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超高速!参勤交代

2014-07-26 00:06:05 | 映画

先日の休みに映画を観てきた。

佐々木蔵之介主演のコメディ時代劇、“超高速!参勤交代”だ。

原作は土橋章宏氏の同名タイトルの小説で、

同氏はこれを脚本として執筆し、日本映画製作者連盟が主催する

新人脚本家を発掘するために優秀な脚本作品に贈られる賞、城戸賞を受賞している。

キャッチコピーは、“このミッション、インポッシブルです!”。

 

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予告編も何も観ていなかったものの、

事前に入手していたチラシで大まかに内容を把握する。

大好きな佐々木蔵之介が主演で、このなんともいえないタイトル!

もうそれだけでも観る気満々で、あらすじを読んですぐに前売を買った。

公開されてすぐに観に行った。

 

時は1735年(享保20年)、磐城国(いわきのくに)湯長谷藩(ゆながやはん)。

小さな大名行列が今まさに参勤を終えて、一年ぶりに藩へと戻ってきた。

藩主:内藤政醇(まさあつ:佐々木蔵之介)はじめ、藩士達は疲れ切った表情をしつつも、

一年ぶりの故郷に入って安堵の表情を浮かべ、藩邸までのあとわずかな距離、

「剣の稽古がしたい。」「碁を挿したい。」 各々やりたいことを言い合う。

農民から差し出された収穫したての大根をかじり、

「今年も美味い大根が育っとる!」政醇は満足げに農民をねぎらい、

あらためて故郷へ帰り着いたことを実感し、藩邸でのんびりと参勤の疲れを癒す。

 

07

 

湯長谷藩はわずか1万5千石程度の極小藩。

もともと藩の財政は芳しくなく、数年前に飢饉が発生、

更にはこの度の参勤交代でとうとう財を使い果たして貯蓄はゼロの状態。

しばらくのんびりしたい政醇だったが、

帰り着いた翌朝から、さっそく家老の相馬兼嗣(かねつぐ:西村雅彦)が、

藩の厳しい財政状況を政醇にガミガミと伝え、政醇はゆっくりもできないのだった。

 

09

 

そんなとき、江戸の藩屋敷に居るはずの家老、瀬川(近藤公園)が、

衰弱・疲弊した状態で藩邸に転がり込んでくる。

「一大事でございます!」

瀬川曰く、老中・松平信祝(のぶとき:陣内孝則)の命で、

これより5日以内に参勤交代せよとのこと。

 

信祝は湯長谷藩が所有する金山に目を付け、それを我が物にしようと画策。

政醇が報告していた採掘量に言いがかりを付けたうえ、

遂行不可能だと解っておきながら、再びの参勤交代を命じたのだった。

「先日参勤を終えて帰国したばかりなのに何故!?」

政醇はじめ、相馬や藩士達もありえない突然の命に狼狽する。

 

08

 

「こんな理不尽な命令に、従えるはずがない!」

「だが命令に従わねば、藩お取り潰しになってしまう!」

藩のなかで意見が割れるも、政醇は湯長谷藩を、領民たちを守るため、

この理不尽極まりない命令に従う決意をする。

 

とはいえ人もいない金もない、5日以内に江戸まで大名行列で行けるはずがない。

だが藩を守るため、なんとしてもこの理不尽な命令をこなさねばならない。

湯長谷藩の知恵袋、相馬にあれこれ思案させ、作戦を決行する。

集められたのは一騎当千の5人の精鋭藩士たち。

それに藩主・政醇と相馬を加え、たった7人で正味4日で江戸を目指す。

 

06

 

街道ではなく山を直線で突っ切って進む。

大名行列はなし、食料は狩りをして現地調達、

刀も槍も竹光にして身を軽くして獣道を走り抜ける。

途中、宿場町で役人の目をごまかすため、そこを通過するときだけ、

その場で人員を調達して大名行列に見せかける。

出発の前夜に藩邸に忍び込んでいた凄腕の忍、雲隠段蔵(伊原剛志)を水先案内人として雇い、

いざ、8人で超高速参勤交代に出発するのだった。

 

果たして、政醇は無事、命令どおり5日以内に江戸までたどり着けるのか?

一行の行く先には、数々の難題が待ち受けていた・・・。

 

03

 

めちゃめちゃ面白かった。

時代劇コメディとでも言うべきか。

時代設定もしっかりしていて、実在の人物にありえないドラマを当てはめたストーリー。

なるほど賞をとった脚本なだけあって、すごく面白い。

先にも書いたけれど、なによりも目を引くのがそのタイトル。

テンポよく話が進むので途中でダレない。

 

佐々木蔵之介のあのキャラクターも相まってコミカルさが一層増している。

20世紀少年などで見せてくれた冷酷で異常なキャラがハマリ役とされているが、

自分は憑神や、ぼくたちと駐在さんの700日戦争などのコミカルな役が好きだ。

西村雅彦はじめ、寺脇康文六角精児柄本時生など、

他の藩士たちもそれぞれいい味出していた。

あとは悪役、松平信祝役の陣内孝則。

大河ドラマ、軍師官兵衛宇喜多直家役といい、

こういうダーティな役やらせたら、本当に悪すぎて妙にハマる。

 

04

  

コメディ映画とはいえ、反面シビアなシーンもある。

理不尽な要求にも応えながら、江戸幕府という巨大権力に真っ向から意見する弱小藩。

今現在に置き換えれば、政府に意見する地方自治体といった格好。

原作者が福島の原発事故の被災地域での体験がきっかけで、この作品が生まれたという。

湯長谷藩はまさに現在の福島県いわき市であり、

被災地の声が中央政府に届かない、政府が要望に応えないジレンマを投影しているのだろう。

 

05

 

まあそんな裏話は抜きにして、コメディながらも本格的・・

・・・というかちょっとやり過ぎ感のある殺陣のシーンも多い。

クライマックスの湯長谷藩の面々と、信祝の差し向けた忍軍団との大殺陣は、

暴れん坊将軍とか忍者赤影など、

ひとむかし(ひとむかしどころじゃないか)前の時代劇のそれを彷彿させる。

ここら辺は若い人よりも自分らよりも上の世代の方が楽しめるはず。

佐々木蔵之介の抜刀居合術が超かっこいい!

 

01

  

そしてこの映画の最大の魅力は(あくまでも個人的)なんといっても深キョン

途中、政醇が立ち寄った牛久の宿で出会う、ワケ有り女のお咲役として登場。

宿で奉公する飯盛り女(給仕兼娼婦)という役なのだが、

その着物姿と当時の艶化粧が、なまめかしい、実になまめかしい!

ポカリスエットの人魚姿と甲乙点け難い程のなまめかしさだ。

彼女が登場するのをちゃんと把握してなかったので、登場したときに驚いた。

偉大なる、しゅららぼんに続き、今年は深キョンを二回も観られた!

 

夏休みに突入して、子供向けファミリー向けの映画がぞくぞく公開されはじめ、

この超高速!参勤交代は、だんだんと公開終了している劇場が増えてきたようだ。

だが、夏休みこそ、親子でこの映画を楽しんでもらいたい。

とくに歴史を習い始めた小学校高学年や中学生などは、

これを観て、参勤交代というものがどんなものだったのか、楽しめながら学べると思う。

 

登場人物で、徳川吉宗,松平信祝などは歴史上に実在した人物なのだが、

佐々木蔵之介演じる、内藤政醇も、湯長谷藩の4代藩主として実在した人物。

この映画を観終わった後、内藤政醇のことを調べてみたら・・・。

31歳の若さで急逝していた・・・。

しかも参勤交代直後に・・・。

せっかくハッピーエンドだったのに、この数年後に亡くなってしまうんだなと思うと、

なんともいたたまれなくなってしまった・・・。

 

 

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