兵庫尼崎で町医者をしています。と自己紹介。
長尾和宏という医者。
「死ぬまでハッピー」という今回のテーマだが、
知人から電話があり、本願寺で講演をするなら、
死んでからもハッピーでしょと言われた。
医師歴35年。2000人以上の死に関わった。今還暦をむかえた。
多くの死に関わってきたけど、最初の死のであいは、父の死。
生まれは香川、父は自衛隊勤務。転勤で関西へ。
自分が中・高生くらいのときから、父はうつ病。
お寺詣りが好きだった父に付き添って、京都のほうに一緒に旅にでた。京都の河原で、財布を渡され、強制的に別れた。
一週間後、有名な神社で父は自殺していた。ショックだった。
警察官から言われた。よかったですね。
何が良かったかというと、もう少し遅かったら身元不明で焼却するところだったという。
そんなこともあり、ぐれていた。
その後就職してダイハツ工業へ。車を作っていた。
その後、ある人に出会い、医者になる決心。東京の医大を卒業して、大阪大学に関連する病院に勤務。
末期の患者が多い病院で、2年間で600〜700人の死に立ち合った。
延命治療が常識の時代だった。その結果、患者さんは苦しんでいた。
最初は、病気がそうさせているのだと思っていた。
後でそうでないことに気づく。
阪神大震災がきっかけで、
今は開業した。あの時は圧死が多かった。
開業して、年間120人ほど看取りをしている。
昨日も尼崎で看取りをした。家族から連絡があり、
苦しんでいるから来てくれと言われた。
死の壁というのがある。
穏やかに死ぬ前に半日か1日前に苦しむことがある。
弱い睡眠薬をのませた。
その後、24時間後患者さんは亡くなった。
在宅で亡くなった時は、家族は泣くことはあまりない。
この時は、食事も振る舞われた。
開業してから23年、1200人ほど看取ってきた。
最期まで点滴ということはしない。
ブドウ糖が入っている点滴は、がんの餌になってしまう。
その結果、患者も苦しむ。
緩和医療も広がってきた。精神的にも出来るだけケアしていく。
家で死ぬのは40年前までは、当たり前だったが、
今は病院で亡くなることが多い。
ガンは最期まで動ける。川島なお美さんも一週間前まで
外出していた。
樹木希林さん、最近亡くなったが、普段から自分の死について
語っていた。
小林まおさん、亡くなる間際に愛してると言ったらしい。
しかし、医師しか見れないネットサイトがあるが、その中では、99%ありえないというコメントがあった。
しかし、自分は経験しているので、事実だろうというのがわかる。
数秒前まで話しているのを見たことがある。
平穏死、尊厳死が主流だが、それでも
家族の意向があったりで延命治療をしてしまう医者もいる。
最期に近ずいて、苦しんでいるとき、軽い睡眠剤、安定剤を投与する。
余命1ヶ月になったら点滴はしない。
ガンでも最期まで食べることもある。星野仙一さんも正月三ヶ日、ぞうにを食べて、4日目急変して、亡くなった。
認知症の問題。
今後、高齢者の6割が認知症になると言われている。
認知症に対し、抗認知症薬もある。
副作用で、おこりっぽくなったり、食べれなくなる。
日本くらいが、抗認知症薬を使っている。
過剰な抗認知症薬が原因で、さらに強い認知症になる。
もちろん、認知症患者も診ている。
認知症は、そんなに恐れることは無い。
忘れられていいこともある。
認知症でなくなったほうがよいか、
ガンでなくなったほうがよいと思うか。
アンケートでは、8割がガンで死にたいと思う人が多い。
自宅で、ひとり認知症、ひとりガン患者ももちろんいる。
在宅死は、全体の15%というデータ。
半分は孤独死、半分は医者が看取っている。
(孤独死の説明はなかったが、何日も発見されないで
死んだ状態のことをさしていると思う)
孤独死は、60代男性が多い。男性は女性に比べ、
ひきこもりになりやすい。
今、尊厳死協会の副理事もしている。
(最後に、講師は、中島みゆきの糸という歌を
歌った。)
・・・縦の糸はあなた 横の糸は私・・・
(なかなか感動できる歌。著作権の問題で、
音楽を流すことはできないのだろう)
(ここで質疑応答からの話の一部)
臨床宗教師といわれる僧侶がいる。
終末期、僧侶の役割を求められることもでてきている。
生前にお経を上げることもある。
医者の在宅医療は、白衣を着ないで診療にあたったりもする。
僧侶も私服ということもある。
死んだら何もなくなるではなく、
死んでも続いていたほうがいいなと思ったほうがよい。
さみしいじゃないですか。
医者の中でも死後の世界があるかないか、意見が分かれている。
死んだらすべて終わると思わないで、・・・
不安を持たないというのが大事。
不安は、病気の元になったりもするし。
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最後に、話し方も非常にスムーズで、立て板に水。
息つく間が少なかった。
話の内容もよかった。