よろず戯言

テーマのない冗長ブログです。

耶馬渓・古羅漢

2010-11-20 02:38:52 | 旅行・まち歩き

青の洞門を散策したのち、いよいよ紅葉を見に耶馬渓 渓谷を目指す。

耶馬渓ダムあたりが絶景で、紅葉も見頃だということで、日田方面へ車を走らせる。

 

すると、羅漢寺という案内看板が目に入る。

さっき手に入れたパンフレットにも、大きく取り上げられて載っている。

ここも確か耶馬渓きっての景勝地だと聞く。

ついでだから、ここにも立ち寄ってみようではないか。

日田方面への道を逸れて羅漢寺へ。

 

トンネルの手前に駐車場があったので、そこへ車を入れる。

短いトンネルをくぐれば、羅漢寺のある峰がそびえ立つ。

だがトンネルの手前にも数十メートルの小高く切り立つ岩山があった。

岩山の中程には裂け目があり、そこに木造のやぐらも見える。

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岩山のふもとに行くと、古羅漢探勝道”の文字。

今ある羅漢寺へこの古羅漢から、仏像群が一夜にして移動したという伝説のある場所らしい。

いくつかの仏像は今も安置されたままで、岩の壁面には大きな毘沙門天が彫られ、

頂上には室町時代に設置されたという、国東塔があるとのこと。

 

なるほど・・・これは面白そうだ。

この程度の高さの山なら、チョイチョイって登れるな。

そんな軽い気持ちで、古羅漢の探勝道を登り始めた。

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真っ赤に色づいたものより、まばらにグラデーションを帯びたものが好きだ。

 

きれいな紅葉や、群生するツワブキなどを楽しみながら雑木林のなかの道を呑気に歩く。

雑木林を抜けて開けた場所へ来ると、ゆるやかだったコンクリートで舗装された道が、

突如急な階段へと変わる。

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右側の階段、急角度具合がわかると思う。

一段一段の高さが不均等で、上るのが辛かった・・・。

 

雑木林から急な岸壁に変わり、その道が階段になっているのだ。

しかも一段が50cm近くあるものもあり、これが実にきびしい。

手すりもなければ、つかまるところもない。

 

それをハァハァ言いながら上っていく。

若い頃はこんなことで息を切らすなんてことはなかったのに・・・。

ひどい体力の衰えを実感する。

 

階段を上り終えると、さっき下から見上げていた、

切り立つ岩肌の裂け目に設置された、木造のやぐらにたどり着く。

かなり古い木造で、その先の洞穴にこれまた古い仏像が列をなしている。

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下から見上げて中腹辺りに見えた部分。

BGM:思えば遠くへ来たもんだ/海援隊

 

やぐらの柱や屋根には、ここへ来た者が記念に彫っていったのだろう。

日付や名前がいくつも彫られていた。

それが昭和○○年とか、自分の生まれる以前の年月だったり、

○○小学校とか彫られているが、それが旧字体だったりと、年季が入っているのがうかがえる。

並んだ仏像のなかには、首がもげているものも数体あり、ちょっと不気味でもある。

 

そしてその やぐらゾーンを抜けると・・・。

 

ここを通るのか・・・・?

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はしごのサイズをみれば、その奥の岩肌の鎖ゾーンがいかに狭いかが判るはず。

  

岩にほぼ垂直に設置された粗末な丸太のはしご。

そしてその先は切り立った岩肌の壁に一本の鎖。

頭上は岩がせり出し、足下は狭いうえに不安定な岩土。

下にネットなんて取り付けられてはいない。

 

・・・・・。

ここまで来たのだから、頂上はもう少し!

意を決してはしごを上る。

高所恐怖症ではないので、それほど恐怖は感じない。

ただ自分の体力が保つかが心配。

頂上までたどり着けたとしても、帰りにまたここを通らなければならない。

もしここを通過中にフラッときたら・・・。

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頭を岩にぶつけないよう、かがみつつ、

足を踏み外さないよう岩につまずかないよう、慎重に渡る。

気分は水曜スペシャル・川口浩探検隊

 

岩肌の鎖ゾーンを抜けると、またうっそうとした雑木林ゾーン。

獣道のようなところを、木の枝やツタをはらいながら通る。

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写真だと平坦に見えるかも知れないけれど、すごい急勾配。

鎖がなきゃ、木の根や枝をつかみながら、這い上がらなきゃいけない。

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気分はラピュタの大木の根っこにしがみつくパズー。

 

雑木林をアップダウンしながら進むと岩穴があり、それを抜けるとこの古羅漢の反対側へ出た。

ここでまた岩肌に鎖ゾーン。

頭上まで岩がせり出していないものの、今度は極端に足場が狭い。

そこを通過中に、毘沙門天が彫られているという岩肌があった。

だが、いろんな角度からその岩肌を見てみたが、毘沙門天がよく判らなかった・・・。

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足場の幅は50cmくらいか。

BGM:劔岳 点の記/仙台フィルハーモニー管弦楽団

 

気を取り直して、ハァハァゼェゼェとまた進む。

こら明日、完全に筋肉痛だわ・・・

なんて思いながらハンカチで額の汗をぬぐい、メガネにこぼれた汗を拭く。

タオル持ってくるんだった。

 

そしてとうとう到着した頂上!

けっきょく、やぐらゾーンを過ぎてからは、

中腹を雑木林でアップダウンし、鎖ゾーンで岩山の半分をぐるりと周り、

そしてやっとこの頂上へたどり着いた。

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国東塔の苔がむし風雪で削られた表面の古めかしさがたまらない。

向こう側に見える岩肌、遠目に見ても彫られているという毘沙門天が判らない・・・。

 

苔むした国東塔を拝む。

ひとりで来たから記念撮影もできやしない。

眼下にはのどかな里山の風景が広がる。

絶景とはいえないものの、それでも美しい自然のパノラマをしばし楽しむ。

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のどかだ。

 

さっきまで汗だくだったので、晩秋の冷たい風が心地いい。

なにより難所をいくつもクリアして頂上に達した達成感がたまらない。

危険を冒して険しい山に挑む登山家の気持ちが解らないでもない。

 

そして下山・・・。

登りよりも下りがきつく怖かった。

途中獣道で道を誤って、明らかに通行不可能な場所へ迷い込んだり・・・。

 

なんだかんだで無事に下山できた。

ふもとで、ひと組の老夫婦と遭遇する。

「登るおつもりならば、やめといた方がいいですよ。」

これこう、こんなだったと説明すると、その老夫婦は登るのを断念した。

 

そういえば登っている最中、他の旅行者とまったく遭遇しなかった。

やっぱりこの険しさ、観光客がふらりと登るような場所じゃないんだな。

ここを登るのは、ふだんから登山をやっているようなひとじゃないとダメだ。

 

甘く見ていた古羅漢登山、大幅に時間を食ってしまい、

下山して時間を確認すると、すでに午後4時前だった。
 

西日も射してきて、陽もかげりはじめていた。

もうすぐに夕暮れで暗くなる。

羅漢寺へ行くのも、この先の耶馬渓ダムへ行くのも断念した。

やっぱりちゃんと計画練って朝から来ないとダメだな。

 

しかしムダになったとは思わなかった。

観光ガイドのような絶景の紅葉は見ることができなかったが、

それでも美しく荒々しい自然を満喫できた。

 

貴重な休みに、体は疲れたかもしれないが、

心は大きくリフレッシュできた。

いや心が充足できたからか、体の疲労もまったく感じない。

いい汗をかき、いい運動になったのかもしれない。

 

耶馬渓へは、またあらためて訪れ、じっくりと探索したい。

 

※ 実は古羅漢の高さ、100mくらいあるそうだ。


1 コメント

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はじめまして。 (よろず屋)
2010-12-25 10:18:07
はじめまして。
福岡のよろず屋です。

偶然にも、よろず屋ということで、しかも先日、同じように青の洞門、羅漢寺などを回ってきました。
祭日でしたが、紅葉の季節は終わっていたため、観光客はほとんどいませんでした。

青の洞門に行ったときの私のブログです。
http://blog.goo.ne.jp/yorozuyasime/
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