイル0円なりを私にサービスし、私の後ろに並んでいた客の対応に勤しむのである。
私はレジの横に立ち、カウンターに手をついて。哀愁と悲壮を帯びた横顔をレジの女の子に向けた。
戦う男の横顔を魅せたつもりなのだが、向こうは「はい! ジューシーチキン3つですね」と私に向けたのと同じスマイルを別の客に送っていた。面白くない。
ジューシーチキン3つよりもビッグマック3個のほうが凄いのではないだろうか。個とは人偏に固まりと書く。固まりとはそれなりに大きな物質を指す言葉だ。3つをたいらげる人よりも、3個をたいらげる人の方がカッコよいと思うのだが。
結局、女の子はこの後もやってくる客の対応に追われ、私にビッグマックを渡したのは店長らしきオッサンだった。やっぱり面白くない。
家に着いて、袋を開ける。ビッグマック独特の香り。紙箱を出せば、立派なビッグマックがそびえ立っていた。
備え付きの紙ナフキンでビッグマックを包み、大きく口を開けた。他のバーガーではこれほど口を開く必要はない。
がぶり、と一口。
肉と脂の風味がおもいっきり鼻から抜ける。美味い!!
最初は真上を噛み付いたから、今度は真横、次は真下とビッグマックを回転させながら食べていく。一個目はあっという間に食べちゃった。
さぁーて、次行ってみようかあ。同じように紙箱を開いて、がぶがぶがぶーーーっ。
肉、肉、肉だ。食べている内になんだか体が熱くなってくる。カロリーが高いものを食べたので、体が燃焼を始めたのだろう。
押しこむようにして二つ目を胃袋へ。明らかに胃袋が驚いている。「こんなボリュームあるものを持ち込まれても当方は困ります!」と胃が叫んでいる。
でも、三個目に行っちゃうもんね。この頃から全ての動作が緩慢になる。ノタノタと袋から紙箱をだし、ヨタヨタとビッグマックを紙ナフキンに包む。
齧っては、フー。小休止。もう一回齧ってはフーフー。中休止。
三個目は20分くらいかかったな。それでも全部食べたぞ。ゲップが臭い。肉食獣のゲップだ。
お腹ポンポコリンだ。ポンポコお腹のポンすけだ。ベットにぐたぁ~っと横たわる。
それでも、ビックマック3つという偉業を成し得た男の横顔は、やりきったという顔になっている……はず。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます